題名…『私とイケメン転校生と時々インベーダー!?』


対象読者年齢…小学校3〜4年生


ジャンル…一応SF(笑)


第2話


「それでは、火村くんの席は……。そうね。平田さんの隣が空いてるわね。あそこに座ってちょうだい。」と先生は、あたしの席を指差した。

 えー!ただでさえ人と話すのが苦手なに、あんなかっこいい男子が隣に座ってきたら緊張して授業どころじゃないよ!どうしよう?

 「よろしく」

 「あ、あ、あ、よ、よろ、く……」

 だめだぁ。初対面の男子となんか話せないよ。きっと(変な女子だな)って思ってんだろうな。

もう今日は帰りたくなってきた。

 「ふふ。面白い人だね。平田さんは」

 そんなあたしの考えとは逆に火村くんは笑顔で話してくれた。

 休み時間になると、火村くんはクラスの女子たちに囲まれて質問攻めにあっていた。

 「火村くんって、趣味は何なの?」

 「どこに住んでるの?」

 「女の子はどんなタイプが好きなの?」

 火村くんは女子たちの質問にニコニコしながら、一つ一つ答えている。そりゃ、これだけかっこいい男の子が教室にいたら女の子なら気になるよね。あたしは、何も話しかけられないけど。

 午前中の授業が終わり、昼休みになった。給食を早めに食べたあたしは午後の授業が始まるまで、図書室で借りてきた本を読むのが日課になっている。レナは友達と遊びに行っちゃうしね。

 「おいおい!転校生!お前調子に乗りすぎじゃねえのか!?」

 静かな図書室に、いきなり怒鳴り声がしたので、あたしは本を置いて振り向いた。するとクラスの暴れん坊の木下修二くんとその仲間たちが、火村くんを取り囲んでる。

 修二くんは自分の気に入らないことがあると、すぐに乱暴するためクラス中からは、とても恐れられている。もちろんあたしも怖いので、近寄らないようにしている。

 修二くんは火村くんの胸ぐらをつかみ始めた。どうしよう?先生を呼んできたほうがいいのかな?

  「少しばっか、女子にモテるからって、いい気になっててムカつくんだよ!」

 「そんなつもりはないよ。暴力はやめようよ」

 「うるせー!」

 バキッ!

 修二くんにお腹を殴られた火村くんはうずくまってしまった。とても苦しそうだ。何でこんなことするの?ひどいよ。でも、あたしには怖くて止められない。

 「おい、1発で終わりかよ?」

 修二くんは、うずくまったままの火村くんをまた殴ろうとする。

 「転校生、まだ終わりじゃねえよ!」

 「暴力はやめろ!じゃないと君も同じ目にあうぞ!」

 「出来るもんなら、やってみろよ!」

 ピカッ!!

 えっ?いま一瞬、火村くんの目が赤く光ったように見えた。あたしの見間違いかな?すると、修二くんが、お腹を押さえて急に苦しみだした。

 「うっ? うぅ……。い、痛い!お腹が痛いよ!」

 「修二どうしたんだよ?」

 一体何が起きたんだろう?火村くんの目が赤く光って見えたことと関係あるのかな?まさか!

 「痛い!お腹が痛いよう……」

  とうとう修二くんは泣き出してしまった。その時、学級委員の小沢さんが村上先生を連れて図書室に入ってきた。

    「先生、木下くんたちがケンカしてるんです!」

 「あなたたち、何をやってるの?」

 「せ、先生!お腹が痛い!」

     お腹をおさえて泣いてる修二くんを見て、先生が近寄った。

     「木下くん!大丈夫?保健室に行きましょう。立てる?」

 「う、うん」

 修二くんは、先生と一緒に保健室へ行ってしまった。

 午後の授業が終わる頃に修二くんは保健室から戻ってきた。とりあえず元気そうだけど、あんなことがあったせいか、いつもより大人しかった。

 「未夢!一緒に帰ろう!」

 放課後、帰りの準備をしてるあたしに、レナが元気よく言ってきたので、あたしは「うん!」と答えたわ。

 レナは他の女子たちと一緒に帰ることが多いけど、たまにあたしに「帰ろう」と誘ってくる。レナと一緒だと下校も楽しい。こうやって、2人で帰るのは久しぶりだなぁ。

 レナだったら、帰る友達はたくさんいるのに、あたしに声をかけてくる時はいつも1人だ。きっとあたしが、他の女子たちと一緒だと緊張して話せないのを知ってて、気を使ってくれてるんだろうな。

あたしは、そんなレナの優しいところが大好きだった。

 校門を出ようとした時、後ろからあたしを呼ぶ声がしたので、振り返ってみると火村くんが手を振りながら、こちらに走ってくる。

 「おーい。平田さん。一緒に帰ろうよ」

 「え、で、でも、あ、あたし。」

 「いいじゃない!未夢。3人で帰ろ!あたしは本田原レナ!これからよろしくね!火村くん!」

 「こちらこそよろしく!本田原さん!」 

 その時、男子の声が聞こえた。

 「おーい!危ないぞ!よけろ!」

  えっ?グラウンドの方から野球ボールが、すごいスピードでこっちに飛んできてる!どうしよう?

 「2人とも下がって!」

 火村くんが、あたしたちの前に立った。

 「危ないよ!当たっちゃうよ!」

 レナが叫ぶ。あたしは怖くなり、目をつぶって、しゃがんだ。

 パーン!!

 すごい音がした。あたしは恐るおそる目を開けて、火村くんを見た。ホッ。無事みたいだ。あれ?ボールは?火村くんの足元を見ると野球ボールの破片みたいな物が散らばっていた。

 まさか、さっきの音は野球ボールがパンクした音だったの?