(モノローグ)
⒒
⑴
カバキングに吸い取られた『ライラとの思い出』が描かれる。
舞台には佐藤一人。
真っ暗な舞台の中、佐藤にのみライトが当たる。
吉本新喜劇というよりは『佐藤太一郎企画』
迫真の演技が観客の涙を誘う、今公演の見どころのひとつ。
⑵
下手側に佐藤が立つ。
佐藤「頼む! 無事生まれてきてくれ!」
指を交互に組んで祈る。
『オギャー』
赤ちゃんの鳴き声が聞こえ、佐藤が顔を上げる。
初めて赤ちゃんを抱く、佐藤。
佐藤「この子が…」
佐藤「ありがとうございます!」
看護師に感謝する、佐藤。
佐藤が赤ちゃんを見つめ、
佐藤「はじめまして、ライラ」
(暗転)
⑶
上手側に佐藤が立つ。
佐藤が赤ん坊のライラに、
佐藤「いないない、バァ」
『キャハハ』
佐藤「今、笑ってくれたぞ!」
妻に嬉しそうに話しかける、佐藤。
(暗転)
⑷
下手側に佐藤が立つ。
運動会。
『位置について、よーい』
佐藤「ライラーッ!」
佐藤「頑張れー!、負けるなー!、行けー!!」
拳を突き上げ全力で応援する、佐藤。
(暗転)
⑸
上手側に佐藤が立つ。
『皆さん、卒園、おめでとうございます』
佐藤「ライラも来月から小学生か…」
佐藤「早い。嬉しいけど、なんか寂しいな。(涙)」
他の出席者に涙を見られていたようで、
佐藤「…」
佐藤「アホッ! 泣いてるか!」
(暗転)
⑹
舞台中央に佐藤が立ち、手を合わせている。
妻の葬式。
お経が聞こえる。
佐藤「ライラ」
佐藤「これからは二人きりやけど…(涙)、」
佐藤「お母さんの分まで立派に育ててやるからな…(号泣)」
暗転
その8に続く