最近、仕事終わりに、ある同僚とごみ溜め以下の職場の愚痴を言い合って過ごすことが多くなった。
経歴からとって、彼のことはコーチと呼ぶことにしよう。
コーチは誠実性の高い性格で、独自の理想を思い描きながら仕事をしているように見える。
愚痴を言い合っているときも、不正や怠慢を指摘することでその理想が浮き彫りになるような感覚があり、俺としてはなかなか楽しい時間になっている。
愚痴を言い合っているうちに、俺が今年度で退職することを予定より早く教えることになった。
すると、コーチも実は退職を考えていたようで、転職活動を始めていることを明かされた。
腹の探り合いをしているようなところもあったが、これでようやくお互い様だという認識を持つに至ったわけだ。
ろくに考えることもせず、単純に耐えられるからという理由だけでとどまり続けた俺とは違い、葛藤しながらも信念を持って働くコーチがごみ溜め以下のこの職場にいること自体、何らかの手違いだったのではないか。
俺たちの他にも、ごみ溜め以下の職場の屋台骨を支えるベテラン社員が一人、今年度で退職することが決まっている。
これもまだ氷山の一角のように思えてならない。
もともと薄くなっていた層がさらに薄くなっていく。
本当に今年度で退職することに決めておいてよかった。
泥舟は本格的に沈み始めるのだろう。
出遅れてしまったように感じていたが、ギリギリのところで間に合ったようだ。
今はただそう思いたい。