こちらは25日で凪待ちが公開終了。
私は5凪できたけど、
観るたびに心に引っかかる人物や場面が違っていた映画でした。

1凪目は頑張りすぎる亜弓さんのこと。
美波のことはいつもは郁男に感謝していたと思うのに、
「他人だから」と言ってしまった彼女のココロ。

2凪目は私の涙腺崩壊2TOPナベさんと勝美さんのこと。
郁男が助ける人と助けられる人。

3凪目は東日本大震災による被害。
津波や揺れによる被害だけではなく、
原発事故が人々の心や生活におとす暗い暗い影。
慎吾くんが「辛かった」と言っていたという「除染の仕事に行く」という台詞は、
原作本を読んだときから私もショックだった。
現実の世界でも厳しく危険の伴う担い手不足の仕事を、
社会的に弱い人たちが担い、
闇組織が潤う構図があるのではないかと。

4凪目は郁夫と美波と勝美さんのもろいトライアングルのこと。
「津波のおかげで新しい海になった」ように、
亜弓を失ったために生まれたトライアングル。
だけどその真ん中には亜弓が存在している。
とともに「後悔」や「懺悔」も存在するとても不安定なトライアングル。

そして5凪目ラストにして、ようやく郁男と向き合えた。

原作本を読んでいたことや、
周りの人物たちが魅力的だったこともあるけれど、
郁男の心の奥底を覗き見ることを恐れていたのかもしれないと思う。

堕ちる理由はあると分かっていても郁男の行動に共感できなかったり、
反面自分の中にもある、
「変わりたくても変われない」
「自分を責めることで本質から逃げてしまう」
そんな弱さを突き付けられてしまうようで。

郁男はなぜ石巻にとどまったのだろう。

なぜ、だれが亜弓を殺めたのかを知りたかったのか、
亜弓の魂のそばにいたいと思ったのか、
美波や勝美さんのことが気がかりだったのか、
自分のために力を尽くしてくれた方々にのためにもこの地で再生したい思いがあったのか、
ほかに行く場所がなかったのか、
ノミ屋で競輪をすることが唯一の「生」を感じる場所だったのか…。

そうしてもがいてもがいて、
結局逃げることを選んだ郁男は自分に絶望していたよね。
あの防波堤のように心に高い高い壁を築いて。

その高い壁を壊すかのように思いっきり暴れて、
泣いて情けない姿を2人にさらけだした郁男。
そのあとの婚姻届けを書くときの場面の目が、
憑き物が落ちたようにとても澄んでいて子供のようだなぁと思った。

ファン目線でいうと、
「小汚いおっさん」といわれている郁男ですが、
実はハンサムさんというのがそこかしこに見えたよね~。

亜弓の美容室で寝ている郁男さんの寝顔がきれいなこと。
勝美さんに起こされたときの寝ぼけたお顔や腕の動きが、
慎吾くんだなぁとか。

ということでとりとめのない感想になってしまいましたが、
もやがかかった海とか、
高校からみる夕方と夜の境目の海や空の色とか、
造成中の街並みに楽しげな夏祭りなど、
石巻の景色からもさまざまなことを感じる映画です。

これからもたくさんの方のもとに届きますように。

そしてミュージカル、ファンミ、ブンブン、映画と続いた2019年の慎吾くんの活動も、
ちょっと休憩、凪を迎える夏になりそうかな。
と思っていても、水面下ではなにかが動き出しているのかな。
そうだといいなぁ。