注意とマインドフルネスの話(番外編)-慢性疼痛のための認知行動療法①-(一般の方向け) | 粳間メンタルリハビリテーション研究所/一般社団法人iADLのブログ

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いつもお世話様です!

 

この記事では注意とマインドフルネスの話(番外編)として、一般向けの、慢性疼痛のための認知行動療法①について書きます。

 

特に、「痛みの治療をするのに精神科や心療内科やメンタルクリニックになぜ通う必要があるの?」と考えている人には必見の内容です。

 

是非最後までご覧下さい。納得できる人が多い内容だと思います。

 

 

注釈-----------------

①ストレス・注意機能と慢性疼痛の関係や、ストレス誘発鎮痛や注意の方向付けについてもっと詳しく知りたいかた、特にメカニズムについて知りたいかたはこちらの医療従事者向け記事をご参照ください。

https://ameblo.jp/u-mri/entry-12326859885.html

②今回の記事の主な出典は医学専門誌「【月刊】地域リハビリテーション」連載の「ココロとカラダの痛みのための邪道な心理療法養成講座」です。

-----------------

 

 

 

☆なぜ慢性疼痛に認知行動療法が必要なの?

 

なぜ慢性疼痛に認知行動療法が必要なの?

 

とてもよく聞かれる質問ですが、効果的だからです。

 

効果的だから必要。それ以上でも以下でもない。

 

 

「認知行動療法は心理療法で、精神科の治療」だということは最近は多くの方が知っています。

 

そして同時に、認知行動療法はカウンセリングのようなもの、というイメージをもっている人も多いです。

 

私のカラダの痛みになぜカウンセリングが必要なんだ!?と。

 

もちろんカウンセリングのような慢性疼痛の認知行動療法もありますが、そうでないもののほうが主流です。

 

今回の記事をじっくり読んでもらえると、痛みに対する認知行動療法はカウンセリングである・・・という誤解がなくなると思います。

 

 

もっと突っ込んで言うと、

 

認知行動療法が有効な痛みは精神的なモノなんじゃないか?という疑問をもたれている方が多く、敷居が高くなっているきらいがあります。

 

痛みが精神的なモノであろうとなかろうと、認知行動療法は有効です(もっと言えば慢性疼痛だけでなく急性疼痛にも有効)。

 

さらに言えば、

 

 

精神的な問題が少ない人ほど、認知行動療法の鎮痛効果が期待できます

 

 

なぜかというと、「正常な認知機能(≒精神機能)が持つ潜在能力を使って痛みを改善させる」のが、痛みに対する認知行動療法だからです。

 

 

これも、今回の記事をじっくり読んでもらえると、わかると思うので安心して読んで下さい。

 

 

では次項から本編です。

 

 

☆最も鎮痛効果の高い認知行動療法は何か?

 

最も鎮痛効果の高い認知行動療法と思われるのは、ストレス誘発鎮痛など(Stress-Induced AnalgesiaやDistraction)と呼ばれる、「注意の方向付け」に関わるモノです。

 

認知行動療法というよりは、心理効果とか、認知効果とか言った方がいいかもしれません。

 

 

 

「注意の方向付け」が上手くなされれば、拳銃で撃たれた傷さえも痛くない。

 

 

 

まずはその最初の報告の例を、下の漫画で見てみましょう。

 

第二次世界大戦の米軍を調査したBeecherの報告では驚くべきことに、


腹部の貫通創などの重傷を負った兵士でも2/3は痛みを0から中等度程度にしか訴えず痛み止めの希望もなかった

 

…のです。

 

ようするに、拳銃で撃たれた傷さえも痛がらない兵士が、2/3もいたと。

 

 

なぜ、こんなことが起こるのか?

