◆◆英賀の浦合戦 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「攻めてくる気配は無い・・・」(職隆)
「善助を敵中にもぐりこませ、様子を探っております」(官兵衛)
「そうか。。。」(職隆)
「父上、五千の敵を相手にした事がありますか?」(官兵衛)
「いや、、初めてじゃ。まともに立ち向かっては、
万に一つの勝ち目もないぞ」(職隆)
「はい」(官兵衛)
「考えるのだ、、官兵衛」(職隆)
「お、上手く化けましたな。どこから見ても毛利の雑兵じゃ」(九郎右衛門)
「おいおい、誰が雑兵じゃ・・・」(善助)
「小さいから目立たないしのぅ」(太兵衛)
「どういう意味じゃ!」(善助)
「あれは、殿の屋敷にいた、お道ではないか・・」(九郎右衛門)
「善助と、シッカリ目が合ってるぞ」(太兵衛)
「ジョージ・クルーニーみたいな目にあわぬとよいが」(九郎右衛門)
「誰じゃ、それ?」(善助)
「別所家も、もめとるのぅ」(太兵衛)
「日和見を決めて援軍に来ぬ腹積もりのようだな」(九郎右衛門)
「毛利は明日、総攻めを仕掛けてくるようでございます。
今夜は動きませぬ」(善助)
「わかった、大儀であった」(官兵衛)
「小寺の殿は、いったん退却するお考えのようだ」(九郎右衛門)
「いや、殿が反対しとる!この霧を利用するそうじゃ」(太兵衛)
「朝駆けじゃな。毛利は、しこたま酒を飲んでおったし、
まるで油断しとったからのぅ。。」(善助)
「職隆様が、近隣の百姓を集めておる」(太兵衛)
「城の女達は、布を集め、旗を作っておるそうじゃ」(善助)
「なるほど、『兵は詭道なり』じゃな」(九郎右衛門)
>油断していた毛利陣営に官兵衛の合図と同時に火矢が放たれる。
>小寺&黒田軍の前に、慌てふためく毛利勢。
>しかし敵は大軍。浦宗勝は体勢を立て直すと、黒田軍を押し戻し始める。
>その時、森の奥で待機していた職隆と休夢が号令を発した。
「旗を上げろっ!太鼓を打ち鳴らせっ!貝をふけ~!」(職隆)
「もっと、もっと声をあげろ~!」(休夢)
「援軍か・・・」(浦宗勝)
「頼む、うまくいってくれ。。。」(官兵衛)
「みんな、援軍が来たぞぉ~!」(善助)
「援軍じゃあ~」(太兵衛)
「おのれぇ~」(浦宗勝)
「今だ、攻めたてよ!」(官兵衛)
「退けぇ~、退けぇ~」(浦宗勝)
「百姓達の振る旗を援軍に見せたんじゃな」(太兵衛)
「しかし、きわどかった。。」(善助)
「敵軍の大将が名将だったればこそですな。あれが愚かな猪武者だったら、
敗北していたのは我らの方でしょう」(九郎右衛門)
「兵の命を重んじる御方だったのが我らに幸いしたか」(善助)
「勝ったか・・・」(政職)
「はいっ」(官兵衛)
「よくぞやった、官兵衛!やっぱり官兵衛じゃ~、
わしが見込んだ、男よのぅ!」(政職)
「されど、こたびは追い払ったにすぎませぬ。毛利は我らの喉元に、
すぐに兵を送り込めることを見せつけました」(官兵衛)
「また攻めて来ると言うのか?」(政職)
「おそらくは・・・」(官兵衛)
「松寿丸様らも、勝ち戦に興奮しとるようじゃの!」(太兵衛)
「殿は、腰を抜かしておったぞ・・・」(善助)
「長時間、極度の緊張に置かれると、後になって、
体の節々に痛みが走るのだそうだ」
「わしは、怪我をしておっても痛みなど感じないぞ!」(太兵衛)
「それは、どこか神経が抜けておるんじゃろ・・」(善助)
「ふふん・・・」(太兵衛)
「光、こたびは、もう駄目かと思った。
五千と聞いた時には、震えが止まらなかった」(官兵衛)
「・・・・。」(光)
「あの様な大軍、見たことも無い。怖かったのだ」(官兵衛)
「なれど、、勝ちました。殿は、姫路を守ったのです」(光)
「そうだな。勝ったぁ~、勝ったぞ・・・」(官兵衛)
「それにしても、殿がうらやましい。。」(善助)
「膝枕か?わしの膝を貸してやろうか?」(太兵衛)
「お前のゴツゴツした膝など、いらんわい!」(善助)
「・・・・・。」(九郎右衛門)
「なんじゃ、九郎、変な目つきをしおって」(善助)
「いや、何でもない。。」(九郎右衛門)
「???」(太兵衛)
▼軍師官兵衛:第10回 毛利襲来 第3幕