夫の不倫発覚後から、もうひとつ私の頭を悩ませていた問題があった。



その問題とは、義理の母による連日の電話攻撃だった。

この時は1番精神的に辛かった時期なので、人と話す事も苦痛で仕方なかった。

そんな中、何でよりにもよって義母となんか話さなくてはならないのだろう…。

義母はそんな私の事など一切お構いナシで毎日のように電話を掛けてきた。



義母には夫が不倫してた事は、私が家出した時に分かってしまった。

夫の事を溺愛していた義母は、それはそれは大変ショックを受けたようで…。

多分義母もパニックを起こしていたんだと思う。

つらつらと自分の辛い気持ちを吐き出すように長々と話し、さらにはこのせいで持病の高血圧がひどくなった…などと延々聞かされた。

もっとも嫌だったのが「どうしてあの子(夫)が不倫なんかしたんだ…?」「相手はどんな人?」「今はどうなってるの?」などなど、

不倫の内容を細かく聞いてくることだった。

確かに気になるだろう、それは分かる。

でも、なぜ今それを私に聞くのか。

あまりにも無神経、デリカシーが無さすぎではないか?

そして最後に義母は必ずこう言うのだ。

「離婚だけはしないで。子供たちに会えなくなるなんて耐えられない。我慢してね。」と。




この事が凄く凄く嫌で、そのうち義母の電話には居留守を使ったりして出なくなった。



でもこれが義母の行動をさらにエスカレートさせた。

毎日7~8回は電話を掛けてくるようになり(もちろん出ませんでしたが)、

数日その状態が続いたかと思ったら、今度は私の母に電話を掛け…(それまで1回も掛けた事はないのに)

「連絡が取れないから心配だ。今からでもあっちに向かおうと思っている。」と相談したらしい。

母には義母の行動が苦痛になっていて電話に出れないと話しておいたので、

母は機転を利かせてくれ、「二人の問題だし周りが騒いだらきっとダメだと思いますよ。もう少し落ち着くのを待ちましょう。娘の方も今はまだ辛いだろうし。」となんとか義母を説き伏せてくれた。



その効果はあったらしく、数日は電話が鳴ることがなく過ぎた。

でもホッとしたのもつかの間、またすぐに電話攻撃が始まった。

この頃から私は電話の音だけで恐怖を感じるようになった。

耳をふさいでも聞こえてくる電話の呼び出し音…何度電話機を壊そうと思ったことか…。

さすがに耐え切れなくなり、夫にメール。


「またお義母さんから何回も電話が掛ってきてます。私はもう出たくないので、夫が対応してください。」と。


これまでにも義母に電話の回数を減らしてくれるよう、何回も夫に頼んでおいた。

でも不倫発覚から今まで、夫はお義母さんからの電話には一切出なかった。

もちろん夫の携帯にもお義母さんは何回も掛けていたが、それにもまったく出ていなかった様だ。

やっぱり不倫してたのがバレてるし、気まずくって出る気になれなかったんだろう。

でもそのしわ寄せは全部私にきてる。

どんなに嫌な事でも、それは自分がしてきた事の結果。尻拭いぐらいちゃんと自分でして欲しい。



その日夫は飲んで帰ってきた。

私からメールを受け取ったあとに、やっと義母の電話に出たようだ。

夫いわく、義母にこっぴどく怒られたらしい。

「今度こんなことがあったら絶縁」と言われたと夫は肩を落として私に話した。

そしてこんな事も言っていた…

「孫達に会えなくなったら恨む」と言われて凹んだそうな。

孫に会えれば自分なんかどうでもいいのか?と夫は悲しくなったらしい…。


…アホかっ!このマザコンが!!


あまりにアホらしくなり無言になってしまいました…。




彼女と話した次の日、夫への気持ちがぐんと冷める出来事があった。

(まぁ不倫が発覚した時点でだいぶ気持ちが冷めてはいたが。)


