※数学者の皆様へ:このブログはド文系の人間が無い知恵を絞って予測したものです。
そして、すでにこの分野で研究されている方は数多くいらっしゃると思います。
もし論理構造や結果等に誤りがございましたら、ご指摘のほどお願いいたします。
最近、YouTubeで数学に関する動画を見ることが多いです。
数学の世界を見ると、実世界から離れた気分になれるのです。
そこで、かねてから直角三角形について気になっていたことがあります。
3辺の比が自然数で直角二等辺三角形に一番近い辺の比はどういう数字の組み合わせだろうということです。
このような数字の組み合わせをピタゴラス数といいます。
まず、直角二等辺三角形の辺の比について説明しましょう。
直角二等辺三角形は、辺の比が1:1:√2になるため、整数の比にはなりません。
これは三平方の定理から導き出すことができます。
直角を挟む辺をa、bとおき、最も長い片(斜辺)をcとおくと、
a^2 + b^2 = c^2 …①
が成り立つというものです。
直角二等辺三角形の場合、片の比はa=b=1となるため、①の式にa=1、b=1を代入し、右辺と左辺を入れ替えると
c^2 = 1^2 +1^2
となり、1の2乗は1のため、
c^2 = 1 + 1
c^2 = 2
となります。
ここからcを求めると、c = ±√2となりますが、cは辺の長さなので正の数になり、c = √2が導き出されます。
直角二等辺三角形の辺の比の説明はここまでです。
本題に戻りますが、3辺の比が自然数で直角二等辺三角形に一番近い辺の比といっても、整数は無限にありますし、直角二等辺三角形に一番近いという言い方も少しあいまいです。
そこで、今回は直角を挟む辺の長さがどちらも1億以下の場合で最も直角二等辺三角形に近いものを探すことにしました。
さらに、両辺は互いに素(両方の数を割り切れる数が1以外に存在しない)という条件も加えます。
そうしないと、2辺に同じ数字をかけて1億に近くするということができてしまうためです。
直角二等辺三角形に一番近いというのを数式で表すと、直角を挟む辺のうち短い方をa、長い方をbとおくと、b ÷ aが1に近いということになります。
ここで、直角三角形の辺の長さが整数になる組み合わせを見つける文字式を利用します。
m、nが自然数で、m > nとした場合
m^2 + n^2 …②
m^2 - n^2 …③
2mn …④
の組み合わせが直角三角形の3辺の組み合わせになるというものです。
この場合、③、④よりも②の方が大きくなります。
(つまり、②の値が斜辺になるということです)
これは実際にこれらの数を2乗して引き算をすればわかります。
まず、② - ③を求めます。
(m^2 + n^2) - (m^2 - n^2) = 2m^2
mは自然数なので正の数ということで、 2m^2 > 0 となり、②の方が③より大きいことになります。
次に、② - ④を求めます。
(m^2 + n^2) - 2mn = (m - n)^2
m > n なので、m - n > 0となり、その2乗である (m - n)^2 > 0ということで、②は③、④よりも大きくなります。
では、②、③、④が直角三角形の辺の組み合わせになることを示します。
ここで①の式(三平方の定理)を使います。
今までの話で、④が一番大きくなるため、②の二乗が③の2乗+④の2乗に等しくなればよいということになります。
②の2乗を展開すると、
(m^2 + n^2)^2 = m^4 + 2(mn)^2 + n^4 …⑤
になります。
③の2乗+④の2乗を計算すると
(m^2 - n^2)^2 + (2mn)^2= m^4 - 2(mn)^2 + n^4 + 4(mn)^2
= m^4 + 2(mn)^2 + n^4 …⑥
となり、⑤と⑥が等しくなるため、②、③、④は直角三角形の辺の組み合わせになります。
ここまで前提となる話を説明したうえで本題に入りましょう。
mやnにやみくもに数字を入れても時間がかかるばかりです。
そこで、m ÷ n がどのぐらいの値のときに、③と④の比が1に近づくかを導き出します。
ここでは、③と④が等しくなるのはどのような条件かを求めて、それに近い数字をmとnに当てはめることにしました。
③=④は、m^2 - n^2 = 2mnなので、2mnを左辺に移行すると、
(m^2 - n^2) - 2mn = 0 …⑦
となります。
