出会いは、2011年6月だった…

当時は浜松に単身で赴任しており、近場の山を走るためにXR250を所有していた。
しかし、やはりパワーのあるオンロード車は欲しくなる…

インターネットの情報から、大分県のショップから程度の良さそうな一台を見つけた。


2005年式メタリックブラックのGSX1400Z…
走行距離は8000kmに満たない中古のオートバイだが、ワイバンのフルエキゾーストが換装されていたのが私の気を引いた。

{9ED7BBA2-A324-4084-8F41-1EDA98FE5726}

GSX1400には特段に思い入れや幻想などはなかった。
私がオートバイを選んでいると知った、私がその走りを尊敬する“峠の脱腸”ことチームルナティックの大将が所有するモデルであるGSX1400にしろとのお達しがあったからだった。
5万5千キロを走破してもノートラブルの頑張り屋さんだ。とのこと…

不人気なモデルだったが、調べてみると悪くない。2005年から後期になり、マフラーが集合になり、スピードメーターの表示が260km/hへと変わり、ステムベアリングがボールからテーパーに変わった。

数年前まで、GSXR1100Lという油冷モデルをいじり倒して乗っていたから、スズキや油冷エンジンに抵抗がなかったこともある。


せっかくだから、大分まで引き上げに向かった。
帰路は、少しばかり長い距離だがいいツーリングになると思ったのだ。

しかし、思惑どおりにはいかないもので、天候には恵まれず土砂降りの中、
乗り慣れないオートバイで700km以上を走ってこなければならなかった。



1401ccの油冷エンジンは、私が知っていた油冷ユニットの過激な加速(多分に改造していたからだが…)とは全く違い、6速ギヤでスタート以外は走れてしまうフレキシブルなものだった。

シートも厚みがあり、大分からの長距離でも大して疲れなかった。
大したツーリングモデルだな。
それが、最初の印象だ。



浜松に戻ってから、不満を解消するためパーツを少しづつ交換していった。

ほんの少しだが、スポーティなモデルが好みだったから、耕運機みたいな純正アップハンドルは、すぐに低い物に替えた。
ゴムを使わない主義の私はノーマルステップのゴムもやたら前方にあることも許せなくてバックステップに替えた。 うしろも好きだ。
そして、ようやく落ち着けるポジションを得たわけだ…

私は既におっさんだったが、おっさんくさいオートバイが大嫌いだ。
GSX1400には、そのまま乗っているとおっさんくささが漂う…
そいつを払拭するために、デザインに合うカウルを検討し、ふんどしのようなリヤフェンダーをフェンダーレスキットに変えたし、弁当箱みたいなウインカーを小型化したのも同様の思いに駆られたからだ。


かくして、徐々に好みの仕様となり、各地を彷徨ってきたGSX1400Zは、大したトラブルもなく3万キロを超えてすこぶる快調だ。
だが…



唐突だが、この度嫁に出すことにした。

{5087F9B5-75F7-4F7E-AE69-4E1DD18E4528}

夜、走りに出た。
中央道の調布インターから高速へ、相模湖で降りて田舎道をのんびり走り、大月あたりで戻ってきたところ。

昼間、洗車したからべっぴんなGSXとなっていた。タイヤも交換して間がないから走りもべっぴんだ。おっさんからべっぴんに変身して、ようやく分かり合うことが出来た。




だが、お別れだ。


泣くなよ…

そんなHIDの青い瞳で泣くなよ…
仕入れておいたLEDランプは次の彼に渡しておくから…


元気でな。
私のGSX1400Z。

そして、ずっと走り続けてくれ。
どっかで、すれ違うことが出来たら最高だからさ…




ありがとう…