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審議結果の種類

植竹です!

前回は世界遺産の推薦から登録までの流れを解説しました。


晴れて世界遺産委員会会議で「登録」と決議されれば世界遺産の仲間入りなのですが、

じゃあ…

もし「登録」と決議されなかったらどうなっちゃうの!?

ってあたりを解説したいと思います。


世界遺産委員会会議の審査結果には
①「登録」
②「情報照会」
③「登録延期」
④「書類不備」
⑤「審査対象外」
⑥「不登録」
⑦「辞退」

の4つがあります。

①「登録」
これは言うまでも無いですね。めでたく世界遺産の仲間入りです。
ただ、登録されたからといって安心は出来ません。登録後も6年に一度、保全状況報告をしなければならず、保全対策がしっかりしていないと危機遺産リストに入れられたり、最悪の場合はリストから抹消されてしまいます。

②「情報照会」
これは、情報に一部不備があったり、改善の余地があり、登録を保留する場合の結果。
その国の担当政府機関が決められた期日までに追加書類を提出すれば、翌年の世界遺産委員会会議で再度審査を受ける事が出来ます。

③「登録延期」
追加書類の提出に加えて、再調査や推薦書の本質的な改訂が必要で登録を保留する場合の決議。
この場合、諮問機関による再調査が入るので早くても再審査は翌々年の世界遺産委員会会議になります。


④「書類不備」
登録推薦書類の内容が不完全であるもの。


⑤「審査対象外」
ICOMOSまたはIUCNによる現地調査の遅れ、評価報告書作成の遅れなどの理由により、委員会で審議対象とならなかったものの事です。


⑥「不登録」
残念ながら登録に値すると認められなかった場合の決議結果。
こうなってしまうと同じ理由での再申請は基本的に認められていません…。

ただし、「不登録」になった物件を再推薦する事も違う理由でならば可能です。

例えば文化遺産としては価値が認められずに「不登録」不登録になってしまっても自然遺産として認められうる価値があるのであればそれを推薦する事はできるのです。



⑦「辞退」
委員会の審議より前に推薦国自ら推薦を取り下げたものはこの扱いになります。ICOMOSまたはIUCNの事前調査の結果「不登録とすることが望ましい」と評価された場合に辞退するケースが多いです。⑤のように「不登録」になってしまえばもう推薦出来なくなってしまうので、事前調査で「不登録」になる可能性が濃厚な場合、辞退して再度体制を整えたほうがいいという事です。
 



過去にこの「不登録」の刻印を押されてしまったものの中には裏世界遺産と呼ばれるものがあり、ひそかに観光名所になっている場合があります。
例えば…マルタの港湾要塞群や韓国の雪岳山(ソラクサン)自然保護区などが挙げられます。




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