売店アルバイト・茂造
売店店長・大島
院長・高井
看護師・幸恵、花子
五人。


景子の彼氏・翔太が上手端通路から逃げるように現れ、
病院入り口通路に逃げて行こうとする。

景子が翔太を追って現れ、翔太に対し、
景子「待って!アセアセ
翔太「僕…ごめんっ!」

翔太が入り口通路に消えた。

高井「挨拶も無しに、一体どうしたんや?」
幸恵「随分、慌てていたみたいだけど…」

茂造が厳格な父親風に、標準語のイントネーションで、
茂造「帰りの挨拶もせんような男、ワシは認めんぞプンプン笑い泣き
大島「あんた、関係無いやろ!」

高井「いや、茂造さんの言う通りやプンプン
高井「皆、仕事に戻ってくれ」
高井が上手端通路から院長室に向かう。

茂造・大島は売店バックヤードの掃除に向かい、
花子は入院病棟の巡回のため、下手奥通路に消える。


幸恵と景子、姉妹二人。

幸恵「景子、何かあったの?」
景子「…ショボーン
幸恵「翔太君と喧嘩でもしたの?」
景子「ううん…ショボーン
幸恵「そう」

幸恵が下手奥通路に消えようとする。
景子「お姉ちゃん、待って!」
幸恵が立ち止まり、景子の方を振り向く。
景子「実は…」
幸恵「どうしたの?」
景子「私…」
幸恵「…?」
景子「妊娠してるかもしれないの!」
幸恵「えっ!?、本当なの!?びっくり
景子が頷く。
景子「不安なの…ショボーン

幸恵が上手方向に体を向け、戸惑いの表情を見せる。
幸恵「景子が妊娠!?」

その瞬間、売店横の壁(=コーヒーボトル展示棚)が落ち、
茂造・大島・花子「えーっ!!!びっくり笑い泣き

と、三人が現れる。

茂造「景子ちゃんが妊娠してるとは、気付かんかった」
大島「あんた、今日来たばっかりやろ!」 笑い泣き

幸恵「立ち聞きしてたんですか!?」
茂造「立ち聞きとか失礼な!…掃除してたら、最後の方が聞こえてきたんや」
幸恵「『最後』って、どこから?」
茂造『景子、何かあったの?口笛笑い泣き
幸恵「もう、最初からじゃないですかー!アセアセ


景子は体調が優れず、妊娠検査薬で調べたところ、陽性反応が出たらしい。

茂造「ほんまか?」
と、妊娠検査薬の使い方を事細かに説明する。
大島「詳し過ぎるやろ!」

茂造「もう一回、検査してみろ!ニヤリ
バッグから妊娠検査薬を取り出す、茂造。 笑い泣き
大島「なんで持ってんの!?アセアセ
茂造は小指を突き出し、
茂造「これ(=彼女)が心配してるみたいやからニヤリ笑い泣き
大島「元気過ぎるでしょ!」


大島「このことを院長が知ったら、怒りますよ」
茂造「手ー繋いだだけで怒るのに、妊娠を知ったら、どうなんねやろー!?チュー
楽しそうな、茂造。

幸恵「このことは黙っておいてください!」
茂造「黙ってられるかなー!?チュー


上手端通路から高井が現れる。

茂造は高井を見て、
茂造「お爺ちゃん!口笛笑い泣き
全員「…アセアセ
高井「…お爺ちゃん?」
茂造「ワシ、お爺ちゃん!口笛笑い泣き
茂造「一日一回、確認してる口笛
茂造「ワシ、お爺ちゃん!口笛」 笑い泣き

高井「…?」

 

この段階では、なんとか誤魔化すことができたが…


高井が景子に尋ねる。
高井「バレエの先生から連絡があって、いつ復帰できるか聞いてたぞプンプン

景子が高井に背を向ける。
高井が景子の肩を揺すりながら、
高井「景子、なんで無視するんや!いつ復帰するんや!プンプン

その様子を見る茂造が早口めに、
茂造「乱暴にしたら、あかんて!、景子ちゃん妊娠してるのに!ガーンアセアセ笑い泣き

高井「景子が妊娠やと!?びっくりプンプン

茂造「なんで知ってんの!?キョロキョロ
大島「あんたが言うたんや!アセアセ
茂造「ワシが言うた?」
茂造はわざわざ舞台中央最前に行き、変顔で、
茂造「なんてこった、パンナコッタ口笛笑い泣き


高井が景子の妊娠のことを大島達に確認する。
高井「大島君、ほんまか!」
茂造「ほんまや」
高井「お前に聞いてない!ムキー

高井「幸恵、ほんまか!」
茂造「ほんまよおねがい
高井「声変えてもお前や!ムキー

高井「景子、ほんまか!」
茂造「ほんとでおじゃる口笛
高井「公家すな!ムキー笑い泣き
高井の意外性のある返しに、

シリアスな場面を演じている幸恵が素で笑い出してしまう。
茂造「…おじゃる丸のつもりやった。(苦笑)」

高井「黙っとけ!プンプン

高井が再度、景子に尋ねる。
高井「景子、どうなんや?」
景子が頷く。
高井「あの、翔太って男か!まだ、17歳やぞ!プンプン

幸恵「お父さん、落ちついて」
高井「これが落ちついていられるか!プンプン
幸恵「だからって、景子に怒鳴っても何も解決しないわよ」

大島「そうです。冷静になってください」

高井が景子に対し、
高井「どうするつもりや?」
茂造が可愛らしい声で、
茂造「産む口笛おねがい笑い泣き
高井「…えー

高井が景子に対し、
高井「許さんからな!プンプン


騒ぎを聞きつけ、診察室から北代医師が現れる。
北代「何かありましたか?」
高井「景子が妊娠したかもしれないんです」
高井「検査をお願いできますか?」
北代「分かりました。こちらへ」
景子が診察室通路に向かい、なぜか茂造も付いていこうとする。

大島「行かんでええ!」
大島が茂造を引き止める。


高井「頭を冷やしてきます」
高井が院長室に向かおうと、上手端通路に消え、
幸恵も心配して付いていく。

茂造「冷やした方がええと思うわ。…顔、腫れてるからニヤリ笑い泣き


大島「顔は、」
大島・茂造「もともと!!」
大島のツッコミに合わせる、茂造。

 

 
その10に続く