⒔ 終
⑴
花月うどん店の展代・直之夫婦
クリーニング店の蒲島・まみ夫妻
警察官の泰秀とほたる
逮捕された亀井(偽亜由貴)
直之と展代の息子ヒロシに成り済ましている、詐欺師の新名
借金取り役に扮した詐欺師・健太
本物のヒロシ夫妻(と、おくるみ赤ちゃん)
出演者の大半が舞台にいる状況。
⑵
警察官の泰秀とほたるが亀井を連行して終わりと思われたが、
泰秀は新名と健太に対し、
親泊「お前らも逮捕や」
展代「えっ?、なんでうちのヒロシが?」
親泊「こいつは詐欺師です」
展代「うちのヒロシが詐欺師なわけないでしょ?」
親泊「こいつの名前は新名徹郎です」
展代「新名徹郎って、なに、そのしょうもない名前!」
展代「この子は森田ヒロシです」
親泊「いえ、新名徹郎です」
展代「新名徹郎、しょーもな!」
展代「なあ、ヒロシ」
親泊「新名徹郎です」
展代「新名徹郎って!」
新名「何回言うねん! 新名徹郎やっ!」
展代「えっ…」
寂しげな声で、
展代「ヒロシちゃうんかいな…(しょんぼり)」
息子と思っていた人物が詐欺師と分かり、落胆する、展代。
健太もサングラスを外し、変装を解く。
⑶
展代「そんな…。ちょっと待ってよ。(涙)」
展代「ヒロシが帰ってきて、もの凄い嬉しかったのに…(泣)」
展代「うちのヒロシ、どこにおるんよ!(号泣)」
ヒロ「ここにおるんよ!(困惑)」
展代がヒロシを見て、
展代「えっ、なんやの?」
展代「おまわりさん、この人(=ヒロシ)、逮捕して! 変な子ですわ」
本物のヒロシを見ても息子ヒロシと気付かない、展代。
ヒロ「オカン、ヒロシや!」
展代「もうよろしいって。 帰って」
ヒロ「ちゃんと見て!」
展代がヒロシに近づく。
展代「…?」
展代はテーブルに置かれたハタキを手にし、
ヒロシに近づき、ハタキをカツラのようにヒロシの頭部にゆっくり載せる。
展代「ヒロシ!」
ヒロ「どこで気付いてんの!?」
ヒロシは家出する前はフサフサの髪だったようだ。
そして、亀井が使ったハタキは本来はこの場面で使用されるものだったようだ。
展代「ごめんやけど、お腹見せてくれる?」
ヒロシが服を捲ると『あざ』の文字が現れる。
展代「ヒロシやんか! あんた、いつからおったの!?」
ヒロ「ずっとおった!(困惑)」
こうして、展代とヒロシは再会を果たすことができた。
⑷
カバ「待ってください」
亀井を見てから、
カバ「この人が亜由貴じゃなかったら、うちの亜由貴はどこに…」
ショックを受けている、蒲島夫妻。
すると、ヒロシが蒲島に対し、
ヒロ「亜由貴君やったら、最近、東京で会いましたよ?」
台本上はヒロシがスマホの写真を蒲島たちに見せる場面だが、
ヒロシはスマホを忘れたようで、ポケットから布巾を取り出し、
その布巾を蒲島たちに見せる。
展代「この子も忘れてる!(半笑)」
展代とヒロシが親子であることが改めて証明された。
カバ「ゆっくり見せてくれ。(半笑)」
ヒロシの持つ布巾を凝視する、蒲島とまみ。
新名がヒロシにこっそりスマホを渡す。
ヒロシはスマホを取り出し蒲島たちに見せるが、
直ぐに仕舞い、また布巾を見せる。
ヒロシは芸人としてミスのまま進める腹積りなのだろう。
蒲島とまみは布巾(に映る亜由貴の画像)をじっくり見て、
カバ・まみ「亜由貴や~」
カバ「でも、亜由貴、こんなに太って…」
まみ「誰に似たんやろ?」
ヒロ「二人に似たんでしょ?」
20年間帰らず、連絡も寄越さない息子でも、
生きているだけで嬉しい、蒲島とまみ。
⑸
泰秀とほたるが新名と健太を連行していく。
展代「待って!」
泰秀たちが立ち止まる。
♪悲しめの音楽が流れる
展代が新名と健太に対し、
展代「あんたら、ええ加減にし!」
展代「年寄り夫婦を騙して、権利書を奪い取ろうとするなんて」
展代「最低な人間や!」
新名・健太「…」
展代「せやけど、あんたらが来てくれて、店が賑やかになった」
一転して優しい口調で語りかける、展代。
展代「味が美味しなったんは、はっきり言うてあんたらのおかげや」
展代「うちらにはあんたらが必要ですねん」
新名と健太が少しだけ展代の方に顔を向ける。
展代「おまわりさん、何年くらい(刑務所に)
親泊「裁判次第ですが、おそらく5〜6年かと」
展代「5〜6年…()」
老夫婦には重い年数。
展代は健気に新名たちに対し、
展代「(本音では老夫婦には重い)5〜6年やったら、なんとかなります」
展代「夫婦で力合わせて、二人が出てくるの待っときます」
展代「良かったら、この店を継いでおくれやす」
展代「うち、分かるんです」
展代「身寄りがないから悪いことしてるだけやって」
展代「すっきりしたら、ここに戻ってきたらええ」
展代「ずっと待っとくさかい」
新名「あの…」
新名「俺、お父ちゃんもお母ちゃんもちゃんといてますから」
健太「僕、子供もいてます」
展代「…」
展代「おまわりさん! こいつら、死刑にしてくださいっ!!」
親泊「どないやねん!」
実の息子ヒロシは起業家として成功、偽ヒロシ・新名との縁も切れた今、
展代と直之のうどん屋はいったい誰が継ぐのだろうか?