 

このBeecherの報告に端を発して、メカニズムが研究されていきました。

 

今では、この鎮痛効果のメカニズムは、「注意の方向付けによるもの」とわかっています。

 

 

簡単にまとめると・・・

 

-------

痛みに注意が向いている時は痛みは増強し

 

ストレス要因に注意が向いている時は強力に鎮痛されます(≒Distraction)
-------

 

平たく言えば、ストレスに目を向けずに痛みばかり気にする人は余計に痛くなり

 

逆に、ストレスそのものに気を向けることができればそれが痛みを減らすことにつながります

 

 

上のBeecherの報告も、戦争という圧倒的なストレスに注意が向いていて、痛みに注意が向いていない(そんな余裕もない)から、痛みを感じなかったのだ、と、今では解釈されています。

 

 

つまり、ストレスそのものに鎮痛効果があるのではなく、すごく気になるストレスがあるとそれが気になって、痛みから注意がそれるから(*)、痛みを感じなくなるのだと。

 

(*)注意をそらすことを、Distractionといいます。気をひくものをAtractionと言いますが、その反対の言葉です。

 

 

ちなみに、日常生活でも注意の方向によっては、ストレス誘発鎮痛と同じようなことが起きています。

 

一番身近な例は、「パソコン仕事と肩こり・頭痛」、「かがんでやる仕事と腰痛」でしょう。

 

 

仕事や作業に集中しているときは痛みに気付かないけれど、仕事や作業が終わると痛い!といったことを、誰しもが一度は経験しているのでは?

 

 

痛みが強くなるような仕事・作業をしているハズなのにその最中では痛くならない理由のひとつは、仕事・作業に集中することで痛みから気がそれているせい、と。

 

痛みに対する注意機能の影響は大きいのです。

 

 

このように・・・

 

 

注意の方向付け(≒痛みから注意をそらすこと)には、超強力な鎮痛効果があります。

 

 

拳銃で撃たれた傷も痛くなかった、という事例からもわかるように、痛みが身体的なモノであろうと精神的なモノであろうと、急性疼痛であろうと慢性疼痛であろうと、関係なく、注意の方向付けには強力な鎮痛効果があります。

 

・・・というわけで、痛みの治療では、何らかの注意の訓練を受けることが望ましいと。

 

 

さて、では、注意の訓練が、認知や心理を扱う科以外で、受けられますでしょうか?

 

受けられないでしょう?

 

だから、精神科や心療内科、メンタルクリニックでの治療(…というか訓練)が必要なのです(*)。

 

*脚注読み飛ばし可:

個人的には整形外科疾患や内科疾患も診れて認知行動療法も出来る科となると「リハビリテーション科」が一番良いのでは?と思っています(筆者もリハビリ専門医です)が、リハには保険診療のしばりとしての期間(長くても6ヶ月)があるので、慢性疼痛の場合は期間のしばりのない精神科で治療をするしかないのが現状です。

 

 

 

☆痛みに注意を向けないためには何をすべきか?

 

さて、前項で、「痛みに注意を向けないようにすると鎮痛される」ことはわかったと思います。

 

では、どうすれば痛みに注意が向かないようになるでしょうか?

 

「痛みは気にすると強くなるので気にしないようにしましょう」と指導すれば十分なのでしょうか?

 

確かに、病院でそう言われるだけで痛みが楽になる人も大勢いるので、こういった指導は重要でしょう。

 

でも・・・

 

人間には、気にしないようにすると余計に気になる心理もあります(俗にカリギュラ効果と呼ばれる)

 

--------------------------

☆カリギュラ効果の解説漫画はこちら(知っている人は読み飛ばし可)

 

--------------------------

 

痛みから注意をそらす(≒痛みを気にしない)ためには、気にしないようにする…だけでは対策が不十分です。

 

痛みを気にしないようにするためには、痛み以外の何かに注意を向けるほうがよいです。

 

 

上に書いたBeecherの報告の中のストレス誘発鎮痛の例も、戦争や死の恐怖などの圧倒的なストレスに注意が向いていて、痛みに注意が向いていない(そんな余裕もない)から、痛みを感じなかったのだ、と、今では解釈されています。

 

 

何かとても気になることがあると、他の事に対する注意がおろそかになる*ことは、みなさんも経験上知っているでしょう?

 

注* ある対象に対する注意と別の対象に対する注意にはトレードオフの関係がある(参考記事⇒https://ameblo.jp/u-mri/entry-12326012950.html

 

 

痛みを気にする余裕が生まれないように、何か別の、気になることを作ることが重要です。

 

注意の方向付けに関わる認知行動療法では、この注意の性質を応用したものが多いです。

 

次の項では、この「注意のトレードオフの関係」を解説します。一見して痛みとは関係のない話と思われるかもしれませんが、とても大切な話ですので頑張って読んでみて下さい。

 

 

 

☆内向きの注意と外向きの注意のトレードオフ関係を知ろう

 

