朝にとあるドラマの原稿を提出。
そして昼からの打ち合わせに向かう。
だが駅について「!」となった。
人身事故が起こり、大幅にダイヤが乱れているとのこと。
少し早めに出ていたので、打ち合わせには間に合うだろうと思って電車に乗るが、恐ろしいほどの徐行運転。30分で着く場所に、1時間掛かる。しかも満員電車でずっと立ちっぱなし。
ほとんど寝ていなかったので、かなりキツイ。
いっそのこと、網棚によじ登り、横になってやろうかと考える。
駅に着いたら走る。何とかギリギリ間に合った。
そして打ち合わせは無事に終わり、電車に乗って帰る頃には、体力メーターがつきかけてきた。
電車でぐったり座っていると、ふいに目の前に母親と小さな子供が立っていた。子供は席に座りたそうにしている。小説家の遠藤周作さんが「大人は疲れている。だから電車の席には大人が座るべきだ。子供なんて疲れていないから立たしておけばいい」というような痛快な自論をエッセイで書かれていたことを思い出した。
「そうだ! 俺は疲れている。目の前の男の子なんてこれから遊んで寝るだけだ。席なんて譲らなくていい!」
そう思って目を閉じる。
でも小心者なのか、目の前に立たれるとプレッシャーを感じる。それにきっと周りの人間も「席譲ってあげたらいいのに」と思っているに違いない。このままだと隣の人が「どうぞ」と言い出し、僕が人でなしに思われかねない。
仕方ないと思って、「あの……よかったらどうぞ」と声をかける。
すると待ってましたと言わんばかりに母親が「ありがとうございます」と言って、子供を座らせた。
「ほら、ありがとうって言いなさい」と母親に促されて、子供もお礼を言う。
結局、帰りの電車も立ったまま帰る。
今日はそういう一日だったと思って割り切る。
これからさらに、とあるドラマ原稿に向き合わなければならない。
体力メーターを回復させるためにも、今日は早めに寝よう。