(第三景)

翌朝、チェックアウト時刻。

 

誰もいないロビーに、

中央奥通路から盗人の裕と敦史が黒ボストンバッグを持ち現れる。

吉田「あれから現場検証があって、壺を入れ替えるチャンスが無かった…」

 

吉田「今のうちに交換しよう」

黒ボストンバッグから偽物の壺を取り出し、あっさりと入れ替え、

西郷の壺をボストンバッグに仕舞う。

吉田「めっちゃ簡単にできたやん!」 笑い泣き

吉田「夜の(=二景)、なんやったんや?」 笑い泣き笑い泣き

 

黒ボストンバッグをテーブル付近に置く。

 

刑事の椎森と岩崎もチェックアウトしようと

黒ボストンバッグを持って現れる。

 

椎森が裕たちに挨拶する。

椎森「おはようございますニコニコ

すると、敦史が椎森に激怒し、

奥重「よくも女将さんのパンティを被ったな!ムキー

吉田「この人ちゃう! (玉置と頭部が)似てるけど!」 笑い泣き

 

椎森は少し気になっていたことがあるようで、裕に確認する。

椎森「そう言えば、昨夜はここで何をしていたんですか?」

吉田「えっ?、あの、自販機を探してましたアセアセ

椎森「そうでしたかニコニコ

 

椎森が黒ボストンバッグをテーブル付近に置く。

 

岩崎「電車の時間が迫ってるんで、急いでチェックアウト済ませましょう」

椎森「そうしよか」

 

岩崎が奥に呼び掛けると、女将の友見が現れる。

椎森が友見に対し、

椎森「チェックアウトしよか?

友見「『しよか?』って…(苦笑)」 笑い泣き

友見が素気味に椎森の発言のおかしさに突っ込む。

 

友見がフロントに行き、

友見「お二人で3万円になります」

椎森が宿泊代を払い、テーブル付近に置かれた黒ボストンバッグを持ち、

岩崎とともに去っていった。

 

吉田「僕たちもチェックアウトします」

友見「お二人で3万円になります」

裕がポケットから財布を取り出そうと手を入れりが何も無く、

吉田「財布、金庫に入れ忘れたままでしたアセアセ

 

裕と敦史が客室に財布を取りに向かった。

 

 

ロビーには、女将の友見一人。

 

チンピラ風の男、大黒(大黒笑けいけい)と健太(けんたくん)がやってくる。

大黒「じゃますんでーニヤリ

友見「じゃますんやったら帰ってー」

大黒「あいよーニヤリ

大黒「、ってなんでやねん!プンプン こっちは用があって来とんや!」

 

友見「…、何の用ですか?」

 

大黒「健太、説明したれニヤリ

 

健太が友見に対し、沖縄弁で捲し立てる。 笑い泣き

友見「…?」

大黒「全く分からん!アセアセ

大黒が健太の話を止める。

 

大黒「何喋っとんや!」

健太「興奮したら沖縄弁が出てしまってアセアセ

大黒「なんや、『マーチャーマーチャー』とか聞こえたけど」

健太「『マーチャーマーチャー』は『イリチャーイリチャー』です口笛

大黒「イリチャー?」

健太「『イリチャーイリチャー』は『カーチャーカーチャー』です口笛

大黒「一生分からんわ! 引っ込んどれ」 笑い泣き

 

友見「…」

 

大黒が友見に用件を伝える。

大黒「生瀬に用事があるんやニヤリ

 

行人と美優が上手端通路から現れ、友見に挨拶する。

行人「おはようございますニコニコ

 

大黒「生瀬、探したぞえー

行人が大黒たちの存在に気付く。

行人「なんでここに!?アセアセ

大黒「借金返さんかい!プンプン

 

美優が行人に対し、

美優「借金があるなんて聞いてないわ!アセアセ

 

健太が美優に対し、

健太「姉ちゃん、ええこと教えたるわニヤリ

健太「そいつ(=行人)の親が借金作って死んでな」

健太「そいつが親の借金の肩代わりしているわけや」

 

美優「行人さん本当なの!?」

行人が頷く。

美優「幾ら!?」

行人「1千万…」

美優「1千万って…!アセアセ

 

大黒「おい、生瀬えー

大黒「とんずらして結婚しようとか、何考えてんねん!」

行人「見逃してください!アセアセ

大黒「甘ったれんな!ムキー

大黒「あかん、こいつ。事務所へ連れて行けえー

健太「へい!ニヤリ

健太が行人の腕を掴み、無理矢理連れて行こうとする。

 

