尹東柱(ユンドンジュ)詩集、上野潤訳(C)-「懺悔録」 | ueno63jのブログ

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  懺悔録


 緑青のついた銅鏡の中に

 僕の顔が残っていることは

 と或る王朝の遺物である故

 こんなにも(はずかし)いのか


 僕は我が懺悔の文を一行にまとめよう

 ―満二十四年一個月を

  如何なる喜びを望み生きて来たのか


 明日か明後日(あさって)かそのと或る喜びの日に

僕はもう一行の懺悔録を書かねばならない。


―その時その若い年齢(とし)

 何故そんな恥かしい告白をしたのか


夜には夜ごと我が鏡を

手のひらで(あなうら)で磨いてみよう。


そうすればと或る隕石の下へ(ひと)り歩み行く

悲しき人の後姿が

鏡の中に現れて来る。


           (1942.124