日持ちをのばす(その4)銀が老化を止める

テーマ:
生産者のみなさまは今年の出荷が終わり、
市場は29日(月)が止市、
花屋さんは除夜の鐘まで年末商戦が続きます。
お疲れ様です。
新年の仕事はその逆から始まります。
花業界の短い休み、1年のお疲れを癒してください。
このブログは年末年始も続きます。

さて、老化の主役はエチレン。
ただし植物のお話しで、人間の老化ではありません。
エチレンの働きを止めれば老化も止めることができる。
不老長寿、不老不死を実現できます
そんな夢のような物質がありました
「銀」
金、銀、銅の銀
貴金属の銀

銀を切り花に吸わせれば
老化ホルモン、エチレンの働きを止め
日持ちが飛躍的にのびます

どうやったら金属の銀を切り花に吸わせられるのか?
銀が水に溶けるのか?
銀が水に溶けたら
銀の入れ歯はどうなるのか?
銀のナイフやフォークはどうなるのか?

金属をそのまま水に入れても溶けません
しかし、硝酸銀のように
硝酸イオンと銀イオンを結合したものは
かんたんに水に溶けます
理屈ではこう説明できますが
私自身、納得できたわけではありません

銀を切り花に吸わせれば日持ちがのびることは
結構古くから知られていたようです
写真の現像液
いまはデジカメや携帯になり、フィルムは姿を消してしまいました
フィルムの現像液は臭化銀がつかわれていました
それを切り花に吸わせるとわずかに日持ちがのびたという報告があります
ただその効果は小さく、実用技術にはなりませんでした

オランダのVeen(オランダ語ではVはFと発音するそうで、「フェーン」)が
1978年に硝酸銀とチオ硫酸ナトリウムを混合して
銀を錯塩にかえると
切り花は短時間で銀を吸い上げ
カーネーションの日持ちが2倍以上にのびることを報告しました
これがチオ硫酸銀錯塩(SilverThioSulfate anionic complex)=STSです

残念なことにVeenはこの論文を発表したあとすぐに亡くなりました
STSには特許もありません
そのため1980年代前半にはSTS商品が販売され、一挙に普及しました
日本では甲東(株)のコートーフレッシュK20C(現クリザールK20C)、パレス化学(株)のハイフローラ/20など

なぜ切り花は硝酸銀では吸えなくて、STSは吸えるのか?
硝酸銀の銀は陽イオンの銀(Ag+)
STSの銀は陰イオンの銀(Ag-)
水は道管(茎の中にある細いストローのような管)を通って葉や花に達します
この道管は電気的にはマイナス
陽イオンの銀(プラス)はマイナスの道管内では電気的に結合して動けない
一方、陰イオンのSTS(マイナス)はマイナスとマイナスで反発しあうので
移動しやすい
理屈ではこう説明されていますが
体感的には納得しにくいですね

下の図は私の実験
カーネーション切り花に同じ濃度の硝酸銀(AgNO
3)とSTSを1時間吸わせた場合

図 切り花は硝酸銀は吸えないがSTSなら瞬時に吸え、銀が花に達する
  その結果日持ちがのびる

1時間後カーネーションのどの部分に銀が存在したか
硝酸銀ではすべて切り口付近
つまり銀を吸いあげることができなかった
STSでは花にまで達していた

その結果
硝酸銀の日持ちは水を吸わせた場合と同じで
老化を止められなかった
STSでは2倍にのびた

STSは瞬間的に銀が吸われ、花に達し、
エチレンによる花の老化を止めることがおわかりいただけるでしょう

ではなぜ銀はエチレンの働きをとめるのか?
それは鍵と鍵穴の関係
エチレンが鍵
細胞内にあるエチレンの受容体が鍵穴
鍵(エチレン)が鍵穴(受容体)にあえば、鍵がまわり
老化の扉が開く
老化の歩みが始まる
銀は鍵穴(受容体)と結合して鍵穴のかたちを変える
鍵(エチレン)がまわらない
老化の扉が開かない
老化が始まらない