夜別々に寝たため、朝夫を起こしに夫が寝ている部屋に入った。

ぱっと目に入ったのが、枕元に置いてあった夫の携帯。

「もしかしてあの後彼女と何か連絡したかも…」と思ってしまい、携帯が気になって仕方がなくなった。

とりあえず夫を起こし、少し話をした後に

「携帯…見てもいい?」と聞いてみた。

これまでずっとこそこそと見ていたけど、夫もきっと見られていると気づいているはず。

それなら堂々と断わってから見たほうがいいのではないかと思ったのだ。


夫は仏頂面だったけど「別にいいよ。」と言い、携帯を私に渡してその場を離れていった。

ちらちらとメールの送受信を見てみたけど、怪しい様子は特になかった。

ほっとして夫に携帯を返し、夫はその後携帯を充電していた。

それから少し時間が経った後、私は電話の履歴の確認をしてなかったのに気づいて、その充電している途中の携帯を手にした。

夫はトイレに入っている…。

「さっき見てもいいって言ってたんだから大丈夫だろう」…そう思って夫にはわざわざ確認せずに携帯を見てしまった。

その時夫がちょうど部屋に入ってきて、携帯をいじる私の姿を見つけた。

無言でたたずむ夫に、携帯を見ていた私はちょっと気まずい思いがあったので苦笑いのような微妙な顔をしたと思う。

その次の瞬間…


「ドカッ!!!」


夫の右足が私の腰とお尻の辺りを蹴っ飛ばしたのだ。

その勢いで倒れた私は、あまりにビックリして声も出なかった。


「もう止めてくれ!!俺だって辛いんだよ!!」


夫はそう言って床に突っ伏した。

今まで夫から暴力を振るわれた事はなかった。

あんな怖い形相の夫を初めて見た。

蹴られた場所がジンジンとしびれている。

怖さでぶるぶると震える私は「もう無理」と強く思った。


「……もういい…。もう別れる!!浮気しといて辛いって何!?辛いのはあなたなの?何で蹴るの?もう嫌だ!もうあなたとやっていく自信なんてなくなった。あなたはあなたの好きなようにしたらいい。あたしだってまだ若いし、人生やり直すなら早いほうがいいからもう別れましょう。」


泣きながら夫にそう訴えた。

夫はその言葉を聞き、ハッと我に返ったのか、私を強く抱きしめ「ごめん!ごめん!!」とひたすら謝った。

抱きしめるその腕はとても力が強くて、必死で泣きながら抵抗する私を決して離そうとはしなかった。

抜け出そうともがき暴れる私に、夫はさっき蹴った理由を話し出した。


「また携帯を見てる…と思った。それはしょうがないと思ったけど、その後の俺を見るお前の顔が笑って見えて(バカにしてるように見えたのだろう)、無性に腹が立ってしまったんだ。辛いのはお前なのに…本当にごめん…ごめんな…。別れるなんて言わないでくれ…」


夫は元々短気ですぐカッとなる。

今まで手を上げられることはなかったけど、大きな声で怒鳴られることは度々あった。

不倫が発覚してからは自分に非があるのが分かっていたので、気に入らない事をされても怒る事はなかった。

でもきっとずっと我慢してた怒りが、このときに爆発してしまったのだろう。

本当は勝手に携帯を見られるのは面白くなかっただろう、不倫がバレて責められるのも辛かっただろう、

夫も我慢してたのは分かる…でも…。


「笑ってなんかいない!携帯を見てる姿を見られたから気まずくて変な顔しただろうけど、笑ってなんかいないのに…」


涙でほとんど声にならなかったけど、そう言った私を夫はさらに強く抱きしめ「ごめん…ごめん…」とずっと謝り続けた。

でもどんなに謝っても、された事はなかった事には出来ない。

私の心はひんやりと冷めてしまった。


本当にこんなんでやり直せるのか…。

今日彼女に電話をしよう。


そしてこのままズルズルと夫と関係を続けるつもりなら、

彼女を訴え慰謝料を請求し、そして夫とは離婚をしようと決めた。


まずは彼女と話して、今後どうするつもりなのかを聞かないと…。





朝、夫は出かける前にボソッと一言。


「会うのだけは止めて欲しいな…」


その一言に夫のどんな感情が含まれていたのかはよく解らなかったけれど、

なんだかそう言われると急に会って話をつけたくなった。

ほんと天邪鬼な性格だな…あたしって。

だってやっぱり気になる。

夫が好きになった女性。

妊娠中の妻を顧みず、不倫してまで付き合いたかった女性。…いったいどんな人なんだろう。

多分可愛くて素直な感じの人、そんなイメージ。

そういえば電話で聞いた声も可愛かったしなぁ。


なんだかどんどん気分が滅入る。


でも子供たちがいる。彼女と会うには連れて行くか、預けるかしかない。

もちろん子供たちには絶対会わせたくないし、身近でこんな急に預かってくれる人なんていないし…無理か。

それに今でさえこんなに苦しいのに、実際に会って今より彼女をリアルに感じちゃったら…絶対修復なんて出来ないだろうな…やっぱりやめといた方が良いかも…。


そんな事を思い悩みながらも、お昼頃に彼女にメールを入れた。


「○○の妻です。お話したい事があります。時間が出来てからでいいのでお電話頂けますか?」


よし、きっとこれで仕事終了後にでもメールか電話がかかってくるだろう。




でも彼女からの返信は意外にも早く、1時間後くらいにメールが来た。


「今は手が離せないので夜になってもかまわないでしょうか。」とのこと。


そりゃ仕事中だもの、そうでしょうね。

(後になって分かったけど、彼女は私にこのメールを送る前に夫に電話していた。何を話したのか…夫はなんて言ったのか…今でも気になる。口裏合わせでもしたのかな?)


