軍師官兵衛:第3回 それぞれの「義」 | ♪ DEAR MY LIFE ♪

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◆◆信長と土田御前◆◆◆◆◆◆
第3回「命の使い道」尾張編の中で、城中、
信長土田御前(=信長の母)がすれ違うシーンがありました。

「これは母上、ご機嫌うるわしゅう」
「お前は、、、鬼かぁ。」

母親の吐き捨てる言葉に、何事かを感じた信長・・・。
この二人の関係を簡潔に表現している象徴的な場面でした。

このドラマの中の信長という存在を、一言であらわすなら、
『鬼』という表現が最も適しているのかもしれません。

はたして、信長は「鬼」なのか?
また、との違いは何なのか?

ちょうど1993年の大河「秀吉」が放送されていた頃、
作家、堺屋太一「鬼と人と~信長と光秀~」を読んだ事があるんですが、

よくある物語風の歴史小説ではなく、ある一つの出来事を通して、
この両者(信長と光秀)の思いを独白形式でつづり、
それぞれの人格を対比させていくのが特徴となっています。



今風に言えば、同じ会社に勤めていても、
社長と専務では、これほど見えている景色が違うものなのか?
学生なら、同じ部活でも、部長と一般部員では、
これほど望むもの、感じ方が違うものなのか?と、

戦国時代が舞台といっても現代にも通じる話しなので、
かなり面白かった記憶があります。

今回の大河では、信長の江口洋介さんが「鬼」
土田御前の大谷直子さんが「人」を象徴している様に感じています。

◆◆信長とお濃◆◆◆◆◆◆
土田御前とは逆に、信長の考えを理解できる人、
もしくは理解しようと努めている人も必要ですね。

でないと、「人」である視聴者には、信長の人格がサッパリ分からない、
理解不能になっちまいますから、
彼の考えを引き出してくれる人物が必要です。
それが、前述のシーンの直後に登場する、お濃みたいです。



我々は、このお濃と信長の会話を通して、
信長の心の内を知ることになります。

「濃よ、そなたの父、斉藤道三は、
 わしに美濃の国を託して死んだ。」

「はい、父は我が兄に裏切られ殺されました。
 殿には、その無念を晴らしていただかねばなりません」


お濃の(~ねばならない)と信長に求めている行動原理は、
姑と婿の関係からくる「義理」が基準になってるんでしょうね。

「仇討ちなど、くだらん。今、その美濃に主がおらん。
 それゆえ、わしがもらう。それだけのことよ」


嫁の切なる願い事に対し、「くだらん」と言いきってます。
(俺は、そんな人間関係の義理なんかで動かね~よ)と。
同時にこれは、この場にいない、
官兵衛に向けた台詞にもなっていますね。



「されど、竹中半兵衛が謀叛に及んだのは、
 城を乗っ取る為ではなく、酒欲に溺れた我が甥、
 斉藤龍興を諫める為だったと聞きました。
 素直にあけわたしましょうか?」


この台詞は、お濃を語り部にして、
竹中半兵衛の性格を説明している言葉ですね。

半兵衛がクーデターを起こしたのは、彼個人の「利」からではなく
主君の間違いを正す意味の「正義」
また、その間違いを見てみぬふりをしない、
主人に対する諫言の意味での「忠義」と、
お濃は言いたいのでしょう。それに対し信長は~

「竹中半兵衛が『利』につられ、城を譲るならそれでよし。
 だが、『義』にこだわり、わしの誘いを断るならもっと面白い」

「義~でございますか?」

おそらく、お濃は、半兵衛の性格分析は行っていたものの、
この「義」という概念には無知だった~という設定のようです。

「義に生きる男など、、、この乱世、滅多におらん」

(滅多におらん)というより、当時、この概念を知る人は、
まず、いなかったでしょうね。
「忠義」を根幹にしていれば下克上なんて起きないですし、
こんな乱世になるわけないですから。w

「古びて世を成さず、腐りきったもの全てを叩き壊し、新たな世を作る。
 それが、わしの『義』だ」


これは、世界を変えた覇王が、道半ばにして使う言葉で、
俗に「大義」というやつですね。

「信長様は、なぜ戦うのです!?」
「ん、なんとなく?なんちって、キャハ」じゃすまないですからね。
それなりの言い訳がないとヤバイわけですよ、やっぱ。(*^ー^)ノ

~とまあ、この信長とお濃の会話シーン、
一文字であらわす「義」というのも、色々な義があるから面倒臭い。w

★★官兵衛と村重★★★★★★
今井宗久邸の門前で官兵衛村重の二人が別れるシーン。
「路銀が必要だ」という村重に対し、
家臣の武兵衛がいぶかしがるほど、多くの金を手渡す官兵衛

「荒木殿は命の恩人だから」というのが、その理由ですが、
この官兵衛の行いは「律義(りちぎ)」「恩義(おんぎ)」ってやつでしょう。

そして、手渡された金を見ながら、
(こんなにいいのか?)と驚いた表情をする村重



こんなボロを着た怪しげな浪人を信じてくれるのか?と、
村重自身が驚くわけですが、
後日、村重はこの官兵衛に対して「信義」で返す~と。w

【余談】
とかく、この村重くんには悪評がついてまわりますが、
確かに、信長に謀叛を起こし、
説得にやって来た官兵衛を幽閉しちゃうっていうのは、
官兵衛ファンにとっては許せない行為なんですが、

「荒木が織田に戻ったら、わしも織田につく」と言い、
官兵衛を村重のもとに行かせつつ、その裏で、
「わしをはじめ、播磨一円は毛利に味方する。
 反対してるのは官兵衛だけなので、おぬしが殺してくれ」
と、

そんな事、村重に依頼する■■■■■が一番の悪党じゃないかと。
(あえて伏字にしてますが、だいたい想像はつくかと。^^)

 ←(-_-メ せんせー、こいつです!

そんな暗殺依頼を無視して、幽閉するだけにとどめたのは、
村重もまた「鬼」ではなく、「人」だった~と。
おいらは、そう思っているのであります、うん。(*v.v)。

▼軍師官兵衛:第4回 新たなる門出 第1幕