昨日の風は想像以上に強かった。出かけたくなかったが、午後から新宿で開催される研修参加は必須だった。少なくなった髪が強風で持っていかれないようにジェルで固めて外に出た。何が飛んでくるかわからないので周りにも気をつけなければならなかった。


研修場所がある西新宿エリアには、まだ利用していない須田場が4店残っていた。交通費は出るので、これ幸いと往きと帰りで立ち寄ってきた。これで新宿エリアは累計19店のスタンプが集まった。残りは11店だ。


ただ珈琲を飲むだけでは時間の無駄で、お茶のお供に佐伯泰英氏の『柳橋の桜』シリーズ第三巻「二枚の絵」を選んだ。




娘船頭の桜子は、公儀勘定奉行筆頭用人倉林宋左衛門から江戸を離れるよう話を持ちかけられた。父親の仇討ちを行った百面相雷鬼左衛門と曾野香との戦いがまだ終わっていなかったのか。父親は見てはならないものを見たために殺害されたのか?それを桜子が聞いていたのか?


実際に桜子が聞いたのは「丸に十の字」だけだった。薩摩が関わっていたのか。桜子に大河内小龍太は、日本橋魚河岸の老舗江ノ浦屋彦左衛門の手配で、帆船上海丸で長崎に向かった。そこで1年を過ごす予定になっていた。


詳しい事情がわからない二人はさだめままに生きることを決めた。途中で襲ってきた海賊を撃退した二人は長崎で歓待され、香取流棒術を教えながら新しい生活を始めた。


だが、長崎から認めた手紙を大河内道場に届けた帆方の亀五郎が遺体で発見された。桜子を追う一味の仕業と考えられた。そして長崎の桜子を刺客が襲った。


これも撃退した二人に長崎総町年寄の高島東左衛門から上海行きを勧められた。長崎会所の新しい交易に同行させようというのだ。もちろん秘密だ。


受諾した二人は、密かに訪れた出島で、プロイセン人のケンプエル医師から、フェルメールに私淑していたアルへルトス・コウエルが描いた2枚の絵を見せられた。三本桜に祈る3歳の桜子と父親と猪牙に乗る娘船頭の姿だった。


不思議な縁に驚く二人は、新造船で上海に向かった。いかなる運命が二人を待ち受けているのか。



本書の構成は次のとおり(目次引用)。

序章

第一章 旅の始まり

第二章 海戦はいかに

第三章 文届く

第四章 文使いの悲劇

第五章 出会い終章



とんでもない展開になった。長崎、薩摩は佐伯作品にかかせないものになった感がある。残りの第4巻が明日のブッ○オ○の日までに安くなっていればいいが…。


今日は風がおさまって暖かい日になった。これから遅番の仕事が待っている。