「大丈夫です。ではお待ちしてます。」

なんか余裕ぶってるメールだけど、実際はもうすでにアップアップ。でもそれは悟られたくない…。

彼女は大体どんな話をされるのかは、きっと見当がついてるはず。

なんて言ってくるのだろう…あたしはなんて言おう…。

今日の懇親会で夫と彼女は会う。

きっと彼女はその懇親会の前にあたしに電話を掛けて、その後夫と話しでもするのかも…。

そしたら2人でいったいどんな話をするんだろう…。

そんな事を延々と考えて、どんよりとしながら夜が来るのを待った。



そして彼女から電話が来たのは夜の8時を過ぎたころだった。




彼女(以下略)「もしもし…」


私(以下略)「もしもし、すいません。急に。」


「いえ…お話って何ですか?」


「あの…うちの夫とまだメールしてますよね?どういうつもりなんですか?」


「え…どういうつもりって………、私は夫さんから来るメールを返してるだけです…。」


(またか…夫さんからしてきたから自分は悪くないって思ってる…。確かに夫が1番悪いんだけど、それに返信してる時点で自分も同罪って思わないのかな?…思わないんだろうな…)


「来るメールを返すだけって…立派なメールのやり取りじゃないですか?こないだ私言いましたよね?夫とズルズルと続けるつもりがあるなら、あなたを訴えますよって。」


「…すいません。そんなつもりじゃ…。」


(じゃあ一体どんなつもりだったんだ…?)


「夫も寂しいとか何やら送ってますよね?懇親会の話もメールしてるようだし。これってズルズル続けてるって言う事になりませんか?普通。」


「それは…そんなに簡単には別れられるような関係じゃなかったので…でもあの…もうちょっと夫さんを信じてあげたらどうですか?」


(耳を疑うようなセリフだ…何であなたがそんな事言えるの…)


「…(切れた)は?そんな事あなたに言われたくはないです。言える立場じゃないですよね?」


「…すいません。」


「で、あなたはどうしたいんですか?まだ夫と付き合いを続けるつもりなんですか?」


「…いえ………でももしこれで離婚とかになって夫さんが1人になってしまうのであれば、そのときは私は付き合いたいです…。」


(コレもまた凄いな…よく奥さんに向かって言えたよね…)


「(さらに切れる)は?それじゃああなたはまだ付き合いを続けたいって事ですよね?」


「そうじゃなくって…1人になった夫さんを放っておけないってだけで…。」


「離婚するしないはこちらの話し合いで決めますから。あなたには関係ないです。で、あなたは付き合っていきたいのね。じゃあこちらもそれなりの処置をさせてもらって構わないんですね?」


「すいません!もう言いません…。(泣き始める)」


「…でもね言っておきたいんだけど、夫はもし私に離婚を切り出されたとしても、あなたと結婚とかって考えてないみたいよ。だって昨日夫が言ってたもの。「結局は不倫できる女なんだから」ってね。」


「…(泣きながら沈黙、ちょっとはショックを受けたのか?)」


「じゃあもう連絡は取らないって約束してもらえますか?」


「はい…。」


「今後またメールしたりズルズルするようなら、ほんとに訴えますから!」


「はい…。………でも夫さんくらい魅力的な人なら、相手なんていくらでも見つかるし…奥さんももっと夫さんのこと大事にしてあげたほうがいいですよ。」


(彼女的には捨てゼリフだったのかな…でも言うか?普通??)