注意には、頭の中に向けた注意(≒ワーキングメモリー)と、頭の外に向けた注意(一般的に知られる注意)があります。

 

頭の中に向けた注意?ワーキングメモリーって何?と思われるでしょうが、漫画等でよくつかわれる、「心の声」や「頭の中の映像(心象風景)」が、ワーキングメモリーにあたります。

 

こういうのです。

 

ワーキングメモリーは、「頭の中の記憶に向けた注意」です。

 

「今、注意が向いている頭の中の記憶」、と言い換えてもいいでしょう。

 

このワーキングメモリーが働いている状態というのが、すなわち、考え事をしている状態です。

 

人が考えるためには、ワーキングメモリーが必要です。

 

(*ワーキングメモリーについてもっと詳しく知りたいからはこちら⇒https://ameblo.jp/u-mri/entry-12338590292.html ただし、初めて読む方はこの時点ではサラッと流して、次にすすんだほうが全体のお話を理解しやすいと思います)

 

 

☆内向きの注意と外向きの注意はトレードオフの関係がある。

 

頭の中に向けた内向きの注意であるワーキングメモリーと、頭の外に向けた外向きの注意(=一般の注意)の間には、トレードオフの関係があります。

 

簡単な例をあげると、考え事に夢中になっている人は、(外の世界に対して)不注意になります。

 

これは誰しも、人生経験からわかるでしょう?

 

考え事をしながら歩いていたら、人に気付かず、ぶつかってしまったとか。

 

 

外の世界に対して不注意だと、痛みから気をそらすことが難しくなります。

 

痛みから気をそらせるような対象を見つけにくいからです。

 

 

よって、「注意の向きをコントロールするやりかた」を訓練しておくことが重要になります。

 

 

☆注意を外向きにする「レーズンのエクササイズ」

 

注意を内向きから外向きにするための訓練には、「レーズンのエクササイズ」と呼ばれるマインドフルネス瞑想訓練があります。

 

まずは概要を眺めてみましょう。

ここでは眺める程度でOKです。

 

レーズンのエクササイズは、主に五感に注意を向けて、レーズンを観察する訓練です。

 

五感は、自分の外の世界に対するセンサーなので、五感に注意を向けると自ずと注意は外向きになります。

 

視覚→嗅覚→・・・と順番に五感に集中してレーズンを観察することで、注意を外向きにします。

 

 

この時、やってはいけないのが、「レーズンをネタに上手いことを言おうとすること」。

 

そうすると、頭の中(特に言語のワーキングメモリー)に注意が注がれてしまいます。

 

・・・下記の漫画の例は、レーズンに外向きの注意を向けている成功例と、レーズンをだしにして内向きの注意を頭の中に向けている失敗例です。

 

もうこれでポイントはわかったんじゃないかな?と思います。

 

レーズンのエクササイズをやると、食レポの練習になってしまう人がいるのですが、全くもって上手いこと言う必要はなく、むしろ、言ってはダメです。

 

自分が感じたものをいちいちコメントする必要は無く、ただ、感じるだけでOKです。

 

コツは伝わったと思うので、皆さんもぜひやってみてください。

 

使う食べ物はレーズンである必要はありません(個人的にはカルパスが好きです)。

 

 

 

☆「レーズンのエクササイズ」で期待される効果

 

慢性疼痛に対して、レーズンのエクササイズで最も期待される効果は、注意のトレードオフ関係を自覚することです。

 

視覚であれ、味覚であれ、五感のいずれかに集中すると、少なくとも頭の中の考え事や悩み事に集中することは減ったでしょう?

 

逆に、頭の中の考え事や悩み事に集中してしまっているときは、視覚であれ、味覚であれ、五感に集中することが減ってしまうでしょう?

