土地は大きな広がりをもっているため、そのままの状態では所有権など権利の対象として適していません。 そこで権利の対象とするには、土地を人為的に区画しなければなりません。
よって、区画された土地相互についてその境目、つまり境界が生じることになります。

土地の境界といった場合、二つの意味があります。1つは「公法上の境界=筆界」であり、もう1つは「私法上の境界=所有権界」です。

公法上の境界とは、 筆(土地登記簿上の土地の個数の単位で、地番を付されて区画されたもの)を異にして隣接する土地の境目を意味します。

これは練馬区春日町1丁目1番の土地と練馬区春日町1丁目2番の土地との境目はどこかということです。

この場合、各土地の所有者が誰であるかということは関係ありません。 従って、この意味での境界は、国のみが定められるものであって、性質上、最初から客観的に定まっており、 関係当事者の合意によって決まるものではないのです。
そもそも地番がふられたのが税金徴収の手段ですから、課税特権者のあずかり知らぬ所でその範囲が移動することを国が許すわけがありません。

これは、いくら直接の利害関係を有する隣接土地所有者の間で、争いのない線を地番の境目と合意しても、 それは公法上の境界を定めたということにはならないことを意味します。

立会いをしていると、

そして、この公法上の境界について争いが生じれば、裁判所にその確定を求める境界確定の訴えを提起し、 その判断を求めることによって、解決することになります。
公法上の境界は、その性質上「和解」はありません。和解は訴訟当事者の合意によって形成されますが、国家が管理している公法上の境界については、私人間の合意が影響を及ぼすのはおかしいからです。
平成17年から筆界特定制度が発足し、法務省の筆界特定登記官による筆界の特定が始まりましたが、これは登記簿にもその旨が記載されますし、境界確定訴訟において境界の位置が変更される蓋然性があるものですから、一種の暫定的処置と言えます。

※筆界特定制度については後日あらためて書く機会を設けて説明したいと思います。


これに対し、私法上の境界とは、土地の所有権=占有権の範囲の問題であり、隣接する土地の所有権の境目を意味します。

地番境・筆界とは関係なく、誰がどこまでを使用するかの問題ですから、私人間の合意によっていくらでも移動することが可能です。
実際、数十センチの移動はあります。


さて、公法上の境界と私法上の境界が一致していれば、問題はないのですが、一致していない場合が多くあります。
公法上の境界と私法上の境界が一致していないことが、 そもそも土地境界のトラブルが発生しやすい原因ですが、境界について無頓着なのが現状といえます。専門家としては、数千万円の財産を守る意志が低いと言わざるを得ません。

境界の話題がでたときには、その境界は公法上のものを意味しているのか、私法上のものを意味しているのか、 そもそも公法上と私法上の境界は一致しているのかなどを整理して説明し、時には隣接土地所有者同士の通訳も買って出て境界線を決めるのが土地家屋調査士の仕事になります。



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不動産問題解決センター


土地家屋調査士
行 政 書 士   梅 津  彰


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