法務省は1日未明、大規模災害の被災地に限定して認める優先借地・借家権制度の廃止などを盛り込んだ罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災都市法)改正案の素案を発表した。素案は、被災地で5年以下の期限付きで土地を借り、建築できる権利「被災地一時使用借地権」(仮称)を新設することも明記。今後、パブリックコメント(意見公募)や法制審議会(法相の諮問機関)での審議を経て、来年の通常国会にも改正案を提出する。 

以上、時事通信社から引用

罹災都市借地借家臨時処理法というのは、大東亜戦争のときに空襲などで焼け出された人を救済するために作られた法律です。

地主や家主の権利よりも、借地人・借家人の権利保護を優先し、速やかな都市復興を目指したものでした。
その後、法改正を経て、地震や大火事などの大災害でも適用されることになっています。

第2条には「罹災建物が滅失した当時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に借地権の存しない場合には、その土地の所有者に対し、この法律施行の日から二箇年以内に建物所有の目的で賃借の申出をすることによつて、他の者に優先して、相当な借地条件で、その土地を賃借することができる。」とあります。

昭和初期と違い、今はマンションやアパートなど集合住宅が多くなっています。
100坪の土地の上に建つ賃貸マンションだと、そのマンションが壊れると住民全員が借地権の優先権があるわけです。
誰が借りるかで紛争が起こるわけです。

また、第14条には「罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された当時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に、その建物が滅失し、又は除却された後、その借主以外の者により、最初に築造された建物について、その完成前賃借の申出をすることによつて、他の者に優先して、相当な借家条件で、その建物を賃借することができる。」とあります。

これは、借家が壊れて新しく借家が建った場合には、前の借家人が優先して借りることができる権利です。
30部屋のマンションが倒壊して、25部屋のマンションになったら誰が借りられるのか?
やはり優先権を持つ者の間で紛争が起こってしまいます。

また、土地にも建物にも優先権があるために、地主の自由な復興計画が立てにくい欠点もあります。
今まで入居していた人が、新しい物件に優先して入居できるとなれば、金は出さずに口を出したくなるのが人情ですからね。

土地の値段は戦後ずっと上昇していますから、土地に対する権利意識が高まるのも当然で、それが紛争の発生を助長している面もあります。


以上のような理由から、罹災都市法は問題を多くもっている法律だと云われています。
事実、阪神淡路大震災で同法が適用され、200件を超える紛争がありました。そして、昨年の東日本大震災では仙台弁護士会から反対意見も提出され、地震から半年たったときに適用されないことが決定されています。

昭和21年8月27日から戦災・震災等から人々を救ってきた罹災都市法は、時代の移ろいで役目を終えた法律なんですね。
廃止案は、来年度国会に提出される予定ですが、いままでご苦労様でした。



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