⒗
⑴
出演者の大半が舞台に揃っているが念のため人物紹介。
舞台に立っているのは、
新人アルバイト・茂造
番頭・高井
オーナー・要
オーナーの息子で、麻理奈の恋人・健一
シェフ・永田
健一との結婚を望む、ISトラベル社長・サキ
手島組組長の息子(=源太郎)であり、健一の恋人・麻理奈
手島組組長・手島
若頭・相原
組員・玉置
雇われボディガード・平山
手島の恋人・美由紀
宿泊客で、美由紀の息子・佳介
佳介の恋人で、手島の娘、麻理奈の妹・彩花
14名。
⑵
手島が息子の麻里奈(=源太郎)に対し、
手島「後目を継いでくれるんか?」
麻理「ああ」
麻理「ただし、条件がある」
麻理「彩花と佳介の結婚を認めてやってくれ」
麻理「…、好きな人と一緒になられへん気持ち、今の俺にはよく分かる」
麻理「彩花には同じ思いをさせたくない」
手島が後ろに立つ相原の方を向き、彩花と結婚させるつもりだった相原に対し、
手島「相原、」
手島が相原に謝りかけて、
相原「みなまで言わんとってください!」
相原も組のためを思って彩花との結婚話を受け入れただけで、
麻理奈が跡目を継ぐなら、彩花の幸せを壊すつもりはない様子。
⑶
手島が佳介に対し、
手島「さっきは俺を庇ってくれて、感謝している」
手島「彩花との結婚を認める!」
佳介「ありがとうございます!」
彩花「お父さん、ありがとう」
美由「佳介、良かったわね」
佳介が手島に対し、
佳介「母のこと、よろしくお願いします」
手島「引退して、美由紀さんを必ず幸せにします!」
美由「佳介、ありがとう」
麻理奈の自己犠牲により、
佳介と彩花、手島と美由紀、お互いの結婚を認め合うことができた。
⑷
手島が麻理奈(=源太郎)に対し、
手島「組を頼んだぞ!、源……、麻理奈」
麻理奈の人格を初めて尊重する、手島。
彩花も麻理奈に感謝する。
彩花「ありがとう、お姉ちゃん。(涙)」
⑸
ここからは茂造夜芝居風の本気の芝居。
麻理奈が手島組組長らしく男口調で相原と玉置に対し、
麻理「相原!、玉置! これから頼んだぞ」
相原・玉置「へいっ、二代目!」
麻理「行くぞ!」
相原・玉置・麻理奈が旅館を出て行こうとしたその時、
健一「麻理奈さん、待って!」
麻理奈が足を止める。
(玄関付近に←麻理奈←←←上手寄りに健一、の立ち位置で)
健一が麻理奈の背中に想いを告げる。
健一「僕は今でも麻理奈さんのことを、(愛してる!)」
健一が全てを言い切る前に麻理奈が、
麻理「それ以上言うな!」
麻理奈が健一に背中を向けたまま、男口調で、
麻理「最初からこうなる運命やったんや」
麻理「所詮は実らぬ恋…」
麻理「俺は組を守る! お前は旅館を継いで守っていけ」
麻理「これで、お別れや」
去りかけた麻理奈が足を止める。
客席の方に体を向け、ゆっくりサングラスを取る。
手島組組長としてではなく、恋人・麻理奈として(背中越しの)健一に対し、女口調で
麻理「いつか、こうなる日が来ると思っていた…(涙)」
麻理「あなたと過ごせた時間、とても幸せでした!(涙)」
麻理奈がサングラスを掛け手島組二代目の厳しい顔に戻り、
相原・玉置とともに旅館を去っていく。
健一が玄関まで麻理奈を追いかける。
健一「麻理奈さんっ!」
しかし、麻理奈は健一の方を振り返ることなく去っていった。
健一「麻理奈さぁーん!!(悲)」
健一が虚しく叫ぶ。
⑹
ここから、再び新喜劇モードに。
1時間公演ということで観客が余韻に浸る時間は与えられず、緩急激しい印象。
サキが健一に対し、
サキ「健一さん、私と結婚しましょ?」
健一「すみません。サキさんとは結婚できません…」
サキが客席に大きな体を向け、
サキ「フッ。なんでこんなことになったのかしら?」
すると、茂造が杖でサキのお腹を差しながら、
茂造「食べすぎや」
サキ「…!」
⑺
健一と麻理奈の別れ等、全てを見ていた要がサキに対し、
要冷「健一のためと思って縁談を進めた私が間違っていました」
要冷「健一の幸せを一番に考えるべきでした」
要冷「五十嵐さん、すみません。今回の縁談は白紙ということに…」
サキ「私とでは幸せになれないっていうの!? 酷いっ!!」
茂造がサキに対し、
茂造「思いっきり泣きなさい」
すると、サキが舞台最前で客席に向けて、アザラシの鳴き方で、
サキ「アーアー!!」
思い切り鳴いた、いや泣いた、サキ。
少しは楽になれただろうか?
⒘ 終
⑴
サトシが元カレ・松本を見つけたようで、松本の手を取り旅館に逃げ込んでくる。
香織「待ちなさい!」
松本の彼女・香織が二人を追いかけてくる。
香織が兄で恋敵のサトシに対し、
香織「慎一郎さんを返して!、お兄ちゃん!」
サト「お兄ちゃんは慎一郎がいないと駄目なんや!」
香織「こうなったら、お兄ちゃんには死んでもらう!」
ナイフを取り出し、サトシに襲い掛かる。
茂造「あかんて!」
ナイフを振り上げた香織の腕を掴む、茂造。
茂造は香織から力尽くでナイフを奪い取るが、
勢いあまり、茂造の背後で心配そうに見ていた手島の胸を斬りつけてしまう。
手島が倒れ込む。
茂造「えっ!? えっ!? えっ!? えっ!?」
茂造「斬ってもうたーっ!!」
茂造がパニックになり、近くにいるサキにナイフを渡す。
⑵
そこに、玉置が戻ってくる。
倒れた手島とナイフを持つサキを見て、サキが斬りつけたと判断する、玉置。
玉置「ワレ、何さらしてくれとんじゃ!」
サキ「えっ?」
玉置がサキを殴り倒し、羽交い締めにして連れて行く。
玉置「海に沈めたる!」
サキ「たっ、助けてーっ!」
すると、元凶・茂造がサキに対し、
茂造「諦めたらどうや!?」
高井「言うてる場合か!!」
手島が意識を取り戻す。
茂造が振り下ろしたナイフはポケットの中のスマホをかすっただけだったようだ。
アザラシのサキはどうなるのだろう?
このまま玉置の手で海に返されるのだろうか?
終
[歌]
『どんなときも』
NGK辻本新喜劇でも歌われた楽曲。
ソーシャルディスタンスの都合、8名までしか歌うことができず、
一列目は下手側から吉田佳さん・村崎さん・辻本さん・富樫さん・井路端さんの順、
二列目は下手側からたかおさん・手島さん・要さんの順に並び歌唱。
二番のサビで全員が登場。
実際に歌う人を減らすため、全員で歌を事前録音し、感染予防対策を徹底したそうです。
その12に続く