(モノローグ)

カバキングに吸い取られた『ライラとの思い出』が描かれる。

 

舞台には佐藤一人。

真っ暗な舞台の中、佐藤にのみライトが当たる。

 

吉本新喜劇というよりは『佐藤太一郎企画』そのものの、佐藤の一人芝居。

迫真の演技が観客の涙を誘う、今公演の見どころのひとつ。

 

下手側に佐藤が立つ。

 

佐藤「頼む! 無事生まれてきてくれ!」

指を交互に組んで祈る。

 

『オギャーえーん

赤ちゃんの鳴き声が聞こえ、佐藤が顔を上げる。

 

初めて赤ちゃんを抱く、佐藤。

佐藤「この子が…」

佐藤「ありがとうございます!」

看護師に感謝する、佐藤。

 

佐藤が赤ちゃんを見つめ、

佐藤「はじめまして、ライラ照れ

 

(暗転)

 

 

上手側に佐藤が立つ。

 

佐藤が赤ん坊のライラに、

佐藤「いないない、バァチュー

 

『キャハハ爆  笑

 

佐藤「今、笑ってくれたぞ!爆  笑照れ

妻に嬉しそうに話しかける、佐藤。

 

(暗転)

 

 

下手側に佐藤が立つ。

 

運動会。

『位置について、よーい』

 

佐藤「ライラーッ!」

佐藤「頑張れー!、負けるなー!、行けー!!グー爆  笑アセアセ

拳を突き上げ全力で応援する、佐藤。

 

(暗転)

 

 

上手側に佐藤が立つ。

 

『皆さん、卒園、おめでとうございます』

 

佐藤「ライラも来月から小学生か…」

佐藤「早い。嬉しいけど、なんか寂しいな。(涙)」

 

他の出席者に涙を見られていたようで、

佐藤「…キョロキョロ

佐藤「アホッ! 泣いてるか!プンプンアセアセ

 

(暗転)

 

 

舞台中央に佐藤が立ち、手を合わせている。

 

妻の葬式。

お経が聞こえる。

 

佐藤「ライラ」

佐藤「これからは二人きりやけど…(涙)、」

佐藤「お母さんの分まで立派に育ててやるからな…(号泣)」

 

 

暗転

 

 

その8に続く