私の背中には扉がある
それは 彼岸と此岸を繋ぐ扉…
はじめは只の穴に過ぎなかった
背中の真ん中に大きく空いたブラックホール
その穴は この世を彷徨う霊たちを
本来 彼らの還るべき場所へと
誘うための通路の入り口だった
それが背中全面にわたる扉に進化したのは
あるTシャツに袖を通したからだ
通称『超T』超能力が出るTシャツだ
何故 それを買おうと思ったのか…
特殊な製造方法故 正直お高い
Tシャツとしては破格な値段のそれを
購入した事自体が信じられない事なのだが…
そもそも このTシャツの存在自体が
軌跡に近いものなのだけれど…
斯くして 私の背中は大きな進化を遂げた
この扉の存在上
私に霊の姿は視えない
成仏というものに興味のない
一部の輩を除いては…
だいたい この扉をくぐろうと
自分に突進してくる霊が視えたら
失神必至だっちゅうの!!
((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
扉が穴であった頃は
度々寝苦しい夜を過ごした
大きな災害や戦争などで
一度に多くの生命が失われると
小さな穴では目詰まりを起こし
背中のそれが疼くからだ
3.11のあの夜もそうだった…
それまで 自分の持ち前のエネルギーだけで
ゲートの役をこなしていたのだが
ある時 これもひょんな出逢いから
ある宇宙エネルギーと繋がる機会を得て
少し楽になったとは言え
所詮 穴は穴
決して満足な処理能力とは言えず
数日間疼く事も度々だった
ブラックホールがHeaven's Door へと進化を遂げ
背中の疼きもほとんどなくなった
ただ 残念な事に
副作用であるトイレの近さだけは
改善されることはないらしい
その証拠に
霊が集まる映画館やカラオケボックス等では
トイレ通いが治まらず
通常の2時間程度の映画では
少なくても3回は席を立つ
より 霊の数が多いところでは
5分に1度はトイレ通いなんて事もザラだ
だから どんなに怪談が好きでも
ホラー映画は円盤で
心霊スポットにはオムツ着用で
(まぁ そんなところ行かないけど…)
そう言えば…
扉になってからは
オムツ着用でなくても
長距離ドライブ可能になったな…
前はパーキングやコンビニに間に合わないなんて事
しょっちゅうだったもんな…(;つД`)
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