6月になっても相変わらず俺は実家で暮らしている。

受注生産になっている大型の家具さえ揃えば、新居のアパートでほとんど不自由なく暮らすことができるのに。

黒目さんは家具にこだわりがないらしく、俺の好みに合わせて家具を購入してきた。

そういうわけで、俺としてはなかなか心地よい居住空間になりつつある。

 

ただ、俺も家具を揃えることに手一杯で、その他の準備が疎かになってしまったことは否定できない。

黒目さんによれば、黒目さんのお母さんから心配されているらしいのだ。

結婚に向けて具体的な行動をとっていないことに対して、黒目さんにいろいろとアドバイスをしてくださっているようだ。

まったく、黒目さんときたら、主体性がないのにも程があるぜ・・・・・・

いや、結婚の準備が遅くなっていることについては俺にも非があるか。

日頃から俺のほうから黒目さんに具体的な話を振るだけでもしておくべきだった。

 

とりあえず、黒目さんのお母さんの提案で、黒目さんのお姉さん夫婦とお会いする機会を設けることになるかもしれない。

黒目さんからその話を聞いたときはピンと来なかったが、よくよく考えてみれば、黒目さんが主体となって動かなければならない案件ではないか。

黒目さんが行動を起こせるように、俺からも積極的に意見を言ったほうがよさそうだ。