 

この、内向き⇔外向きで、注意がトレードオフになっている感覚を自覚することが何より大切で、切り替え方もマスターできればなおよし、です。

 

 

☆注意が外向きになると、痛みから気をそらせるモノ(Distractor)を見つけられる。

 

「コレをやっていれば痛みが楽になる、痛みを忘れられる」といった対象は、最も痛いとされる癌による慢性痛のかたであっても、もっていることが実は多いです。

 

そして、そういった痛みから気をそらせるモノ(Distractor)を見つけられていない慢性疼痛の人の多くは、五感を通じた外向きの注意がおろそかになっています(そして、そうなる理由の多くは注意が内向きだから)。

 

 

注意を外に向けることが出来るようになれば、痛みから気をそらせるモノ(Distractor)を見つけやすくなります。

 

 

レーズンのエクササイズは、そのきっかけ作りになるでしょう。

 

 

 

☆注意の方向付けが出来ないと、ストレスで痛みはひどくなる

 

さて、最も痛いとされる癌による慢性痛のかたであっても、「コレをやっていれば痛みが楽になる、痛みを忘れられる」といった対象を、知っていることが実は多いといいましたが、

 

逆に・・・

 

人によっては、「どうすれば痛みがひどくなるのか?」、そのストレス要因に気付いていない人もいます。

 

 

例えば、痛みの原因がなんであれ、精神的ストレスが加われば痛みは通常は強くなるのですが・・・(注)

 

(注)ストレスに注意を向ければ鎮痛されますが、ストレスに注意を向けず(気付かず)に、痛みに注意を向けると余計に痛くなる。

 

精神的なストレスが加わった時に、痛みに集中してしまうと(注意が自分に向いてしまうと)、外の世界で何が起きているのか?気付きにくくなる・・・ということも起きます。

 

そうすると、どんなストレスで痛みがひどくなるのか、自分でその要因を知らない人が生まれます。

 

 

繰り返しますが、

 

どんな痛みも精神的なストレス要因で悪化します(その要因に気付いてなければ)

 

ストレスで鎮痛されるケースは、ストレスに注意が向いて痛みから気がそれるから鎮痛されるのであって、痛みから気がそれなければ、ストレスで痛みは悪化します。

 

 

外の世界に十分な注意が向いていれば、どんなストレスで痛みが強くなるのか、気付くことができるハズなのですが、慢性疼痛の人には、それに気付いていない人が多い。

 

「どうすれば痛みはひどくなるのですか?」と問うても、「わかりません!常に痛いです」と答える人もいる。

 

そんなハズはないのです。

 

楽になる刺激はなかなか見つけられなくとも、悪くなる刺激には、普通は気付けるハズなのです。

 

 

・・・とすると、そこに気付けていない理由として有力なのは、「外の世界への注意がおろそかだから」ということになります。

 

 

ここで、注意の方向付けについてもう一度復習して、思い出してみましょう。

 

 

-------

痛みに注意が向いている時は痛みは増強し

 

ストレス要因に注意が向いている時は強力に鎮痛されます(≒Distraction)
-------

 

 

平たく言えば、ストレスに目を向けずに痛みばかり気にする人は余計に痛くなり

 

逆に、ストレスそのものに気を向けることができればそれが痛みを減らすことにつながります

 

 

「どうすれば痛みが楽になるのか?あるいは、ひどくなるのか?」、これに気付いていない人は、自分の外の世界の出来事に対して不注意、ないし、注意の方向付けに失敗しています。

 

そうするとストレス誘発鎮痛とは逆のことが起こって、余計に痛くなってしまいます。

 

 

 

☆日常生活で出来る、ストレス誘発鎮痛

 

しつこく繰り返しますが、痛みを悪化させうるストレス要因はどんな人にも必ず存在します。

 

ストレス要因に気付いていなかった慢性疼痛の人が、ストレス要因に気付き、それに注意を向けること*で、劇的に痛みが改善するケースは、非常に多く経験します。

 

*注: 注意を向けるだけでなく、さらに、ストレス要因から距離をとることも同時に重要

 

注意を外向きにして、自分の行動を振り返ってみましょう

 

痛みを悪くする、外の世界のストレス要因を見つけられるはずです。

 

 

そして、そのストレスを見つけたら、ストレスに注意を向け、そこから距離をとるようにしてみましょう。

 

 

これで、劇的に慢性疼痛が改善するケースは多いです。

 

 

 

 

☆痛みと注意の関係は因果より円環で捉える

 

痛みと注意の関係は因果より円環で捉えることが大切です。

 

「痛いから気になる」
「気にするから痛い」

 

「痛くないから気にならない」
「気にしないから痛くなくなる」

 

これらは全て正しい

 

痛みと注意には、どちらか一方通行だけの因果関係があるわけではなく、相互に因果関係を持っています。

 

 

これが事実。

 

