2012 年3月上旬のこのテキサス遠征釣行では、カナダ国内にも棲息しているがまだ釣ったことのない魚種を優先的に狙っていた。

これらにはイエローブルヘッドウォーマウス、ストライプトバス、スモールマウスバッファロー、スポッティドガーなどが含まれていたが、このうち釣れたのは本種、スモールマウスバッファローだけだった。

この日は午前中に8度という凍えるほどの寒さの中、ジャスティンというタウンを流れるクリークでイエローブルヘッドを狙ったものの、カメとサンフィッシュ類しか釣れず、心がまたしても折れてしまったが、奮い立たせて午後からはトリニティリバーのエルムフォークと呼ばれる流域に足をのばした。

事前に調べていたスポットは目と鼻の先に見えているものの薮に阻まれて辿り着けなかったが、その手前のプールに大きなコイが数尾見えたので、同じような環境を好むスモールマウスバッファローもいると考え、ここで釣ることにした。

ナイトクローラー (ワームサイズのドバミミズ) のブッコミを置き竿の方で行い、EX 静流渓流 540 の振り出し竿の方ではスチールヘッド用ウキ仕掛けに同じエサを付けて下流側のいくつかのプールを順に探って行った。ハリは最初はヘラ改良スレの8号ハリス1号を使っていたが、後にハリスをマキシマウルトラグリーンの 4lb に、ハリを丸せいご13 号に替えた。

置き竿の方はその後この日ニ匹目となるカメがまたしても釣れたが、振り出し竿の方で探っていた最下流のプールでアタリが出たので、そちらに移動させ、二刀流でアタリを待った。

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振り出し竿の方を置いているのは誰かが差したと思われる枝の竿置き。ここがポイントであることを示唆していた。


二本の竿で何回ほどバラしただろうか。うち一回はカメだったかもしれないし、その後カメも実際にまた釣れた。だがその他のバラシのうちの一つは確かにバッファローで、尾びれの方から上がって来たのでスレだったと思うが、このプールにいることがわかったので大いに意気が上がって寒さも忘れてしまった。

そして食い込みをよくしようと、振り出し竿の方のナイトクローラーの上にバークレーのトラウトワームナチュラルカラーを全長通し刺しにしたところ、寝ていたウキがまたピョコンと立ったので、すかさずアワセた。グンという確かな手応え。

やがて相手はプール内を縦横に走り出した。ぬかるむ泥に足を取られて思うように追いかけられなかったものの、小さなプールだったことも幸いして伸されずに済んだ。今度こそはランディングするぞと思った。

やがて濁った水の中から現れたのは白っぽい扁平なシルエットで、これまで3匹もカメを釣っていたこともあって、ひょっとして巨大スッポンかとも思える不気味な白さだったが、さらに引っ張るとあのマンガのような独特な黒目を見せたのでスモールマウスバッファローだとわかった。体高があるので大きさが倍増して見えた!

そしてプール手前の浅場に慎重に誘導すると、ついに抵抗をやめて静かに横たわった。やった、オンタリオの頃からの夢だったスモールマウスバッファローをついに釣った!!

その浅場は濁りすぎていて撮影には向いていなかったので、日本で草魚用に買ったビニールシートを持って来てバッファローを横たわらせた。鱗に赤みや緑がわずかに入っており、独特の光沢を放っていた。

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初めて釣ったスモールマウスバッファロー、59センチ


この間置き竿の方には全くアタリがなかったので、さっきからバラしていたのはこの同じ個体だったのかもしれない。だとするとコイのいない、バッファローがたった一尾だけいるプールを探り当てられて非常にラッキーだったということになる。



ファイトの方は、中硬調子の振り出し竿で 59 センチの個体とやり合えたわけだから、同サイズまたは同重量のコイと比べるとかなりおとなしいということになるだろう。

そのコイによく似ているが、分類上はコイ目サッカー科イクチオブス属なのでサッカー類レッドホース類に近い。その証拠に尻びれの前端が長く伸び、口ひげがなく、そしてサッカー科特有のあのちょっとグロテスクな口を持っている。また背びれの前端もコイに比べて長く上に伸びている。さらに、マンガのような黒目もコイとは違う特徴だ。ただし全く黒というわけではなく、よく見るとちゃんと虹彩がある。

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最大全長は122 センチで、ミシシッピーリバー流域一帯とメキシコ湾岸の西半分、南はテキサス州のメキシコとの国境であるリオグランデリバー、西はモンタナ州まで広く分布しているが、カナダではエリー湖とその支流およびセントクレアー湖にアメリカ側で移植されたものが分布しているものの、数が少ないのでまず出会うことはない。大小河川のプール、バックウォーターや三日月湖、貯水池、湖などに棲む。無脊椎動物食性および植物食性。

近縁種のブラックバッファローとの違いに関しては、英語だがココに詳しく解説されている。それによると、体長/体高比がブラックバッファローでは2.8以上であり、一方スモールマウスバッファローでは2.7以下とのこと。私の釣ったこの初物個体では2.73だったので、どちらにも当てはまらないが、体の断面が側扁していて背部にキールがあったことと、唇が吻端から比較的後方に位置し、肉薄なことから、スモールマウスバッファローとした。

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この日釣れたカメたち。テキサスはカメが多いというのがこの旅で強く受けた印象だった。ただし幸いにもハリを呑まれることはなかったが、魚とは違ってカメの口にハリをかけるのはできれば避けたいものだ。ちなみに模様は違えども全てミシシッピアカミミガメだそうだ。


2015年9月にイリノイ州のカスカスキアリバーでウサギ用ペレットと缶入りゆでコーンで寄せた後にゆでコーンの付けエサで釣れたスモールマウスバッファロー


同様にナイトクローラー(ワームサイズのドバミミズ)の頭で釣れた、ひれの黒いスモールマウスバッファロー


鱗の並びがところどころ不規則な個体