図 エチレンは鍵、受容体は鍵穴
  銀は鍵穴の形を変える
  老化の扉は開かない

まとめ
銀は老化ホルモンであるエチレンの働きを止める
陽イオンの銀は切り花が吸えない
銀を陰イオンに変えると切り花は瞬間的に銀を吸いあげる
STSは陰イオンの銀

日持ちをのばす効果抜群のSTS
カーネーションの花びらのしおれ、枯れを遅らせ
日持ちが従来の2倍以上にのびる


画像 左:STS処理 右:水道水

スイートピーやデルフィニウムの花が落ちるのを防ぎ
日持ちが従来の2倍以上にのびる



画像 左:STS処理 右:水道水

花の研究や技術開発の歴史において
STSほど劇的な効果が得られた技術はありません
人類が経験したことがない長寿特効薬
まさしく夢の不老長寿薬
それを人類は手に入れました

次回は新年4日
お題は「STSの限界」

今年1年、長文駄文にお付き合いいただきまして
ありがとうございました
良いお年をお迎え下さい

(No.249 2014.12.28)

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日持ちをのばす(その3)本命は老化だが

テーマ:
前回のおはなし。
日持ちをのばすことは人類の長寿社会実現とおなじ。
不老長寿の秘薬はない。
地味な楽ではない努力の積みかさね。

クリスマス、年末年始関係なくまだまだ続きます。

日持ちを縮める=天寿を全うできない原因は5つ
花も人類もおなじ
①老化
②病気
③栄養
④環境
⑤事故



このうち本命は「老化」
日持ち=老化と言ってもよいが
イコールではない
日持ちを縮める要因はほかにもある

しかし大本命はやはり老化
生き物の宿命
生まれた瞬間から死へ歩みつづける
一方通行
後戻りはできないが
歩みのスピードを早くしたり、遅くすることはできる
それが中高年が大好きなアンチ・エージング
えぇ~ あの人が60歳?

人類の悲願
老化促進物質を見つけること
老化促進物質を見つければ
それが働かないようにすれば老化は止まり
永遠の生命が得られる

花の研究者はそれを成しとげた(パーフェクトではなかったが)
ノーベル賞に農学賞、植物生理学賞があれば受賞まちがいなし

植物(人類ではないのは残念)を老化させるのはエチレン
エチレン=植物の老化ホルモン

エチレンは不思議な物質

炭素(C)2つ、水素(H)4つ(C24)できわめて簡単な化学物質

エチレンでまっさきに思い浮かぶもの
ポリエチレンやプラスチックなどの石油製品の材料
タンクが並び、パイプが走る石油コンビナート

そのエチレンが植物を老化させている
花をしおれさせる=日持ちを縮める

老化を別のことばで表現すると
「成熟」
青いみかんが黄色くなるのも
青いトマトが赤くなるのも「成熟」=老化
エチレンの働き

完熟したバナナ(黄色いバナナ)は害虫の関係で輸入できない
青いバナナを港の倉庫でエチレンガスにより一気に成熟(黄色いバナナ)させる

キウイは収穫後すぐには酸っぱくて食べれない
リンゴとともにポリ袋に入れておくと
リンゴからでるエチレンの働きで成熟し、甘くなる(軟らかくなる)

秋、木の葉は紅く、黄色くなり、やがて落ちる
これもエチレンの働き
緑の葉を紅く、黄色く成熟(老化)させ、
葉の付け根と枝の間に「離層(りそう)」をつくる
つまり葉と縁をきる
これが落葉

ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て「万有引力」を発見した
これはニュートンが物理学者だったから
もし、ニュートンが植物生理学者だったら何を発見したか?
エチレン
リンゴが空中に舞い上がらずに、地面に落ちるのは引力だが
果実を枝から切りはなした(離層を作った)のはエチレン


画像 ニュートンのリンゴ
   その末裔は日本各地にある

さて、なぜエチレンが植物老化ホルモンあることがわかったのか?
街灯
今は電気
白熱灯、蛍光灯からノーベル賞を受賞したLED
エジソン以前の照明はガス
18世紀末に英国マンチェスターで設置され、欧米に普及