はじまりがどちらであれ、・・・痛いから気になるし、気にするから痛いし、痛いから気になるし、気になるから痛いし・・・、という悪循環が形成されてしまうと慢性疼痛は遷延します。

 

上述の痛みから気をそらすためのテクニックを教えると、一定数の人から、「痛いから気になるのであって、気にしているから痛いわけではない」といった意見や、「痛みのせいで他の事に気を向けられません」といった意見を聞きます。

 

その捉え方だと、この悪循環は止められません。

 

この記事は、「気にするから痛い」・・・とだけいっているわけではありません。

 

「痛いから気になる」という意見を否定しているわけでもありません。

 

注意の方向付けに関わる認知行動療法は、問題のはじまりがどちらであっても関係ありません

 

 

はじまりがどちらであれ、・・・痛みから注意がそれれば痛みは減るし、痛みが減るから痛みに注意がいかなくなるし、痛みから注意がそれれば痛みは減るし、痛みが減るから痛みに注意がいかなくなるし、・・・、という好循環を形成するのが目的です。

 

 

この記事で書いたのは慢性疼痛のための認知行動療法のほんの一部ですが、どんな認知行動療法でも、「症状とココロ(≒脳)の関係を、一方通行の因果関係でなく、円環関係で捉えて、変えられる部分を変えて、悪循環を好循環に変えよう!」というコンセプトは同じです。

 

 

慢性疼痛のかたに認知行動療法をすすめると、「私は精神的な問題はないから必要ない!」という人がいますが、そう思ってしまうのは、上述の円環モデルを知らないからでしょう。

 

 

痛みと注意の円環モデルを理解すれば、「精神的に問題が無い人ほど認知行動療法で痛みは楽になる」、ということがわかるハズです。

 

 

繰り返しますが、「痛みから上手く注意をそらせば、銃で撃たれた痛みも感じなくなるほどの鎮痛効果が得られる」のは、正常な注意機能(認知機能・精神機能)が持つ潜在能力であり、それに近い鎮痛効果を得ようというのが注意の方向付けに関わる認知行動療法です。

 

 

慢性疼痛の治療に認知行動療法をすすめられたのは、精神的に問題があるとみなされたから、と捉えるのは間違いで・・・

 

 

「(注意などの)正常な精神機能を使って、慢性疼痛を改善しませんか?という提案をされた」と、そう捉えるべきなのです。

 

 

 

☆補足

 

①ストレス要因が外の世界ではなく自分の頭の中にある人もいます。その場合、この内容の考え事をしていると余計に痛い・調子が悪くなる、という感覚が自覚できるはずです。また、このパターンだと、注意を外向きにするだけで痛みが楽になったりします。自分はどのパターン?ということが相談したいかたは、こちらの相談フォームからお問い合わせください

http://form1.fc2.com/form/?id=2ff7870cee52ed79

 

②ストレスと慢性疼痛の関係や、ストレス誘発鎮痛についてもっと詳しく知りたいかた、特にメカニズムについて知りたいかたはこちらの医療従事者向け記事をご参照ください。

https://ameblo.jp/u-mri/entry-12326859885.html

 

③高次脳機能障害・発達障害・認知症による注意障害や、うつ病などの精神疾患に対するマインドフルネス瞑想訓練について知りたいかたはこちらの記事をご参照ください。一般向けです。

https://ameblo.jp/u-mri/entry-12338590292.html

 

ストレス誘発鎮痛をはじめとする「注意の方向づけによる痛みの心理療法を試す方は、整形外科や内科などの身体科での健康checkも同時に受けるようにして下さい(≒精神科だけ通院しているような状況にならないようにかかりつけを作りましょう!)」。心理療法の鎮痛効果が強く出すぎて、身体に負担をかけすぎてしまうことにつながるケースを散見します。パソコン作業&肩こり頭痛、かがんでやる仕事&腰痛の例のように、何かに集中する⇒痛みから気がそれて鎮痛される⇒痛みがひどくなるような姿勢や作業をしている事に気付かないこともあります。その結果として病気がひどくなってしまう・・・というケースも多いです。よって、身体のcheckをしてくれる身体科のかかりつけは作っておきましょう!

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P.S.1.

痛みに対するマインドフルネス瞑想に関してはこちらの単行本に載っています。

 

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P.S.2.

注意機能に関しては、当研究所の単行本「高次脳機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援養成講座」に概要が掲載されています!

 

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