「(完全に切れた!!)何であなたにそんな事言われないといけないの?もうこっちはほんとに堪忍袋の緒が切れそうな状態で話してるって言うのに…!!もういいです。あなたがそんな態度ならこちらも我慢しません。訴えます!」


「すいません!!すいません!!もう何も言いません。すいませんでした…。(大泣き)」


「ほんとにもう夫とは一切連絡取らないでください!今度は本気で訴えますからね!!」


「…分かりました。すいませんでした。」



終了…。



なんだか彼女と話して、やっぱり不倫してたって事は全然反省はしてないんだな…と感じた。

謝ってもほんと口先だけ。

むしろ「夫さんを大事にしないからこうなったんだ!当然でしょ?」っていう態度がそこそこに感じられた。


でも彼女は訴えるって言う話になると必ずいつも泣き出した。

多分彼女はそこだけが恐怖だったのではないか…?

訴えられたら困る!それだけは終始一貫していた。


この日夫が帰ってきたのは12時過ぎだった。

心配だった私は車で駅まで迎えに行き、帰りの車の中で一通り彼女との話を掻い摘んで話した。

そして夫に「彼女…どうだった?何か話した?」と聞いてみたら、

「懇親会には出てたけど、端っこでずっと泣いてたよ。俺は話しかけなかったけど。」と言っていた。

懇親会の場でずっと泣いてる彼女…傍から見たら皆何事かとビックリするんではないか?

そんなんだったら帰ればよかったのに…。

きっと夫に心配して声を掛けて欲しかったんだろうなぁと思った。

このとき、夫が彼女と本当に話をしてないのかどうかは分からない。

でもきっとこれからも彼女が同じ会社にいる限り、そんな不安はずっと続くだろう。

もう夫を信用する事なんて、二度と出来ないのだから…。


ずっと更新してなくてすみません。



私がこのブログを書き始めたのは、書く事によって自分の気持ちを整理したかったのと、辛い気持ちをどこかに吐き出したかったからです。

普段の生活では言えない苦しみや悲しみ、誰でもいいから聞いて欲しかった。

夫にぶつけられない気持ちをここに吐き出すことで、自分の中で落ち着くときもあるし、自分以外の人の意見も聞けるのも良かった。

傷の舐め合いって言われるかもしれないけど、同じ境遇の人に「頑張ろうね」って言われて少し救われる気持ちになったり。


これからも自分の中で整理し切れてない気持ちや悲しい気持ちが優先して、自分本位なめちゃくちゃな記事を書くかもしれない。

こんな私が一方的に被害者ぶって、こんなブログをやっていいのか…そう思うけど。

でもそんな気持ちを吐き出すことで、その後冷静になれるかもしれないし、夫に対しての態度が良くなるかもしれない。



やっぱり少しずつでも書いていきたいと思う。

見てくれている人には見苦しい記事が多いかもしれないけど…どうか大目に見てやってくれると嬉しいです。

コメントもありがたく見てます。コメント返せなくてごめんなさい。


帰ってきてから1週間ほど経った頃、また事件は起きた。



毎日の習慣となった浮気チェック。

その日も夫が寝てからいつものように携帯を見た。

友人から教わった、メール作成時に使う「文字変換」を利用してのメールチェック…。


「あれ…?」


昨日まではなかった文字が新しく加わっていた。

メールを出した形跡がないのに、文字変換だけが使われている。おかしい。

その増えた文字とは「懇親会」。



すぐにピンときた。



これは絶対彼女にメールを送った!

確信に近い直感だった。

懇親会って事は会社の人とのメールのはずでもそのメールは消されている見られるとマズイ会社関係の人とメールした…→浮気相手!!

この方程式が私の頭の中で瞬時に成り立ってしまったのだ。

慌てて「懇親会」に続く文字を調べてみると「行く?」だった。

きっと彼女に懇親会に行くのかどうかを聞いているんだ。


かぁーっと頭に血が上るのが自分でも分かった。



あんなに約束したのに、まだ彼女と連絡を取り合っているのか。

あの日からずっと傷ついて辛い思いをしている私を見てるはずなのに、それでもなお彼女と…。

あまりの出来事にあたしは言葉を失った。


帰ってきた日から一切夫を責める事はせず、自分の中にすべてため込んで…夫の理想とする妻を演じてきた。

どんなに辛くて泣き叫びたくても、子供たちには気付かれたくない、悲しませたくないの一心で我慢してきた。

それなのに…それなのに…またあなたはあたしを裏切ったの?




