すすきのにいっぱいファンがいる歌い手さんで、57歳の真ちゃん。
病気になっても笑顔を絶やさず、いつもニコニコ笑っていた真ちゃん。
真ちゃん。
余命3ヶ月と宣告されてから7ヶ月。
よく頑張ったね。
最後のショーのあと、間もなく声が出なくなって辛かったよね。お客さんのリクエストに応えることができなくなって悔しかったよね。
私たちは真ちゃんがそこにいてくれるだけで十分だったんだけど、そりゃ真ちゃんは歌いたかったよね。
今日はそんな真ちゃんの告別式。
静か~に眠る真ちゃんの顔を見ていたら、いろんな思いが溢れ出てきた。
真ちゃんは何十年も歌い手さんとして生きてきたけど、プロとしてデビューしたわけではない。だけど命よりも歌い続けることを選んだ。つんくは歌手として大成功を収めた。だけど歌い続けることよりも命を選んだ。
でも、きっと2人とも同じくらい苦悩した末に、同じくらいツライ決断をしたんじゃないかなと思う。
最初は、声が出なくなったっていいから手術してほしい、命よりも大切なことなんてなにもないって思ってた。
でもそれは、その人と別れたくない者たちの、置いて行かれたくない者たちのエゴなのかもしれない。命と天秤にかけるほどに大切なものを持っている人も世の中にはいるのかもしれない。
真ちゃんの生き様を見ていたら、少しだけそう思うようになった。自分にはそういうものがないからわからないだけなんじゃないかって。
ただ、無情にも真ちゃんの声は数ヶ月前から出なくなってしまい、だったらやっぱり手術した方が良かったんじゃないかってまた私の心はざわついた。
でも、違うんだよね。
また歌を歌える希望、ステージに立てる希望を真ちゃんは自分の体に残したからこそ、5月19日まで闘い続けることができたんだと思う。告げられた余命の倍以上、希望を持って生きることができたんだと思う。
真ちゃん。
そうだよね。
真ちゃんの決断は、真ちゃんの人生にとって間違ってはいなかったよね。
親父ギャグをかましては自分で大笑いをし、お客さんをおちょくっては子供みたいな顔をし、たまにスケベな三日月目を見つかっては開き直る。
面白い話をすれば大口を開けて全身で笑ってくれ、真面目な話をすれば真剣に耳を傾けて聞いてくれる。
いつでも目を細めて明さんのことやお客さんのことを見守っている。
そんな真ちゃんのことが大好きだよ。
いつも笑わせてくれてありがとう。
優しく構ってくれてありがとう。
あたたかい笑顔をありがとう。
そして、素敵な歌をありがとう。
私たちはこの先もずーっとずーっと、歌手・佐藤真二のファンだよ。
だからこれからは広くて明るいお空の上で、思う存分に歌ってね。
私たちに聞こえるように歌ってね。
真ちゃんの歌は、これから札幌でも日本でも世界でもなく、宇宙をステージにして歌われるんだね。
…あれ?し、真ちゃん?
もしかして師匠である明さんのこと、追い越しちゃったやん
いつか私も宇宙をステージにして歌う真ちゃんの歌を聴きに行くからね。
へっへーん!て顔して迎えてね。
行ってらっしゃい、真ちゃん