⒑
⑴
健一とサキが再びテーブルに着く。
(サキから視線を逸らす健一↓テーブル←サキ、というポジション)
ダンスでヘトヘトになったサキが唾を飲み込み、
サキ「(んっ)、健一さんっ」
茂造「死にかけやないか!(苦笑)」
サキに名前を呼ばれたももの、縁談に乗り気でない健一は
健一「…、五十嵐さん、なんでしょうか?」
サキ「サキって呼んで!(不満)」
健一「…(困惑)」
要冷「健一!」
健一は仕方なく
健一「…、サキさん、なんでしょうか?」
サキ「私からプロポーズします」
サキ「私と結婚してください」
すると、健一の下手側でサキと観客に背中を向けた茂造が裏声で、
茂造『絶対イヤ』
サキは健一ではなく、茂造の声と直ぐに気付き、茂造を見るが
茂造は裏声のまま、
茂造『何で嫌がって?』
茂造『それはアンタの体がカブトムシの幼虫みたいやからや』
茂造『サナギになる前に、帰れ帰れー』
サキが茂造に対し、
サキ「ちょっと!、お爺さんが喋ってるでしょ!」
茂造がサキの方を向いて、先程までの裏声で
茂造『証拠あるんか?』
要が茂造を叱る。
要冷「なんで邪魔するんや!」
茂造が独り言のようにやや早口で、
茂造「健一と麻理奈は付き合ってる!」
要冷「健一と麻理奈が付き合ってるやと!?」
茂造「えっ!?」
高井「あんたが言うたんや!」
茂造「今、ワシ言うた!?」
高井が頷く。
茂造「気づかんかった…。病気かもしれんから、明日病院付いてきて?」
一人では病院に行けない、可愛らしい茂造。
健一と麻理奈の関係は、当然、縁談相手のサキも知らないことで、
サキ「要さん、どういうこと!?」
⑵
ここで、永田が動く。
永田「待ってください!」
永田が旅館入り口付近に居る麻理奈のもとに行き、
永田「私も麻理奈さんを愛しています!」
健一も麻理奈のもとに行き、
健一「僕は麻理奈さんと付き合っている!」
永田「私の麻理奈さっ、んに、対する愛、を止めることはできない!」
セリフが怪しくなった永田に、
茂造「お前のセリフが止まってるやないか!」
見事なアドリブに客席が沸く。
(麻理奈→←健一&永田、の立ち位置で)
健一「麻理奈さん、プロポーズの返事を!」
永田「麻理奈さん、私があなたを幸せにします!」
麻理「私…」
麻理奈は返答できず、下手奥通路に逃げるように走り去る。
健一・永田「麻理奈さん!!」
二人が麻理奈を追いかける。
すると、茂造が杖で壁を叩き、頭が剣山状になった茂造の仕掛けが降りてくる。
健一・永田「わっ!!」
二人が腰を抜かす。
茂造が健一と永田に諭すように、
茂造「(彼女は)今は一人になりたいんや」
⑶
要が申し訳なさそうにしながらサキに対し、
要冷「一先ず、お部屋の方で…」
茂造が『何々の間』で鍵を渡す時間。
茂造が首を左右に振りリズムを取り、アドベンチャーワールドのテーマを歌いながら、
少しずつサキに近づく。
茂造「♪Always together 何が起きても~」
本来はサキが「♪Always together 歩いていける~」と返す場面だが、
サキ「♪Always together 歩い…、ぶはははーっ!!」
と大笑いしてしまう。
茂造「何やねん!(半笑)」
サキ「首動かして歌うから。(笑)」
茂造「ノッてるだけや!(半笑)」
茂造が顎を小さく振り客席を指し示しながら、
茂造「笑うんやったら、向こう(=客席)行け!(半笑)」
大笑いするサキにほっこりする、非常に印象に残る場面。
※
補足
何々の間のくだり、本来は、
茂造「♪Always together 何が起きても~」
サキ「♪Always together 歩いていける~」
茂造「あっ、『間~』出てけえへん。(苦笑)」
高井「『る~』やった。(苦笑)」
でした。
⑷
サキが茂造から鍵を受け取り、要や健一とともに客室に向かった。
永田が一人叫ぶ。
永田「健一さん!、麻理奈さんは私に任せてください!」
永田が上手端通路に走り去る。
この時の永田の走り方・手の振り方が完全に乙女のそれで、
茂造と高井が素気味に笑い出してしまう。
茂造「なんやねん、あいつの走り方。(半笑)」
その8に続く