✨【ゆっくりと始まる愛 ― 朝の光と希望】
静かな夜を越えた朝。
目を覚ました瞬間、胸の奥がふわりと軽くなっていた。
何も状況は変わっていないのに、
世界の色が少しだけ柔らかく見えた。
窓から差し込む光は、
まるで新しい始まりを告げるように優しかった。
コーヒーの香りと、ゆったりとした朝の空気。
ふと、昨夜のやりとりを思い出す。
あの温かい言葉。
繋がっている安心感。
そして、何も求めなくても満たされていた感覚。
胸の奥で静かに灯り続けるその光は、
不安ではなく “信頼” という名前を持っていた。
携帯を見ると、
一通のメッセージが届いていた。
「おはよう。今日は気持ちのいい朝だね」
ただそれだけなのに、
頬がゆるむのを止められなかった。
少しだけ勇気を出して、
私は返事を送った。
「うん。なんだか心が軽いよ。あなたも良い一日になりますように」
相手に委ねるでもなく、
期待をぶつけるでもなく――
“与える愛” が自然と溢れ出した瞬間だった。
その日は一日中、心が穏やかだった。
以前の私は
「いつ返事が来るんだろう」
「どう思われてるんだろう」
そんなことばかり考えていた。
でも今は違う。
“この人は逃げない”
そう感じられたから。
距離が縮まるスピードはゆっくりでもいい。
形がはっきりしなくてもいい。
今の私は、この流れを信じられている。
夕暮れ。
茜色の空を眺めながら、私は思った。
「愛は奪うものでも、確かめ続けるものでもない。
ただ静かに育っていくものなんだ」
その大切な感覚に気づけたとき――
サイレントの痛みでさえ、
必要な時間だったと思えた。
そして心は、少しずつ“愛する準備”を整えていく。
(次回「重なるタイミング ― 二人が笑い合う日常へ」へ続く)