その後、少し時間が経ってから「これは夫に直接聞かなきゃいけない」そう思って寝室へと向かった。


「話があるんだけど」と体を軽く揺すって、寝ている夫を静かに起こした。

少し不機嫌そうに、でもまだ残っているであろう罪悪感からか、夫は案外すんなりと起きてきてくれた。



「…何?」


眠気覚ましのタバコを吸いながら聞いてきた。


「あのね…懇親会っていつあるの?」


「え?あぁ…明日。…何で知ってるの?」


驚きながら不思議そうに聞く夫。

そりゃそうだ。

だって明日懇親会があることなど、私には一切話していないのだから。


「携帯見たわ。そう…やっぱり懇親会あるんだ。懇親会行く?って彼女にメールしたでしょ。」


「…してないよ。


「へぇ~送ってない?そんなはずはないんだけど。履歴にちゃんと残ってるよ。送ってからメール消してるし…やましい証拠じゃない。」


「・・・・・・・・。」


黙ってしまった夫。

追い詰められると決まってダンマリ。

でもこれで彼女にメールをした事が確定した。


「彼女に懇親会行くか行かないか聞いてどうするつもりなの?そんなにまだ付き合いを続けたいの!?」


落ち着こうと思っていたが、夫の再度の裏切りに私はキレてしまった。


「違う…ただ来るか来ないかを聞いただけだよ。本当にそんなつもりはなかったんだ…」


ねぇ夫、傍から聞いてもそりゃおかしいと思わない?

何の気なしに、たった1週間前にバレた浮気相手にメールをするほどあんたはお馬鹿なのかい?

そんなアホな言い訳が通用するはずないだろっ!

…要するにまだちゃんと切れてなかったってことか?


「あなたがそんなつもりがないとかあるとか別にしても、彼女にメールをするって事がどういう事なのか分かってる?…結局ちゃんと別れてなんていないんじゃない!」


「別れたよ!…でも俺は彼女傷つけちゃったから…そんなに急には冷たく出来ないんだ…。」


は?あなた今なんて言いました?

カノジョヲキズツケタ?


その言葉にあたしはさらにキレた。


「何それ!彼女を傷つけた?それで償いでもしようとしてんの?バッカじゃない!?彼女は元々不倫で付き合ってたんだし、奥さんにバレたら別れるなんて分かりきってた事じゃない!そんなの承知の上で不倫してたんでしょ?そもそも割り切った付き合いって言ってたのは誰?大体今あなたはそんなんで誠意見せてる場合じゃなくて、あたしに誠意見せなきゃいけないんじゃないの!?」


「・・・・ごめんなさい。」

不倫が発覚して1番傷ついたあたしのことなんて考えてもくれないのかな…。

なんなんだろう、この人…本当にどうしようもない。

呆れてしまって、ほんとどうでも良くなってきた…。


「いいよ、そんなに彼女が気になるのならもう離婚しましょ。裏切りは2度と許さないって言ってあったしね。」


こんな奴と夫婦関係を続けていくのは無理だと判断し、夫に離婚を切り出した。

「・・・・・・・そうじゃなくて・・・・・・・もうっ!あぁーーーーーっ」


叫んで机に突っ伏し、泣き出してしまった夫。

そんなパフォーマンスはもう飽き飽き。土下座の次は泣き落とし?

そんなんで懐柔されるほど、あたしは甘くないよ。



「いいじゃん、もう別れようよ。あたしももう一緒にいるの辛いし。離婚して彼女とでも結婚すれば?」


もう本当にそうすればいい。そして不幸になればいいんだ。後々自分の犯した間違いを死ぬほど悔いる時がくる。不倫の行く末なんて結局地獄だ。



「…もう本当に別れたんだって…」


「もういいって。彼女のとこに行きなよ。」


「なんでそんなこと言うんだよー・・・・・(グスグス)…例えもしお前に捨てられても、俺は彼女とは絶対結婚しないよ・・・結局そんな関係だったんだ。付き合ったとしても結婚したとしても、こいつは不倫出来る女なんだって目で見ちゃうし・・・。」


ずいぶん勝手な言い分だ。

不倫させてたのはお前じゃないのか?


「知らないよ。自分が好きで付き合ったんでしょ?」


「だから…うぅー…(泣く)」


こんな男が自分の夫だなんて、ほんと嫌になるな…。


この後夫に、どうして彼女にメールする必要があったのか?これからどうしたいのか?などを色々聞いてみたが、すでに夫のいう事が信用出来なくなってしまっていて、これ以上話し合いをしても時間の無駄だと判断、あたしは1つの結論を夫に告げた。


