平日の午後、さすがに風呂屋に客は少なかった。
サウナ室に入る。先客はなかったが、ボクの後ろからもうひとり入ってきた。
テレビの前にボクが座る。少し離れた位置で男が胡座をかいた。
ボクは12分計を見上げた。
この時計の長針が一周して同じ数字になる12分後がちょうどいい頃合いなのだ。
テレビでは、ロボットが補助教員として学校に配備されたニュースをやっている。
ロボットの社会進出が著しい。
最初は介護や工事の現場などの重労働を手伝うことから始まった。
だが今や教育現場のみならず、そこかしこでロボットを見かけるようになっている。
胡座をかいていた男が腕組みをして話しかけてきた。
「各教室、担任の先生とロボット教師がチームで児童生徒の指導に当たるそうですよ」
「それに安心感をもってしまうから不思議ですね」とボク。
「ロボットのほうが信用できるってのが皮肉ですよねえ。次は警察ロボらしいですよ」
「その次は政治家ロボですかね」
軽口を叩くボクの顔を、男がしげしげと見た。
「おや?汗をかいてませんね?」
「汗をかきにくいんですよ。特に冬場は。さすがにサウナにロボットはないでしょう?」
男が笑った。
「そうですねぇ。ア・・・でも刺青の客にお引き取り願う役とか。あれはロボットにお願いしたいな」
「さすがにまだそれは」
いつのまにかボクも男も汗をポタリポタリ。
「ほら、出てきたでしょう?」
「いやいや、サウナの中で人間に混じって違和感がないように汗をかく機能がついてたり」
可笑しくなって二人とも吹き出した。面白いことをいう男だ。いい暇つぶしになった。
えっと・・・そろそろかな・・・
男が頭の上で両腕を組んだ。そして胡座を組んだ姿勢のまま全裸で逆立ちに。ヨガの行者か!?
「ハイお客さん、12分で~す」
な~んだ、砂時計かあ。