自己満足2※観閲注意 | 早稲田大学公認サークルUBCのブログ

自己満足2※観閲注意



〔努力が次第に結果に結び付いてきた時、住人たちの絆は何者にも壊せない屈強なものとなっていた。そして努力で勝ち得た箱根駅伝の切符を手に、いざ向かう箱根の山。こうやって仲間の思いが詰まった襷が自分に回ってきた時、走は今までに感じたことのない「風の向こう側」に辿り着いた。走ることが楽しい。感じる、風が強く吹いている。気がついた時には走は区間新記録を出して、アンカー、ハイジへと襷を繋いでいた。〕


前に述べたテーマの答えがここにすべて凝縮されている。走は襷を受け取った時に、駅伝の中に仲間を感じた。その瞬間、自分に覆いかぶさっていた責任は消え、勝敗が踏み込めない自由な走りができるようになった。つまりはハイジの「走るの好きか?」という質問に、まさに走は走りで答えたのである。この作品のタイトルである『風が強く吹いている』という言葉は、走の答えそのものなのだ。

好きなシーンを挙げればきりがない。この作品に置けるすべての台詞が問いであり、そのすべての答えが駅伝での走りに詰まっている。今までにこんな爽良な小説があっただろうか。読み終えた後に耳を済ませば感じるだろう。ほら風が強く吹いている。