「あなたのいう事はもう信用出来なくなっちゃったから、明日また彼女と電話で話してみるわ。」

夫はまだ突っ伏したままの状態で動かない。

またダンマリだな…と思ったので、返事を待たずにあたしは寝室へと向かった。

明日また彼女と話をしなくてはいけないのか…嫌だな。

でもこのままの状態で居るつもりもないし、あたしが行動を起こさなくては話は進まないだろう。

夫に不信感と絶望感を抱きながら、彼女と話し合いをする心の準備を始める…。

家に戻ってからのあたしは…

「疑心暗鬼」そんな言葉がぴったりだった。

もう2度と裏切られたくない、そんな気持ちがそうさせていたのだと思う。


携帯チェック、財布チェック、匂いチェック。

今までしたこともないようなチェックをし始めた。

そして、それまで夫が「手がむくむと痛くなる」「仕事の邪魔になる」などという理由で、5年間1度もつけていなかった結婚指輪をつけてくれる様にお願いした。

たかが指輪、されど指輪。

これをしているだけで結婚していると分かるシロモノ。

彼女への牽制はもちろん、夫のあたしへの誠意をその指輪をつけることで見出したかった。

今さら指輪をつけたところで何が変わるわけでもないだろうが(彼女は既婚者と知っていたのだし)その時は何でもいいから、ただ「目に見える安心材料」が欲しかった。


今までは結婚指輪を夫はせず、自分1人だけしていてもなんとも思わなかった。

でも今は不倫されてた自分だけが指輪をしてたことがバカみたいだと思う。

そんな風に考えるくらい卑屈になっていた。


そしてあたしは、5年ぶりに薬指から指輪をはずした。

夫にはさせて自分ははずす。

自分でもなんて矛盾してるんだろう…と思いながらも、そうする事でしかどんどん湧き出てくる惨めな気持ちを抑える方法がなかった。



話し合いをして「夫を許してやり直す」という道を選んだのは私。

愚痴を言ってもしょうがない、帰って来たのだからそれでいいじゃないか。

自分の悪いところは改善して、なるべくいい妻になろう。

子供たちに悲しい思いはさせたくないし…これでいいんだ…。

そう自分に言い聞かせた。


その一方で裏切られた悲しみ、怒りの感情をどう処理すればいいのか分からない自分…。

「何で自分ばっかりがこんな辛い思いを我慢しなければいけないんだ。別れたい。別れてすっきりしたい。」

どうしてもそんな考えが拭い去れない。

一日中考えて考えて考えて…そして結局考える事にも疲れ果ててしまう。


「バカみたいだ。何もかもバカみたいだ。結局結婚なんてこんなもんか。家族の絆なんてこんなもんか。

こんなにも簡単に崩れ去ってしまうのなら、あたしはもうそんなもの要らない。子供たちだけいればいい。

「夫を許す事」そんなの無理だったんだ。」



許すと決めたはずなのに、その次の日にはもう苦しさでいっぱい。

こんなんで本当にこれから夫婦を続けていけるのかな…。

決心が鈍らないうちにと思い、次の日子供たちを連れて自宅へと戻った。

久しぶりの我が家…夫はまだ仕事で戻ってきていない。

とりあえずこの荒れ果てた部屋をどうにかしなくては。

なんだかそわそわして落ち着かなかったので、私はひたすら掃除に没頭した。


夫が帰ってきたのは、夜の9時過ぎ。

前の日にメールで帰宅すると伝えておいたので早く帰ってきたようだ。

子供たちを寝かせてから、話し合いが始まった。


「彼女とはちゃんと別れた?」


「うん…。メールも連絡先も全部消した。」


「好きだったんでしょ?お互いに。そんなにすんなり別れられたの?」


「…そんなんじゃない。お互い割り切った付き合いだったから…。」


割り切った付き合い?なんだそれ。つまりは体の関係だけってことか?彼女と話した感じだと、そんな風には全然思えないんですけど…。


「心配な事があるんだけど…彼女妊娠とかしてないよね?」


肉体関係があったという事は、そういう心配もしなくてはいけない…。


黙って頷く夫。


「…なんで浮気なんかしたの…?」


「寂しかった…。」


「…寂しかったって?」


「朝はいつも1人で起きて、ご飯もないし…Hだってほとんどしてくれなかったじゃん。俺の事なんてどうでもいいのかと思ってた。」


「Hって…あたし妊娠中だったじゃん。その前まではしてたでしょ?それに朝ご飯の事は今に始まった事じゃないよね?」


「違うよ。子作りし始めたからHするようになっただけでしょ。その前まではほとんどしてなかったよ。子供作るためだけにHしてなんだか俺って種馬か?って思ってた。」


確かに子作り前までレス気味だった。ぴーちゃんを産んでから、なかなかその気になる事が出来ずにズルズルと…。大体月に1回で、2~3回すればいい方だった。なぜかあの頃はHする事が嫌だった。夫が嫌いになったわけじゃない。ただただHが嫌だったのだ。生理が来ると「これで誘われて断っても怒られずにすむ」と嬉しかったくらいだ。


