ガキの頃、線香の香りに弱かった。
ばあちゃんはいつも線香をたいていて、その煙たさに俺はまるで、悪魔祓いをされている気分だった。
この清い神聖な煙を嫌がるなんて、何か罪を犯した人に似た命でしかないのだろうと、何度も自分を虐げていた。

肺を患っていながら、呼吸することは苦しくないなんて、どうかしてるんだよな。