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まことにっき



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占い師の方に、あなたは文章を書いたりする事が向いているから、その時に気になった事を書き留めておく事で、何かヒントが出てくる。
と言われたので、FBとインスタグラムには既にアップしてますが、追って、
簡単な日記をただひたすら思うままに書いて行こうと思います。

ここ最近はずっと、来週行うブランドのポップアップショップに向けて打ち合わせや作業漬けの日々で、息抜きの仕方がわからなかったので凄く良い機会。

日記大事ですね。気になったことは書き留めているけど

ブログとは別で、近年で初めて書いた日記。

[まことにっきvol.1]

「月曜日のランチ」

月曜日の昼下がり、資材の買い出しをした後10年程通っている渋谷のカフェへ。
メニューを覗きオーダーした後ソファに腰を掛けた。
目に前ではランチ休憩中のスーツ姿のOL女子4人組が、何やら真剣に話し込んでいる。

職場にいる、とあるの女子の話。
その子への不満を漏らしていて、4人とも何やら気に食わない様子だ。
どうやら話題の中のその子は前歯が無いらしく、みんなから"歯ナシ"と呼ばれている。
社内でも「あの人さー、歯無いよね?」と歯ナシの話題で持ちきりだ。

距離も近い上に女子4人の声となれば、聞こうとしなくても勝手に耳に入ってくる。
そのとき僕は丁度、オーダーしていたジェノベーゼを "さあ食べるぞ" のとこだった。

ところが、かなりの近距離で
「歯ナシ」「アイツは歯がねぇ」「笑ったら最後だな」などと、4人とも謎の怒りの感情をあらわにし、会議で熱弁するかのように "歯ナシ" というワードを何度もぶつけてくる。

僕にはそのワードがトマホークを喰らったかのように腹をえぐられ、美味しいジェノベーゼを今にも口から噴射しそうな勢いだ。

僕は我慢しながらゆっくりとジェノベーゼを口に運びながら、そのOL達の話に耳を傾けた。

どうやらその"歯ナシ"は飲み会で酔っ払った際に、階段からこけて前歯を失ったらしい。
それから日数が結構経っているにも関わらず、何故に前歯を治さずに平気な顔で会社に出勤しているのか意味がわからない、という会話で盛り上がっている。

僕は息を殺し、耳を澄まし、せめてその子の名前で呼んでくれ。
頼むから"歯ナシ"というワードを出さないでくれと願い、
再度ゆっくりとジェノベーゼを口に運んだ。

女子1「前歯はさぁ、保険出るじゃん?しかも給料でボーナスも出る会社で何年もいるからお金貯まってるはずなのに、なんで前歯を治さねぇんだよ。(苦笑)」

僕「え、前歯は保険でいけるの!?」
僕は驚いた。
前歯は保険でいけるのか、と心の中で動揺した。それが本当かどうかはわからないが、逆に何で前歯だけ?他の歯は?と謎は深まった。

女子2「本当だよねー。しかも"歯ナシ"この前の飲み会で彼氏の話してて、
"今はもう同棲してるから彼の腕枕じゃないと寝れないのー" とか言ってた。」

女子3「はぁ?マジ?キモイわー」

女子2「あっしもマジキモイと思ったわー。
てかその彼氏もよくそれで一緒いれるよね、彼氏も歯ナシなんじゃねーの?」

女子4「でもアイツそういう男の話上手いよね、"ハナシ"だけにねー。ガッハッハ!(4人)」

僕は我慢出来ず、気付いた時にはもう手遅れだった。
誰が見てもわかる程にワッシャワッシャと肩を揺らし、ジェノベーゼを口の中で休憩させ、うつむいていた。
はたから見たら、犯罪者にも見えなくもないだろう。

今日のランチはジェノベーゼを美味しく食べたかっただけなのに、なんだこの4人の会話のチームワークは。

僕からすれば、誰なのかも知らない子(歯ナシ)の前歯だけをそんなにいじり倒して、挙げ句の果てには彼女達も見たこともない彼氏のことまで "歯ナシ" に仕立て上げたのだ。

僕の心臓の鼓動は高鳴り、素敵な月曜ランチどころではなくなっていた。
" 歯ナシ歯ナシってうるせーわ、
歯ナシを想像してまうからはよ帰ってくれ " と心の中で念じた。

すると、その念が通じたのか、女子達の"歯ナシ"の話は終わり、
「そろそろ戻ろっか。」とお会計へ。

ばあちゃん。今日の東京の空は、どこか寂しげだ。

うえのぼりまこと #まことにっき