「でもさ、好きでもない男の子供産もうと思う?確かになかなか出来なくて、作ろう作ろうと神経質になってたのは認めるけど…。子供作っといて、いざ奥さんが妊娠しましたってなったら浮気するの?浮気するくらい不満があったんなら作る前にいえばいいのに!!」


「俺はもっとしたいって言ってた…。でも聞いてくれなかったじゃん。朝ご飯の事もそう。「作って」って言っても作ってくれなかったじゃん。」


「…そこまで思いつめてたの?結局最後には折れてくれてたから…いいのかと思ってた。」


「ずっとひっかかってたよ。俺ってなんなんだろって。」


「確かに子供もまだ小さいし手がかかるから、夫のことまで手が回らなかった。あたしって元々要領悪いから…子育てでいっぱいいっぱいだったんだよ。でも今思うと甘えてたんだね。きっと理解してくれてるって。私が間違ってた。ずーっと不満持ってたんだね。でもだからって浮気するのは酷いと思う。」



「それは悪かったと思ってる。もっと俺もちゃんと話し合えば良かったと思うよ。この際だから腹割って話そう。お前は俺に不満あるか?」


「…不満?そりゃあるよ。でも他人同士が結婚して夫婦になったんだから、ある程度は我慢するもんじゃないの?言い方は悪いけど妥協というか。完璧な人間なんていないんだしさ。」


「そりゃそうだけど…。」


「夫にも悪いところはあるけど、それよりもいいところがあるって思ってるから。あたしはそれでいいんじゃないかと思ってた。あたしには出来ない事とかを出来るところも尊敬してるし。」


「…尊敬?お前からそう思って貰えてるなんて初めて知った。お互いそういう事を話さなきゃダメだったんだよな、俺たち。」


「…でもあたしはもう前と同じ気持ちでいれる自信ない。くーちゃんの生まれてきた時の事を思い出すたびに、この悲しい気持ちがよみがえってくると思う。くーちゃんの出生を夫は汚したんだ。しかも生まれてからも続いてた。その事が何よりも許せない。」


「…ごめん。ほんとにごめん。」


「別れた方がいいんじゃないの?あたし一生許せないかもしれないよ。」


「それは嫌だ。本当にすまなかった。もう二度とこんなことしないから、やり直してくれないか…。」


土下座する夫。


「…とりあえずは分かった。子供たちのこともあるし。でもまた同じ事したらほんとに絶対別れるから!」


「そんな事もうしない。それだけは信じてくれ。」


必死な夫の姿を見て、なんとかやり直せるかもと思う事が出来た。

一時の気の迷い。そう思う事にしよう。

こうして反省して戻ってきたのだから…。


「…分かった。明日も早いしもう寝なよ。」


「…うん。」



なんだかまだまだ気持ちが追いついていかないが、それはしょうがないと思う事にした。

本当ならもっと言いたい事はある。事細かに追求して、夫を追い詰めるまでに…。

でもやり直すのなら、あまりグチグチ責めても良い方向には向かわないし…夫の気持ちがどんどん離れていくだけだろうから。




…なんて物分りのいいフリしちゃったけど、「信じる事の出来ない辛さ、嫉妬」が後々どれほど響いてくるのか、きっとあたしはこのときは分かっていなかったのかもしれない。

家を出てから約一週間。

そろそろ逃げ回っていてもしょうがないという気持ちになった。

夫と別れたいのか、それとも許して家に戻るのか、本気で考えなくてはいけない。

…いや、ずっと考えてはいた。ただ結論が出なかっただけで…。


私の気持ちだけなら、即離婚。

家族を裏切って不倫をしていた夫に憎悪にも似た嫌悪感&これから先こんな信用出来ない人と一生過ごしたくない、そんな気持ちでいっぱいだったし。

ただどうしても離婚に踏み切れない…。

まだ愛情が残っているという事もあるが、それよりも子供たちのこと。

夫はほんとに子煩悩で、娘たちをすごく可愛がっている。娘も夫が大好きで、夫が家に居る時などはずっとまとわりついているほどだ。きっと夫が居ない生活になったら娘は悲しむだろう…。

