【概要】
Thunderbirdを利用して同じ相手と何度かメールのやりとりをしていると、メールの引用文が途中から消えることがある。これを防ぐ方法を記載する。
【発生条件】
以下の条件を満たすときに発生する。
- ・少なくともどちらか1人がThunderbirdを利用している。
- ・少なくともどちらか1人が署名(シグニチャ)の区切り文字として「-- 」を利用している。日本語で書くと「ハイフン ハイフン 空白」を利用しているということ。
- ・メールの返信(リプライ)をする時に引用符を付けない(行頭に「>」などの文字を付けない)。
- ・メールの返信をする時に全文引用をしている。
- ・メールの返信をする時に自分の署名を、メールの末尾ではなく引用部分の上に挿入している。
【引用文が途中から消える例】
自分がThunderbirdを利用し、相手が問題のないメーラを利用している時に発生する例。
[1.相手が自分に送信]
おはよう。 白ヤギです。問題のないメーラから送るよ。 == 白ヤギの署名(問題のない区切り文字の署名/一番下に挿入)
[2.自分が返信]
こんにちは。 黒ヤギです。Thunderbirdでお返事ですよ。まだ問題は発生しないよ。 -- 黒ヤギの署名(問題が発生する区切り文字の署名を引用の上に挿入) -------- Original Message -------- おはよう。 白ヤギです。問題のないメーラから送るよ。 == 白ヤギの署名(問題のない区切り文字の署名/一番下に挿入)
[3.相手がさらに返信]
こんばんは。 白ヤギです。問題のないメーラからなので全然平気だよ。 -------- Original Message -------- こんにちは。 黒ヤギです。Thunderbirdでお返事ですよ。まだ問題は発生しないよ。 -- 黒ヤギの署名(問題が発生する区切り文字の署名を引用の上に挿入) -------- Original Message -------- おはよう。 白ヤギです。問題のないメーラから送るよ。 ================================ 白ヤギの署名(問題のない区切り文字の署名/一番下に挿入) ================================ 白ヤギの署名(問題のない区切り文字の署名/一番下に挿入)
[4.自分がさらに返信]
本来ならこうなってほしいが、、、、、、
おはこんばんちは。 黒ヤギです。Thunderbirdだとこのタイミングで問題が発生して下の方が消えちゃうよ。 -- 黒ヤギの署名(問題が発生する区切り文字の署名を引用の上に挿入) -------- Original Message -------- こんばんは。 白ヤギです。返事への返事です。問題のないメーラからなので全然平気だよ。 -------- Original Message -------- こんにちは。 黒ヤギです。Thunderbirdでお返事ですよ。まだ問題は発生しないよ。 -- 黒ヤギの署名(問題が発生する区切り文字の署名を引用の上に挿入) -------- Original Message -------- おはよう。 白ヤギです。問題のないメーラから送るよ。 ================================ 白ヤギの署名(問題のない区切り文字の署名/一番下に挿入) ================================ 白ヤギの署名(問題のない区切り文字の署名/一番下に挿入)
実際はこうなる。引用部分の最初のメール部分が消える。
おはこんばんちは。 黒ヤギです。Thunderbirdだとこのタイミングで問題が発生して下の方が消えちゃうよ。 -- 黒ヤギの署名(問題が発生する区切り文字の署名を引用の上に挿入) -------- Original Message -------- こんばんは。 白ヤギです。返事への返事です。問題のないメーラからなので全然平気だよ。 -------- Original Message -------- こんにちは。 黒ヤギです。Thunderbirdでお返事ですよ。まだ問題は発生しないよ。
【動作説明】
Thunderbirdは返信をする時に相手の署名を削除する仕様である。どの行が署名であるかの判断として「-- 」(ハイフン ハイフン 空白)の行を利用し、そこより下は全て署名であると判断する。そのため、引用元の本文中にこの文字列が含まれているとそこから下が全て消える。なお、なぜThunderbirdが「-- 」を署名の区切り文字として認識するかというと、RFC2646の4.3.で『「-- 」は署名の区切り文字だよ』みたいなことが書かれているため。
https://tools.ietf.org/html/rfc2646
【回避方法】
Thunderbirdで以下の設定をおこなう。
[オプション]→[詳細]→[一般]→[設定エディタ] で設定エディタを開き、「mail.strip_sig_on_reply」を「false」に設定する。
こうすることで、引用元の本文に含まれている署名を、返信時に削除しなくなる。 その結果として、引用文が途中で消えることがなくなる。
【補足】
引用時に相手の署名を削除するのをデフォルト動作にするのはやめてほしいなぁと思う。常に全文引用でメールのやり取りをするのがマナーみたいに言われているビジネスメールで、このデフォルトの挙動は不便。
本現象で困っている人は少ないようで、日本語のページはほとんど存在しなかった。個人的にはちょっと不思議。ビジネスメールではThunderbirdってあまりと使われていない