そこに、セカンドリゾート社長・瀧見と社員・湯澤が現れる。

瀧見「騒がしいですねキョロキョロ

 

瀧見が大黒たちに尋ねる。

瀧見「あなたがたは?」

大黒「借金取りや」

大黒「こいつ(=生瀬)が見逃せ言うから事務所に連れて行こうとしてたえー

 

瀧見「なら、私が代わりにお支払いしましょうか?」

美優「助けてください!アセアセ

 

瀧見が1千万の小切手を取り出し、

瀧見「お受け取りくださいニコニコ

と、小切手を美優に渡そうとする。

美優が小切手を手にしようとすると、瀧見が小切手を引っ込める。

 

瀧見「ただし、条件がありますニヤリ

瀧見「旅館の権利書と交換ですニヤリ

美優「そんな…」

美優が手を降ろす。

 

瀧見「なら、彼がどんな目に遭おうと知ったことではないニヤリ

瀧見「では、この話は無かったことにニヤリ

 

瀧見が去ろうとする。

 

様子を見ていた友見が瀧見に対し、

友見「待ってください!アセアセ

 

友見「旅館、お譲りします!アセアセ

美優「お母さん、何てこと言うの!?」

美優「この旅館はお父さんと一緒に作り上げた大切な場所でしょ!?」

 

友見「いいのよ」

友見「お父さんが生きていても、美優のために同じことをしたと思う」

 

友見が瀧見に対し、

友見「権利書、お持ちしますね」

友見が上手端通路に消え、権利書を持ち戻ってくる。

 

友見「ご確認を」

友見が権利書を瀧見に渡そうとする。

 

と、その時、中央奥通路から裕の声がする。

吉田『待ってください!プンプン

 

裕と敦史が中央奥通路から現れる。

吉田「権利書を渡したらダメです!プンプン

吉田「生瀬と瀧見はグルです!プンプン

友見・美優「えっ?」

 

瀧見「君は何を言っているニヤリ

湯澤「言いがかりはよしてください!プンプン

 

吉田「昨日の夜、生瀬の電話を聞いたんや!プンプン

湯澤「証拠はあるんですか?」

吉田「…えー、ない」

湯澤「なら、他人は口を挟まないでください」

 

瀧見が友見から権利書を受け取り、内容を確認する。

瀧見「確かにニヤリ

瀧見が小切手を友見に渡す。

 

瀧見が湯澤に権利書を渡し、二人が去っていく。

 

玄関付近で湯澤が権利書を落としてしまう。

すると、玄関付近にいる行人が湯澤に対し、

行人「湯澤さん、落としましたよキョロキョロ

行人が権利書を拾い湯澤に渡す。

 

友見「えっ、なんで秘書の名前を知ってるの!?」

吉田「言ってみろ!プンプン

行人「それは…アセアセ、」

湯澤「言っちゃダメ!アセアセ それ以上、言ったら、」

湯澤「旅館の娘の彼氏もセカンドリゾートも借金取りもみんなグルで、」

湯澤「旅館の権利書を奪い取ろうとしたことがバレてしまう!アセアセ

友見「何ですって!びっくり

湯澤「ほらバレたー!アセアセ」 

吉田「お前が言うたんや!(呆れ)」 笑い泣き

 

やはり、セカンドリゾート・借金取り・行人は共謀していた。

 

行人が開き直り、悪人顔になる。

行人「その通りやニヤリ

美優「でも、行人さん、私が絡まれてるところを助けてくれたじゃない!アセアセ

行人「アホか!えー

行人「お前を襲った奴らもグルじゃニヤリ

行人「それを信じこみやがって、このブスがえー

 

美優「酷い…ショボーン

 

裕が湯澤のもとまでダッシュし、権利書を奪い取り、上手端に戻ってくる。

行人「返せ!プンプンアセアセ

吉田「返すか!ムキーアセアセ

 

行人「しゃあないなえー

行人「お前ら、やれ!ニヤリ

行人が大黒と健太に指示すると、二人がドスを取り出し振り回し、

美優を人質にして上手端に移動する。

 

下手玄関付近に裕・敦史・友見、

上手端に共謀する行人・大黒・健太・瀧見・湯澤、人質の美優、

吉本新喜劇の一般的な人質場面が出来上がる。

 

 

その7に続く