そう思うと、やっぱり我慢して夫婦生活を維持していった方がいいのかとも思う。


1人で考えていても答えが出せず、母に胸のうちを相談してみた。


母 「…あんたの気持ちは分かるよ。でもなるべくならやり直しなさい。子供たちのこともあるし。夫婦ってのはいいときだけじゃないの。悪いときだってある。たった1度の間違いで離婚するのは早すぎるよ。○くん(夫)も反省してるんでしょ?まぁでももしこれからも不倫を続ける様なら、その時はもう帰っておいで。お母さんはいくらだって手を貸すから。」


涙が出た。

私にはいざとなったら帰れる場所がある、それだけでなんだかほっとした。

そっか、どうしてもダメなら帰ってくればいいんだ。

離婚するのはやれるだけやってからでもいいかもしれない。


この後、母に夫の悪口をしこたま聞いて貰って少し気持ちが落ち着いた。


家に帰って夫と話をしよう。

とっくに新年明けちゃったのにご挨拶って…まぁこんな更新がのろのろの私ですが今年もどうぞヨロシクお願い致します<(_ _)>


年末年始は今年も例年の通り、夫の実家で過ごしました。

私が一方的に感じただけかもしれませんが、すっごい気まずかったです、はい。

まぁでも地元という事もあり、久しぶりに気の会う友達なんかと遊んだりしていい気分転換になりました。

同窓会もあって朝まで飲んで騒いだりして…。ちなみにちょっとモテました(笑)

お付き合いのお誘いもありましたが(既婚者って知ってるのにねぇ)、丁重にお断りをしておきましたけど。

なんだかなー不倫ってこんなにポピュラーなものなの?とがっくり。

結婚してる男の人のほとんどが「浮気願望あり!」と平気で言っていたし。どーなのよそれーって感じです。

今まで幻想見すぎてたのかな、男の人に対して。

まっそんな自分もちょっとチヤホヤされて「女」を実感出来たので、偉そうには言えませんが(笑)


次回からはまた続きをポチポチと書いていきますね。

今回は過去の話は少し置いときまして、今現在のお話をちょこっとだけ書かせてください。


クリスマス、皆さんはどうお過ごしになりましたか?

他の夫婦の方たちのクリスマスってどんな感じなのかなー?ラブラブ?それとも普段と一緒?


うちはクリスマスイブと結婚記念日が一緒なんです。

ふたつイベントが重なるって微妙ですが、忘れる事がないのでいいのかも?

まぁ夫はいつも何にもしてくれないんですけどね・・・。去年も(ってかいつも)何もナシ。あたしからはプレゼントあげたけど。

でもまぁ今年は不倫発覚の後だし、もしかしたら何か考えてくれてるかも!?なーんて甘い期待をしてたんですよ。

あたしもこっそりネクタイとか用意しちゃったりして。


まっ、現実はそんなに甘くないですね。

まず子供と一緒に早く寝ちゃう夫にがっくり・・・。

サンタさんをさせるため夜中に起こしましたが、終わったら1人でビールを飲み始めてるし(T_T)

夫はいつもと変わらず用意もプランも一切ナシの様子。

そうね、毎年何もナシが当たり前だもん。期待するのが間違ってた。

でも!でも!!せめて夫婦でお酒でも飲みながら語らうとか、優しい言葉かけて抱きしめてくれるとかしてくれよー!

不倫されてからあたしがどんな心境で毎日過ごしてると思ってるんだ!

もー愛されてるって実感が全然ないんですけど・・・悲しい。

プレゼント渡した後ぶーたれちゃいましたよ。

お礼は言ってくれたものの、やはりそのまま就寝されてしまいました。(あたしが月のモノじゃなければ何かあったかもしれませんが・・・)


こういうときに彼女とまだ付き合ってたらどうしてたんだろうとか考えてしまう。

絶対にプレゼントとかしてたはず!あぁ・・・なんか余計にみじめ。

プレゼントって何よりも、「あーこの人はあたしのために時間と労力を使って、このプレゼントを探してくれたのね!」ってとこがいいと思うんです。

モノなんてどんなんでもいい!あたしのことを考えて、あたしに労力を使って欲しい。

「愛してる」って言葉や優しく抱きしめるって事、あたしから催促する前にしてくれる気持ちが欲しい。

夫はあたしの気持ちなんてほんとどーでもいいのかな?それとも鈍すぎるだけ?

どっちにしてもこんな気持ちがずっと続くなら、夫婦としてやっていくのが辛すぎるかも・・・。


こんな風になんだかもやもやムカムカしたクリスマスイブ&結婚記念日を過ごしました。

あたしの言ってる事は我侭な事なのかなぁ・・・。