なにわ男子かキンプリがアルバイトに応募してくることを期待したい。
終
新喜劇終了後、幕が閉まることなく漫才の部がスタート。
20分程度で終了し、出演座員さんが改めて登場しました。
[カーテンコール]
⒈
包丁がハタキに変更された件
⑴
一声目は森田展義さんから。
森田「ありがとうございます!」
森田「、兼、本当にすみませんでした」
⑵
犯人役の筒井亜由貴さんが凶器としてハタキを手にしたことについて、
森田「私が包丁を忘れてしまいまして。(苦笑)」
森田「筒井君も包丁が無いから慌てていて、咄嗟にハタキを渡しました」
森田「そしたら、普通にハタキを持ってた。(苦笑) 柄の方を前に出さんと」
筒井「僕もテンパってました。(苦笑)」
⑶
森田「この後、16時から同じもんをやります」
森田「観に来られれば、どこで包丁を忘れたのか確認できると思います」
新名「包丁持って出てきただけで笑いが起こるかも」
※
補足
実際、16時公演では森田さんが包丁を持っているだけで大きな笑いになりました。
2公演の客席が比較的同じ客(=熱心な森田さんファン)で構成されている証明でもありますよね。
⒉
もりすけさんのスマホ忘れ
もり「舞台に出た瞬間、スマホを忘れたことに気付いて…」
もり「これ(=布巾?おしぼり?)が一番スマホに近かったから」
テーブルの布巾で乗り切ると決めたよう。
蒲島がヒロシから息子の写真を見せてもらう場面で、
カバ「見せてもらう前から、(もりすけさんの)様子がおかしくて」
カバ「目、こんな(↖︎↗︎)なってた。(苦笑)」
森田「新名君がスマホ渡してくれたのに、またおしぼり出してた。(苦笑)」
もり「やっぱり、これ(=おしぼり)で行こうと」
森田「おしぼりだけに推したんやね!」
と、言葉遊び。
前方列の熱心な森田さんファンたちを中心に「おおー」と感嘆の声が上がる。
その声に新名さんは客席を見ながら、
新名「甘やかしたらいかん。(苦笑)」
[雑感]
ホステス(その7)や借金回収(その9)、ハプニング(その10・11)等、
たくさん笑いました。
笑いの部分については本編で逐一触れておりますので、
ここでは物語と登場人物について感じたことを触れていきます。
⒈
森田展義さん・新名徹郎さんと同世代の息子ヒロシ
ヒロシの具体的な年齢は明かされませんでしたが、
展代の話からすると森田さん・新名さんと概ね同世代と思われます。
親子の関係性等、物語にご自身を投影されているのかな?
と考えながら見ていました。
⒉
息子(=詐欺師・新名)に対して時折丁寧語で話す、展代
序盤が丁寧語で、次第に打ち解けて親子らしい会話になるわけではなくて、
常に丁寧語で話すわけでもなくて、
時折、丁寧語が出るんです。
これはどういった意図なのでしょうか?
20年ぶりの再会で距離感が分からなかったのでしょうか?
それとも、心の奥底では息子ではないと気付いていて、
それでも息子と思いたい心のせめぎ合いがあったのでしょうか?
⒊
本物のヒロシと詐欺師・新名の差異
⑴
外見以外で明らかに異なる点がひとつありました。
それは親の呼び方です。
ヒロシ→オカン・オトン
詐欺師→お母ちゃん・お父ちゃん
これは台本通りでしょうか?
それとも演者さんの間違いでしょうか?
人の呼び方は凄く重要なポイントに思えて、気になりました。
⑵
仮に台本通りとすると、
息子を大事にしている親なら呼ばれ方で違和感を覚えるはずですよね。
展代「あれっ? ヒロシは『お母ちゃん』とは言わへんかったわね」、と。
ただ、ヒロシを毛髪量でしか判別できない鈍感な親ですので、
呼ばれ方も気にならなかったのかもしれませんね。
⒋
展代のプライベートについて
⑴
・なにわ男子
・キンプリ
・ダイアモンドユカイさん
・R-指定さん
・トムブラウンみちおさん
・ロックマン→カプコン
・立ち上がれ→ガンダム
展代の口から、60代後半の女性とは思えないワードが沢山発せられました。
⑵
『口調や仕草など表面的な部分だけ展代で、中身はほぼ森田展義さんのまま』
というのが実際かと思いますが、それは言わなかったことにし、
正真正銘、展代のキャラクターであると仮定しまして…
展代のプライベートに興味が湧きました。
なにわ男子とキンプリに関してはアイドル好きであるとして、
他については、風変わりなNo.1ホスト・政唯に気に入られようと
今の話題からアニメ・ゲームまで必死で勉強していたりするのでしょうか?
2022/08/14〜15
【セカンドシアター新喜劇 森田展義さん・新名徹郎さん班】
『うどんのように太く長い親の愛』 完