【 梅垣手越し帯 】 23 ≪ 琳派色紙草花文 ≫ | umegakiorimono ときどき日記

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京都西陣の織元梅垣織物が ≪ 作り手の気持ちを伝える為に “ 西陣織帯地 ”や“ 西陣の事 ”
そして “ 美味しいお店やちょっとした出来事 ” ≫ を紹介させて頂く日記です。
 
『 和装や京都に興味のある方は、是非ご覧ください 』


いつも “ ときどき日記 ” をご覧くださりありがとうございます。

今回は 【 梅垣の手越し帯 】 てごし について、説明させて頂きます。

“ 手越し帯 ”てごしおび とは 
≪手機≫ 同様に 『 手引き 』【 手越し 】 の技術を使用し製織した “ 帯 ” の事です。

『手引き』 = “ 機 ”(はた) を停止させて箔を織り込むという手仕事です。
絹糸の土台に『引箔』(ひきばく)= 糸状に切断された “ 金箔・銀箔 ” を織り込んでいく
技術に加え、異なる種類の『 引箔 』を同時に三枚以上織り込む事は非常に難しく『 手引き 』を
しなくてはいけません。
また、十七色前後の “ 色数 ” に制限されている緯糸(横糸)を【 手越し 】することで四、五色
加えることが出来ます。しかし、これらの作業をするには特に修練された技術が必要です。

“ 西陣織 ”を織る手段として大きく分けると ≪ 手機 ≫ てばた = 手で織る作業 
            ≪ 力織機 ≫ りきしょっき = 機械で織る作業があります
≪ 手機 ≫ の良さは、先程述べた『 手引き 』【 手越し 】が出来る事で箔の枚数や色数も
豊富に対応できます。
そして濡れ緯組織( 糸をぬらしながら織る )という特殊な技法などにも対応できます。
≪ 力織機 ≫ の良さは、早く織れる事と、均一に綺麗に織れる事です。

【 梅垣の手越し帯 】は≪ 手機 ≫で織れる職人さんがいなくなった為、道具としては
≪ 力織機 ≫を使用しますが、弊社専属の伝統工芸士が『 引箔 』を“ 機 ”( はた )を
停止しながら≪ 手機 ≫同様に『 手引き 』【 手越し 】 しています。
動いている機を止める為手間がかかり、箔が裏返らないように等高度な技術が必要になります。
また時間もかかります。しかし≪ 力織機 ≫なので、仕上がりは“ とても綺麗 ”です。
このように双方の利点を取り入れたのが【 梅垣の手越し帯 】です。   

   

            ≪ 琳派色紙草花文 ≫ りんぱしきしそうかもん

   

        この帯は “ 琳派屏風絵 ” に観られる草花文様や綺羅刷り文様を
        “ 色紙や短冊 ” に取り方しました

           

     生地は力強い畦地とし、その上に対照的な繊細さを持つ草花文様を
    “ 本金本漆の引箔 ” で織り上げています。『 生地と柄の対比が面白い帯です 』

   

 この引箔に用いた本金箔は本金の中でも「 縁付け 」と呼ばれる特殊な打ち方をした
 ものであり、非常に軟らかく土台になる漆に馴染み易く「 引箔 」の質感を上げています

           

   「 引き箔 」( ひきばく )と呼ばれる 『 技法 』 を用いています
   
   「 引箔 」には、『 素材 』と『 技法 』があります。
   『 素材 』とは、和紙に薄い金銀箔を張った無地のものや、漆に顔料を混ぜて
    多彩な色を出した“ 箔 ”の事です

   

          

『 技法 』とは、帯地に上品な光沢を持たすことのできる素材である「 引箔 」を組み合わ
せて模様を表したもの等を極細に裁断しそれを一本一本織り込む技術の事です

   

上の写真は、左上が “ 本金紫漆箔 ” 右側が “ 本金箔 ” 下が “ 本金茶漆箔 ” です

この他に『 杜若 』には“ 本金朱漆箔 ”を『 鶴 』には“ 本銀箔 ”を柄の下である土台に
計五種類の “ 本金 ” “ 本漆箔 ” を使用しています

   

また何よりこのような写実的な琳派文様を〔 織物 〕で表現する事は非常に難しく
手機、織機といった製職道具に関係なく、図案、製紋、織組織、糸質、糸染め、金糸等
現在に於ける西陣織の最高レベルの素材と技術を駆使した帯であると自負しています

   

引き箔を使用しているから全て良いというわけではなく、この柄のように
“ 琳派屏風絵 ” をモチーフにした題材を表現する為に “ 引箔 ” を使用しています

   

上の写真は 【 別腹文 】 下を半分程隠して頂いたら、それがお腹の場所にくるイメージです

           

           【 留袖 】【 色留袖 】【 訪問着 】に合せて頂けます

        下の写真は、この柄を昔手機で織った弊社の帯の見本裂です

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この帯の場合、屏風の土台には “ 引き箔 ” を使用せず、波になっている土台に使用しています
 
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                      【 参考本 】

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手機にも簡単な技法から難しい技法があるように、力織機にも同様の事が言えます。
手機にしかできない技法もありますが、手越し( 力織機 )の場合も、織物によっては
手機よりきれいに仕上がるものもあります。
手機と力織機の最大の違いは、意匠・材料等全てが同じでも、最後の製織段階の道具である
“ 手機 ”か“ 力織機 ”かだけなのです。
梅垣手越し帯は ≪ 手機 ≫ 同様に 『 手引き 』【 手越し 】の技術を使用している “ 帯 ” です

難しい説明になってしまいすみません。“ 帯の写真 ”だけでもお楽しみ頂けたら嬉しいです。

色違いをご覧くださる場合は、右をクリックして下さい  ≪ 琳派色紙草花文 ≫ (グレー)              

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


2015年も残すところ、あとわずかとなりました。

今年も更新が少なくなってしまいすみませんでした。
ブログの更新が少なくなってしまったにもかかわらず“ とどき日記 ” を
沢山の皆様にご覧頂き心より感謝しております。ありがとうございました。

今年を振り返ると、世界ではパリ同時多発テロやテロから逃げる大量移民が問題となった
移民危機など難しい問題があり、国内では自然災害による鬼怒川の決壊など心の傷む年でした。
しかし、スポーツ界ではラグビーワールドカップの五郎丸選手をはじめとする日本代表の快挙
またフィギュアスケートの羽生選手の世界最高得点、体操男子の団体金メダル等若者たちの
活躍に今年も“ 勇気と感動 ” を “ 将来の希望 ” を感じさせてもらいました。
また、ノーベル医学賞に大村智・北里大学特別栄誉教授が、物理学賞に梶田隆章・東京大学
宇宙線研究所所長が選ばれるという誇らしい年でもありました。

来年は日本が元気になれる年になれますように。
そして自然災害等で被害を受けられた“ 全ての皆さんが早く笑顔になれますように ”と
願っています。

来年も皆様にお楽しみ頂けるようなブログにしてゆきたいと思っていますので、宜しくお願い
致します。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。


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