「悩みのるつぼ」朝日新聞 be 2024.6.1.

 

相談:「4年交際した女性に振られた」

相談者:男性 60代

 

回答:「まだ若い、次に進みましょう」

回答者:歌手・俳優 美輪明宏さん

 

相談内容:

知人の紹介で知り合った2歳下の

女性と4年ほど交際していた。

 

私は6年ほど前に妻と死別。

彼女も数年前に夫と離婚。

互いに独り身だが、

最近になって振られた。

 

人気のない電車内で彼女が

突然キスをしてきたので、

恥ずかしくて手で遮ったことが

原因だった。

 

以前、反対にこちらが電車の中で

彼女に顔を近づけた際に

避けられたこともあり、

他意のない反射的行為と

理解してくれると思ったが、

その日を境に彼女の態度は

冷たくなり、2ヵ月後には

「あの時、気持ちが冷めた。

もう会いません」と連絡があった。

 

傷つけたのにちゃんと

謝らなかったという後悔、

なぜだという思い、

老後のわびしい人生を想像し、

喪失と葛藤に苛まれている。

 

交際した4年間、ケンカは

ほぼない。

彼女は器用なタイプではなく、

他に好きな人ができたとも

思えない。

 

この年齢で女心の不明に

頭を抱えるとは……。

 

別れの儀式もなく、

なぜ彼女はあそこで

冷たい振り方をしたのだろうか。

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回答:

お相手の女性は、愛より

プライドを重視したのだろう。

 

その女性は、あの名作オペラ

「カルメン」のヒロインに

近いタイプのように見える。

 

他に人がいる電車の中で

キスをしようとする。

自分が愛の主導権を握っていると

いわんばかり。

そして手で遮られたら、

「冷めた、もう会わない」と。

プライドが傷ついたんだろう。

 

ひとつ言えるのは、彼女の中に

あったのは元々、あなたへの

愛ではなく自らの欲望。

 

過去に相談者が同じような行動を

取って、彼女に遮られた経験が

あるとのことだが、

彼女は自分がするのは構わないが、

相手の同じことをされるのは

不本意だったのだろう。

 

そもそも愛とは自分のことは

さておき相手のことを思いやること。

 

自分の欲望、抱きたい・抱かれたい

という思いを第一に持ってくるのは

愛ではない。

 

いずれにせよ、この関係は

相談者さんが復縁を迫るためや

別れの理由を聞き出すための

手紙を出したり、会いに

行ったりすると、ますます

こじれると思う。

 

「60代で寂しい」とのことだが、

現代社会では、その年代で

独身の方々は非常に多い。

今の60代、まだまだ若い。

 

昔と違って、そのぶん多くの

新たな出会いの場もある。

 

次に進んで色んな人を知れば

「そういう女性もいるんだな」

程度に思えるかもしれない。

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相談者さん、残念でしたね。

お寂しいですね。

 

美輪さんの回答にあるように、

次の出会いを探すのが、

いちばんでしょう。

 

その点は回答と同じですが、

彼女についての見方が

多少違います。

 

4年ほど交際し、結婚を

考えていたとありますが、

「妻の7回忌が終わってから、

プロポーズしよう」とでも、

思っていたのでしょうか?

 

最近の60代は若いとは言いますが、

60代の4年間は、大きいです。

 

健康年齢は、男性の方が

短いですが、女性も将来への

不安は大きいと思います。

 

また別れるきっかけと

相談者さんが考える

彼女のキスですが、

「ひと気のない電車内」と

相談文にはあります。

 

比較として、相談者さんが

持ち出した話では、

周りに誰かいたかどうかが

ハッキリとは書かれていません。

 

もしかしたら

誰かの視線を感じた、

あるいは、口臭が

イヤだったなど何か理由が

あったかもしれません。

 

4年間、ほぼケンカがなかったと

いうのは、彼女が相談者さんに

合わせていただけかもしれません。

 

離婚した元夫に似たところに

気づいたのかもしれません。

 

小さなストレスを溜め込み、

我慢も限界だったかも。

 

それでも相談者さんをスキという

気持ちのほうが強かったのでしょう。

だから、キスをしようとした。

 

それなのに、拒否?

ショックを受けて、

心が折れたのでしょう。

 

プライドが傷ついたとしても

不思議はないと思いますよ。

 

相談者さんが、

「反射的行為と理解してくれて

いる」と思うのは、自分に

都合のいいカンチガイ。

 

回答には、「彼女の心の中に

あったのは元々、あなたへの

愛ではなく自らの欲望」と

あります。

それはそっくりそのまま、

相談者さんにも当てはまると

相談文を読んで思いました。

 

相談者さんは、次の方を

探されたら、いいと思います。

 

「器用なタイプではない」と

相談者さんが思う彼女は

「年上男性はこりごり」と

思っているかもしれません。

 

彼女も、「これからは年下!」

なんて次の恋を探せる

元気があれば、いいのですが。