⒏
⑴
舞台は、『教会』。
長椅子が4つ、並べられている。
ロミオはジュリエットへの想いを断ち切れず、
想いを叶えるため、以前から親しくしている神父に相談に来た。
⑵
神父(島田一の介)が現れる。
一「お邪魔します~」
ロ「神父様、けったいな挨拶はやめてください」
ロ「神父様、結婚したいんです」
一「そんな、急に言われても…」
一「私には嫁が居てるんで」
ロ「あなたじゃなくて、ジュリエットとです」
一「あのジュリエットと?」
一「二人が結婚すれば、モンタギュー家とキャピュレット家は和解できる」
一「時代は変わる。…私は大賛成です」
⑶
一「二人の誓いを聞こう」
ロ「ジュリエットも呼んでいますので、到着次第、結婚式をお願いします」
ジュリエットがやって来る。
ロ「ジュリエット!」
ジ「ロミオ!」
ロミオと抱き合う。
遅れて、乳母のブータがやってくる。
一「ブータ!」
藍「神父様!」
思い切り抱き合う、神父とブータ。
ロ「何しとんねん!」
一「二人を見ていたら、ムラムラして、グヘヘッ」
ロ「ワレ、神父か?」
⑷
そこに、チクビーとギターがやってくる。
裕「ロミオのお母さんも呼んだで」
ロミオの母、モンタギュー夫人(山田花子)が登場。
ロ「お母様!」
花「おお、ロミオ!」
花「…どうして、あなたはロミオなの?」
ロ「名前付けたん、あんたやから!」
⑸
松「俺らの彼女も呼んだ」
松「こっち、こっち~!」
すると、マリ、ケイコ、ナルミが登場。
ロ「…?」
ロ「男性2人に、女性3人…人数、合わへんやん」
マリがチクビーのもとに行く。
真「私はチクビー!」
ケイコがギターのもとに行く。
景「私はギター!」
ロミオは残ったナルミを見て、
ロ「…ほな、最後の一人は?」
成「私は…」
ナルミは神父のもとに行く。
成「神父様!」
ロ「おい、神父!あんた、嫁、居てるやろ!」
一「グイグイ来るもんやから、グヘヘッ」
一「嫁には内緒でお願い」
ロ「神父ちゃうんですか?」
一「もう、神父、辞めたいねん!」
⑹
ジュリエットがロミオに対して、
ジ「邪魔が入る前に、結婚しましょう!」
ロ「そやな。神父に時間割いとる場合ちゃうわ!」
一「では、式を始めようか!」
⒐
⑴
神父が(舞台下手の)マイクの前に立ち、司会を務める。
一「では、結婚式、スタート!!」
ロ「クイズ番組か!」
一「汝、川畑…ロミオ」
ロ「グダグダやな」
一「ダメ出しは、後でお願いします」
一「汝、ロミオは、このジュリエットを妻とし…」
一「病める時も、健やかなる時も共に歩み、死が二人を分かつまで、愛を誓いますか?」
ロ「誓います」
一「汝、ジュリエット。…以下、同文」
ロ「略すな!」
⑵
一「では、余興の時間です!」
ロ「余興?」
一「余興が一番、大事やねん」
一「大変長らく、お待たせいたしました」
一「先ずは、ロミオのご友人から祝いのスピーチを…」
ギターが後ろでギターを弾きながら、チクビーが挨拶する。
チ「ロミオ、ジュリエット、ご結婚おめでとうござい…」
『♪ドゥルンドゥン』
チ「『♪ドゥルンドゥン』、やめろ!」
チ「もしかして、ふざけてる?」
『♪ピンポーン』
チ「正解かーい!」
チ「以上です」
一「心温まるスピーチ、ありがとうございます」
ロ「何や、これ!」
ロ「ほんで、おっさん!囁くように言うな!」
一「ロミオ、うるさいよ~」
⑶
一「次はブータ様からの挨拶です」
藍「ささやかではありますが、二人にプレゼントを用意しました」
藍「末長く二人の愛が続きますように…二人で一本のロングマフラーです」
ロミオとジュリエットの横に座り、
マフラーを編み始める。
ロ「今から、編むの?」
一「ありがとうございました」
一「早く、出来上がるといいですね」
ロ「おっさん、何言うとんねん!」
一「うっさいぞ、ロミオ!」
⑷
一「次は、お母様のトランペット演奏でございます」
モンタギュー夫人がトランペットを取りに捌ける。
ロ「持ち歩いとけよ!」
花「それでは、結婚式のテーマソングを」
メンデルスゾーンの『結婚行進曲』の演奏を始める、モンタギュー夫人。
『♪パパパパーン パパパパーン パパパパーン…』
