燃えたぎらせている間に
タイミングを逃して

今頃沸騰してきた怒りを
ガムを噛んで抑える

強火に変わる
きっかけがなかったから

両親も友達も
僕にはないものだと思ってる

誰かの挑発を期待している
小心者の反抗期
伝えたい言葉
全部伝えたとしても

伝えたい気持ちは
尽きることがない

くだらないやりとりの楽しさに
後ろ髪を引かれて

用もなく
話をはじめた僕を

遮るようにやって来る
帰りのタクシー
別に麦茶でも良かったのに
コーヒーを飲んでいる

まどろんだ音楽の渦に
耳を沈める

夜更かしなんて
するつもりはない

眠らせてくれるものを
ただ待っているだけ

何も思わないというよりも
何も思えないだけ
耳が聞き取れなかったものを
目が捉えられなかったものを

補ってくれる
理想に似た妄想

悲しい争いの
発端はいつも

妄想同士の
些細なすれ違いから

どちらかの妄想を
実現させるまで続く
蛍の見える丘へ
君を連れて行く

さまよう光の中で
君をおんぶする

僕があげられるものは
僕以外のすべて

その小さな手に
暖かな感触を残せるように

その大きな眼に少しでも
眩しい残像を残せるように
平静さを
得意にしていたかったのに

思いもよらない場面で
言葉にトゲが出る

継ぎ合わせる会話は
よそよそしくなるばかり

右足の傷をかばいすぎて
左足も痛めてる

私の心は
ちょうど今そんな感じ
不器用な鉛筆たち
雑な消しゴムたち

戦を終えた後のように
荒れたノート

書き連ねた言葉まで
心が届かない

握りしめた全てのものと
血を通わせたいけど

僕はまだ
血を流させるまでしか至ってない
神様がいるから
祈るんじゃない

祈りたい気持ちが
僕らに神様を作らせる

信じられるものを
見つけやすくするために

ひざまずく足に
差し込む光を呼ぶよりも

僕らを待つ陽だまりへ
犬と散歩
露わにすることを許されない
醜さを秘めて

二つの手は繋がれる
互いを探る余裕もなく

風が空で呻いている
時間が覚悟を求めている

全てを見せ合うことなく
彼らは全てを分け合う

見つめあう瞳の奥で
夕日がしぼんでいく
それらしいものから
それらしいものへ

思わせぶりな
映像が重なれば

やがてそれは本物となる
帽子からハトが飛び出すように

人は嘘を使わずに
人を騙すことができる

上手に編集された
真実をもって