ここで、⑦の左辺を(m-n)^2にすることを考えます。
(m-n)^2 = m^2 - 2mn + n^2
のため、⑦の左辺を、m^2 - 2mn + n^2にするためには、両辺に2n^2を足す必要があります。
そうすると、
m^2 - 2mn + n^2 = 2n^2
となり、左辺を因数分解して
(m-n)^2 = 2n^2
とします。
ここで両辺の2乗を外します。
ここでは、いったん右辺に±をつけてみましょう。
m-n = ±(√2)n
まず、m-n = (√2)nの場合は、左辺の-nを右辺に移項し
m = (√2 + 1) n
となり、 √2 + 1 > 0 のため、m、nとも正の数という条件を満たします。
一方、m-n = -(√2)nの場合は、左辺の-nを右辺に移項すると
m = (-√2 + 1) n
となり、-√2 + 1 < 0 のため、この等式を満たすためにはm、nのどちらかが負の数になり、m、nとも正の数という条件に反します。
そのため、m = (√2 + 1) n のみとなります。
これを書き換えると、m : n = √2 + 1 : 1になります。
√2 ≒ 1.4142…なので、√2 + 1 = 2.4142…となります。
ここで、2.4142…の小数第2位を切り捨ててm : n = 2.4 : 1とすると、これを満たす最小の整数の組み合わせはm = 12、n = 5です。
それに対して、2.4142…の小数第2位を切り上げてm : n = 2.5 : 1とすると、これを満たす最小の整数の組み合わせはm = 5、n = 2となります。
そこで、m = 5のときから調べることにしました。
ここからはExcelの出番です。
m : n = √2 + 1 : 1になるということで、nの値は、m ÷ (√2 + 1) の値を小数点以下切り下げたものと切り上げたものをそれぞれ調べます。
mとnの組み合わせを入力し、m^2 + n^2、m^2 - n^2、 2mnを計算しますが、直角を挟む辺となるm^2 - n^2、 2mnのどちらかが1億を超えたらストップします。
m^2 - n^2、 2mnがともに1億以下になる最大の数字の組み合わせは m = 10,986、n = 4,551のときで、この時、
m^2 + n^2 = 141,403,797
m^2 - n^2 = 99,980,595
2mn = 99,994,572
となります。
ここで、直角を挟む2つの辺の割合を求めます。
Excel上では、いったん一律で (m^2 - n^2) ÷ 2mn を計算し、この値が1より大きければその値をそのまま使用し、1より小さければその値の逆数を取ります。
これにより、直角を挟む2辺のうち、長辺 ÷ 短辺 の形にし、1より大きな値で比較できるようにしたわけです。
ここで比較する前にもう一作業あります。
m^2 + n^2、m^2 - n^2、 2mnが互いに素である組み合わせのみ選別する必要があります。
これは、m^2 + n^2、m^2 - n^2、 2mnの最大公約数が1になるものをピックアップします。
これで長辺 ÷ 短辺が最も1に近いものを求めます。
その結果、m = 5,741、n = 2376のときに最も長辺 ÷ 短辺が1に近くなり、
m^2 + n^2 = 38,613,965 → 38,613,965^2 = 1,491,038,293,021,225
m^2 - n^2 = 27,304,197 → 27,304,197^2 = 745,519,173,814,809
2mn = 27,304,196 → 27,304,196^2 = 745,519,119,206,416
長辺 ÷ 短辺 ≒ 1.0000000366
という結果になりました。
この結果は、斜辺が1億以下の物でも最も直角二等辺三角形に近い形になるのではないかと思います。
個人的には、3辺とも1億の半分に満たないものが最も直角二等辺三角形に近い値になったことにびっくりしました。
直角を挟む2辺の値は9,000万台になると予測していたからです。
この問題は、√2 + 1の近辺に限りなく有理数が存在することから、直角を挟む2辺か斜辺のどちらかに上限を設け、その範囲内で最も直角二等辺三角形に近くなるピタゴラス数はいくつかという問題になるのではないかと思います。
今日はいつもに比べて大変長くなりましたが、ここまでお付き合いくださり誠にありがとうございました。