『♪パパパパーン』
最初の部分を繰り返す、モンタギュー夫人に、
ロ「次、行けよ!」
演奏し直すと、今度は途中から、
ショパンの『葬送行進曲』に変わる。
ロ「葬式になっとるがな!」
一「ありがとうございました」
一「素晴らしい音色でございました」
ロ「何の時間?」
⑸
一「次はジュリエットのご友人による歌でございます」
一「曲は『てんとう虫のサンバ』」
ブータがロミオにアドバイスする。
藍「キッスのチャンスや!」
藍「『口付けせよと 囃し立て』を繰り返すから、そこでキッスや!」
ロ「分かったけど、キスをキッスって言うの、やめて」
愛「『キッス』、頑張れよ!」
マリ・ケイコ・ナルミが歌い始める。
『♪口付けせよと 囃し立て』
『♪そっとあなたは くれました』
ロ「…?」
そのまま曲は進む。
『♪赤 青 黄色の 衣装を付けた』
『♪てんとう虫が しゃしゃり出て』
『♪てんとう虫が しゃしゃり出て』
ロ「…?」
マリ・ケイコ・ナルミがロミオの周りに集まり、歌いながらロミオの行動を待つ。
『♪てんとう虫が しゃしゃり出て』
『♪てんとう虫が しゃしゃり出て』
『♪てんとう虫が しゃしゃり出て』
『♪てんとう虫が しゃしゃり出て』
ロ「どう表せっちゅうねん!」
一「どうも、ありがとうございました」
一「素晴らしい歌声でございました」
⒑
⑴
一「それでは、最後になりました」
一「シェークスピアの挨拶です」
ロ「…えっ?誰?」
シェイクスピアが現れる。
⑵
シェイクスピアが(舞台下手の)マイクの前に立ち、
す「これから、『三つのお茶の袋』の話をします」
ロ「『三つの袋』じゃなくて?」
お茶の袋の裏側に記載された、一般募集した川柳を読む。
す「最初は、緑茶。…29歳、男性」
す『我が子抱き 父への感謝 溢れ出す』
す「父親になって、親のありがたみに気付く…ええ川柳やね」
す「次は、玄米茶。…30歳、男性」
す『焼き芋を はひふへほーと 吹き食べる』
す「一歳年を取ったら、急にアホみたいになった。(苦笑)」
す「最後は、ほうじ茶。…吹田市、47歳、女性」
す『Tバック 食い込む摩擦で 火を起こせ』
す「…どっかで聞いた気がするけど」
⑶
シェイクスピアはギターに対して、
す「『松浦』、協力して!」
ロ「…松浦?彼は『ギター』ですよ?」
⑷
す「シェイクスピア&真也でーす!」
す「シェイクスピアあるある、やります」
真「お寿司、あるある~」
真也がギターを弾き、歌う。
真「♪はー」
真「♪シェイクスピアは 寿司を食う時」
真「♪シャリに醤油を 付けて食う」
す「あれ、ネタに付けて食べようとすると、ひっくり返さなあかん」
す「ほんだら、体曲げるから、頭が横の人に当たんねん」
す「ほなもう、シャリに付けたらええわって」
す「シャリがボロボロ、落ちていくけど」
真「…とか、言ったとか、言わなかったとか」
⑸
真「迷信、あるある~」
真也がギターを弾き、歌う。
真「♪はー」
真「♪シェイクスピアは 朝であっても」
真「♪蜘蛛を見つけりゃ 直ぐ殺す」
す「午前11時59分59秒に仕留めたとしてよ」
す「生き絶えるのか、12時過ぎやとする」
す「これ、朝蜘蛛を殺したことになるんかな?」
真「…とか、言ったとか、言わなかったとか」
⑹
シェイクスピア&真也のネタが終わる。
一「ありがとうございました」
ロ「無茶苦茶やな」
結婚式の余興が終わった。
暗転。
黒幕が降りる。
<シェイクスピアの時間> ③
⑴
編集者バターがシェイクスピアに対して、
川「余興の場面、長すぎる!」
す「ペンが進んじゃって」
⑵
川「おっさん、出とったな。(苦笑)」
す「8分位、するつもりやったんやけどね」
す「…ギターのとこで『こら、あかんわ!』って、なって」
す「早々に、心が折れた。(苦笑)」
⑶
す「余興の後、一回、ホテルに戻ってね」
す「おっちゃん、酔い過ぎやなー」
す「おばちゃん、歌、下手くそやったなー」
す「おっさん、普段偉そうやのに、ご祝儀、少ないなー」
す「…毎回、親戚の悪口が始まんねん」
川「それは、『結婚式あるある』や!」
その6に続く