夕方に子宮がん検査を行う運命は変えられないものか。運命に抗うことはできないか。
主治医から大切さを説かれてもなお、どうにか回避する術を模索していた。
単に、輸血と点滴を交換や様子見に来る入れ替わり立ち替わりにくる看護師さんに言うだけなのだが。
「先生には検査を夕方やると言われてるんですけどー、体力がなくってー」
毎回、看護師の姉さん方に伝えた。
自分でも、あたかもやりたくないものを先延ばしにする幼稚園児や小学生のように思えてきた。
そこにはプライドも何もない。
最後は「気力もなくってー、先生に言ってもらえないですかね?」
いなくなった看護師さんは、先生に言ってくれたに違いない。
一縷の望みを静寂の中ただひたすらに待つ。
看護師さんきたー!
車いす持ってきてるー。
「先生待っていますんで行きましょう!」
思わず笑ってしまう。どうにもならないこともあるんだなと。
あちら側でのやりとりなんて容易に想像できる。
「いいから連れてきて!」
車いすですぐの診察室にテンションだだ下りで向かうのだった。