■Beyond the Sea / ビヨンド・ザ・シー ~夢見るように歌えば~
●待ちに待ったケビン・スペイシーが「ボビー・ダーリン」にスポットを当てた映画。タイトルはボビーのレパートリーだった曲名と同じ「Beyond the Sea」。
1936年、ニューヨーク生まれのボビー・ダーリンは歌手であり、俳優であり、そして数多くの楽器をこなす音楽家であり、多作の作曲家でもあるという豊かな才能の持ち主だった。1958年の「Splish Splash」(スプラッシュ、スプラッシュ)が最初のヒットとなり、ティーンのアイドルとして浮上。翌年リリースした「Mack the knife」(マック・ザ・ナイフ)は全米チャート6週連続トップ、200万枚の売り上げを記録し、その年の「レコード・ジ・イヤー」に選ばれ、数多くの歌手がカバーした名曲だ。60年、当時18歳のサンドラ・ディー(「避暑地の出来事」等)と結婚。息子が生まれるが、67年に離婚。60年代は12本の映画に出演。73年夏、TVシリーズ「ザ・ボビー・ダーリンショー」のホストをつとめるが、同年12月、持病の心臓病の手術中、血液等の異常によりL.Aの病院で死亡。彼は37歳の若さだった。ドーンのトニー・オーランドが歌って大ヒットした「幸せの黄色いハンカチ」は、ボビーに捧げられた曲だといわれているが、ケビン自身も映画「真夜中のサバナ」のサントラ盤で歌った「That Old Black Magic」(スウィングしてる)をボビーに捧げると語っていたはず。
実はこの映画は98年、さらに99年暮れと、映画化の話が浮上した際に既にケヴィンで撮るという話があったのだが、実現には至らなかった。それが今回、製作・監督・主演をケヴィン自身が受けて完成した。つまりケヴィンの思い入れが人一倍強い作品の登場なのだ。
映画は、短命だったボビーの伝記的なもので、彼を中心に1940年代から70年代までを描き、持病と闘う舞台裏の様子なども重ね、時代は行きつ戻りつの構成の模様か。ケヴィン自身が主題歌も含め、ボビーのヒット曲の数々を全て歌って踊る!。ああ~サントラはケヴィンの歌満載で巧い、巧い!必聴物。妻のサンドラ・ディー役はケイト・ボズワース、義兄役にボブ・ホプキンス、マネージャー役にジョン・グッドマン、母親役にブレンダ・ブレシン、サンドラの母親役にグレタ・スカッキという面子。余談だが、「スーパーマン」の恋人役にケイト、敵役にケヴィンとまあ、またこのペアがスクリーンに現れるのだ。ケイトは大学に戻るはずじゃなかったんかい?
さて、元々、ケヴィンは物真似が素晴らしく巧く、これまでにも数々の映画人、政財界人の物真似を披露しているが、カーティス・ハンソン(「LAコンフィデンシャル」監督)によれば、「彼は物語を伝えるという事を愛している。真似をして、人々にそれを見て貰う事、人を楽しませる事をこよなく愛する人間だ。もし、映画界に居場所がなければ、彼は舞台に立つだろうし、もし舞台が存在しなければ、彼はラジオに出演するだろう。そういう風に、彼は自分を表現するためには何らかの道をみつけるだろう。彼は生まれついてのパフォーマーだ」だと。
マーロン・ブランド、ジャック・レモン、ジョン・ヒューストン、ジョン・ギルグッド、ピーター・オトゥール、ジェーソン・ロバーツJr、ジェームズ・スチュアート、ジョニー・カースン、キャサリン・ヘップバーン、クリント・イーストウッド、クリストファー・ウォーケン、アル・パチーノ等々・・・本当に似ているのだ、参るぞ、この芸達者。そんな芸達者なケヴィン曰く「彼(ボビー)は37歳で亡くなった。
だから、早く撮影しなければ、僕はこの役がやれない年齢になってしまう!」。はい、ごもっともで、大きく頷くしかないじゃないか。
昨日紹介した映画『サヨナラ』の音楽はアーヴィン・バーリンが担当。アーヴィンは『ホワイト・クリスマス』の作者であり、数々の映画、音楽を世に出した音楽家。ケヴィンはこの辺りが大好きなんだ!ビング・クロスビーやペリー・コモといったシンガー達の78回転、SP盤の素晴らしいコレクションを彼はパパから譲り受けているそうだ。子供の頃からタップを習っていたというケヴィン。ミュージカル経験もあり、そのキレの良い踊りのテクニックもまだまだ衰えてない!今、ダンスと歌のショーをするのが長年の夢だったというケヴィン念願の映画だ。まずは乞うご期待!
やがて公開になる映画「五線譜のラブレター」は、コール・ポーターをケビン・クライン主役で多勢の歌い手が揃ったが、こちらはボビー・ダーリンをケヴィン・スペイシーが一人で披露!。負けてないじゃん、歌って踊って男前~!60年代のスタイリング、赤、黄、白、そしてタキシードに燕尾服と決めるぞ。おお~髪も増やしたのか。因みにアメリカ12都市を回るコンサートツアーをケヴィンは計画中とか。歌、本当に巧いんだからサ。見たいぞッ。
尚、この映画の製作費2,400万ドルの内、ケヴィンが受け取った出演料、監督料はゼロ。そりゃそうでしょう、自腹を切って製作費を捻出したって話もある位に、最後のチャンスだった事は本人が一等良く知っての事。賞関係のノミネートは苦しいものの、評価なんぞ気にしていられるかってぇ~の。ボビーを演じるには老け過ぎ?、はい、それも承知の助で、コレ、どーしても見なっくっちゃ!ね。邦題は、原題にサブタイトル風なコピー添える事で、ファンはほっとしたもんだ。(2004年:製作国アメリカ/12月17日NY & LA公開/wider release:12月29日)
▲クリック:サウンドトラック試聴
映画お披露目のパーティでは、ボビー・ダーリンの息子ドッドと、
当時のマネージャーに両側からキスされて満面の笑みのケヴィン
■Beyond the Sea / ビヨンド・ザ・シー ~夢見るように歌えば
●Directer: Kevin Spacey ケヴィン・スペーシー
●Screenwriter: Jeffrey Meek James Toback ジェフリー・ミーク ジェイムス・トバック
●Cast: Kevin Spacey ケヴィン・スペイシー Kate Bosworth ケイト・ボスワース John Goodman ジョン・グッドマン Bob Hoskins ボブ・ホスキンス Brenda Blethyn ブレンダ・ブレッセン
※映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の最大の聴き物はボビー・ダーリンの「Don't Rain on My Parade」だった。これ、日本での評価全くないんじゃないかっ!サントラにも入ってない。く~~惨いゾ。
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★TV:サンデー・モーニングショー
ゲストにケヴィン:インタヴュー等(23'38")
▲Official site:Japan
Official site:U.S.A.
▲グッバイ、サンドラ・ディー
■ビヨンドtheシー:CD(サウンド・トラック)
■ボビー・ダーリン:CD一覧
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