歌舞伎 天守物語 | 京都を遊びつくすブログ

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シネマ歌舞伎『天守物語』、観てきました。

 

原作、泉鏡花

 

演出、坂東玉三郎
 

この作品を観て、私はは一番はじめに、

 

伴奏が気になりました。

 

歌舞伎と関わりのなさそうなメロディラインと和音だなぁと。

 

楽器は三味線ではなく、筝の音色。

 

しかし違和感は無く、美しい空間を醸し出している。

 

この音楽は一体何なんだと。

 

あとで調べると、原曲は、なんと印象派のフランス人作曲家、

 

ドビュッシーが作曲した「雲」でした。

 

歌舞伎の演目に西欧の曲を使おうと思いついたのが坂東さんなのか、

 

他の人なのかはわかりませんが、

 

その選択に私は心を奪われました。



 

それから、衣裳や照明などの色彩演出。

 

これは美しかった。

 

まず、禿(かむろ)ちゃんたちの真っ赤な着物と、黒髪の不気味さ。

 

最後、天守夫人富姫と姫川図書之助が二人で語り合う、

 

白と黒の妖艶な世界。

 

仕組まれた様々な美しさには本当に圧倒します。



 

ここで、配役をご紹介します。

 

天守夫人富姫:坂東玉三郎

姫川図書之助:市川海老蔵

亀姫:中村勘太郎(現・勘九郎、大河ドラマの『新撰組!』とかに出てた人)

朱の盤坊:中村獅童

 

えびぞう。

 

エビ子ちゃん。

 

両性的で、とてもイケメンでした。

 

あと、中村勘太郎(当時)さんの、これまた真っ赤な衣裳も、

 

とても美しかったです。

 

富姫と亀姫の、何度か出てくる「差し上げませんわよ」

 

という、コントみたいな言葉のかけあいが面白かったです。
 

さて。少しあらすじを書きます。

 

白鷺城(姫路城)の最上階にある異界の、

 

主である天守夫人の富姫が主人公なのですが、

 

そこには巨大な獅子頭がすえてありました。

 

そこへ、福島県の猪苗代城(亀ヶ城)に住む亀姫(富姫の妹)が現れ、

 

二人は再会し、宴を始めます。

 

このとき亀姫は、男性の生首を土産に持参します。

 

それはこの白鷺城の城主・播磨守の兄弟で、

 

猪苗代亀ヶ城の城主・武田門之介の首だったそうです。

 

ここで私は、オスカー・ワイルドの戯曲、『サロメ』を思い出しました。

 

「なんでここで首が出てくるねん!」とツッコみたくなりますが、

 

ここは泉鏡花の世界だからということにしておきましょう。

 

一応、ウィキペディアによると、

 

武田門之介と亀姫の話も読めるんですけどね。

 

そしてその後、鷹匠の姫川図書之助と富姫が出会うわけですが、

 

ここはすっ飛ばして(笑)、

 

最後、異界にすえてある獅子頭を彫った、

 

桃六という者が出てくるのですが、

 

彫師が重要なキーパーソンとなるのは、

 

夏目漱石の『夢十夜』っぽくもあるなぁと思いました。
 

さて、原作者の泉鏡花ですが、

 

妖怪を、おぞましくも艶めかしく書くその描写表現は、

 

映画監督の溝口健二の作品

 

(たとえば『雨月物語』など)のようだなと思いました。

 

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