五月五日への軌跡は次男が二十歳になった時(去年)に書いたものです
次男の誕生は、何千?何億?の確率でしか起らないような奇跡がありました
そのことを、たくさんに方に知って頂きたくて再アップします
少々長くなりますので何回かに分けていこうと思っています
よろしければどうぞお付き合いください
そんな頃、実父から一本の電話がかかってきた
そして、その電話はわたしをもっと
深い暗闇に落とす始まりでもあった
五月五日への軌跡 (4
「1万円貸してくれへんか?」
電話をかけてきた父との会話はこんな言葉から始まった
わたしが流産して入院してたことも知っているのに
いたわる気持ちなどカケラも無いようだ
ギャンブル好きで
自分の思い通りにならないとすぐ暴力をふるう
結婚する前から何度泣かされたことか
3か月も入院している娘の病室に
平気でお金をせびりに来るような・・・そんな人
「1時間後にお前の近くの駅に行くから」
そう言って電話は切れた
お金を渡さなければ
悪態に暴言、嫌がらせ、もしかしたら暴力も・・・
でも、入院費を払った上に給料前
手持ちのお金はほとんど無かった
かといって貯金を下ろしてまで渡すのは絶対嫌だった
家中のお金を探した
千円札
500円玉
100円玉
10円玉
なけなしのお金をかき集めた1万円
じゃら銭まじりの1万円
封筒にそれを入れて長男と駅に向かった
父はもう駅についていた
長男の頭を撫でるでもなく声をかけるでもなく
封筒を手にすると無言で駅舎の中に消えて行った
そのあと、長男と公園に寄った
無邪気に遊ぶ長男の姿をぼーっと眺めながら考える
じゃら銭まじりの、1万円
それは、わたしにできるせめてもの抵抗
だって、旦那とわたしと長男の大切なお金なんだ
簡単には渡したくなかった
悔しかった、ただ悔しかった
そして・・涙がぽろりと流れ出た
家に帰り玄関を開けようとしたら電話が鳴っていた
長男の靴を脱がせて慌てて出ようとしたが
呼び出し音は唐突にブチっと切れた
多分父だ・・・
きっと、もう何回もかけてきてたのだろう
苛立ちが電話の切り方で判る
そんなことを考えているうちに、また電話が鳴った
「もしもし・・・」とわたし
「お前俺を ナメとんのかー!!!」
「・・・」いきなり大声で怒鳴られ何も言えない
「人を馬鹿にしやがって
覚えとけよ お前の家庭を
メチャクチャにしたるからな!!」
言いたいことだけ言って電話は切れた
あのままでは多分済まないだろうとは思っていたけど
小さな抵抗の代償とはいえ
実の親がここまで言うのか・・・言えるのか
親なら自分の子や孫のの幸せを願うものじゃないの?
それを反対に家庭をメチャクチャにしてやるなんて・・
一体、何をする気なんだろう
旦那名義で借金するとか?
まだ幼い長男に危害をあたえるとか?
・・まさか、家に火でもつけるつもり?
次から次へと悪い妄想は膨らんでゆく
嫌だ!! こわい 怖い 恐い
思わず長男を抱きしめた
五月五日への軌跡 (5 へ続く