画像 19世紀に普及していたガス灯
   ガスにはエチレンが含まれていた

1908年 英国 CrockerとKnight
温室で栽培していたカーネーションの花がしおれた
調べたところ、ガス管から漏れたガスが温室に入りこんでいた
ガス成分を調べたところエチレンが害をなすことがわかった
実際に、0.5ppmのエチレンを12時間与えると
カーネーションの花は閉じる(sleep)
カーネーションの「ねむり症」

昭和30年代の日本、長野県
カーネーションを東京に出荷するのには国鉄の貨車
(今のようにトラック、道路が整備されていなかった)
だから昔の花いちばは駅前、あるいは駅そばのガード下にあった
カーネーションがねむり症で開かない
原因は貨車に積み合わせのリンゴ
リンゴからでたエチレン

ではエチレンはどこにあるのか?
①リンゴのようなエチレン発生源
これが「外生(がいせい)エチレン」
空気中にある微量のエチレン
果物のほかに
クルマの排気ガス、タバコの煙
古い石油ストーブ
腐りかけの葉や茎

くわえタバコの花屋さん
床に葉が散らかり放題の花屋さん
ありえないですね

②植物体内で老化ホルモンとして作られる
これが「内生(ないせい)エチレン」
当然、これが老化の本命
①は②の触媒として働く
つまり、外生エチレンが多いほど、内生エチレンが多く作られる

植物体内でどのようにエチレンがつくられるのか?
植物生理学者の詳細な研究で明らかになっています
そんなに昔の話ではなく、1980年前後の研究

かいつまんで説明すると
アミノ酸の一種である「メチオニン」から
さまざまな酵素の働きでエチレンが作られます


図 Yang、 Adamsらによるエチレン代謝サイクル(1980年前後)
  どのようにしてこんな複雑な代謝サイクルを実験で証明したのでしょうか?

エチレンは老化を進める悪役だけではありません
花産業に多くの貢献もしています
それらは別の機会

次回
エチレン=老化ホルモンの働きを止める
夢の長寿薬?

(No.248 2014.12.21)
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日持ちをのばすためには、
まず天寿を全う(まっとう)させること。
花の天寿を全(まっと)うさせ、
さらに、天寿そのものをのばすにはどうするか?
それは、まさしく「人類の長寿社会実現」と同じ。
地味で楽ではない努力の積みかさね。

中年
健康診断
メタボ予備軍
気になる数値
血圧、悪玉コレステロール、中性脂肪、血糖、γ-GT、尿酸、PSA・・

医者の指導・アドバイス
①暴飲暴食をさけ、バランスの良い食事
②適度な運動
③睡眠を十分とり、ストレスのない生活
それができれば苦労はない

一発大逆転
クスリはないのか

花も人も同じ
求めるもの
不老長寿の秘薬

画像 人類が夢見る不老長寿薬
   「お菓子な不老長寿薬」ならありますが・・


だから流行る(はやる)健康サプリ
TVのCM(特にBS)
グルコサミン、コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ビフィズス菌、DHA・EPA、ロイヤルゼリー、卵黄ニンニク、イソフラボン、ケルセチン、オルニチン、、セサミン、青汁、黒酢・・
今すぐお電話を
0120-○○○-○○○
今なら無料お試しセット1週間分をおつけします
ワォ~

日持ちをのばす
それには日持ちを短くしている(天寿が全うできない)要因をとりのぞく
不老長寿の秘薬はありません
地味で退屈な努力の積みかさね

何が日持ちを縮めているか?
人間と同じ
次の5つ
①老化
②病気
③栄養
④環境
⑤事故


表 日持ちを縮める要因と対策
 (次回以降の内容) 

年末年始、役物市、クリスマス、総選挙・・
あわただしい世間を無視して
まだまだ地味な話が続きます
(No.247 2014.12.14)

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