■ナイロビの蜂 The Constant Gardener | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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■The Constant Gardener コンスタント・ガーデナー (原題)
ナイロビの蜂(邦題)

●まもなく全米で公開予定の映画「The Constant Gardener」コンスタント・ガーデナー(原題)が気になる。あの衝撃的だった映画「シティ・オブ・ゴッド」の監督フェルナンド・メイレレスの新作。それだけでも気になるだろうが、主役にレイフ・ファインズとくれば、これはもしや最後には見る側も打ちひしがれるのか・・・と、更に引き寄せられるではないか。映画の原作は、ジョン・ル・カレの「ナイロビの蜂」であるから、彼の小説のファンには既に承知の内容。







物語は、ケニアの首都ナイロビで幕開けとなる。ナイロビ赴任のイギリス人外交官である主人公ジャスティン・クエイル(レイフ・ファインズ)には、若く美しい妻テッサ(レイチェル・ワイズ)との平穏だと思えた日々があった。ガーデニングを好む穏やかな主人公ジャスティンの日常。だが、ある日突然、妻の惨殺死体が発見される。夫であるジャスティンの知らない秘密が妻にはあったと、好奇の視線が飛び交う。惨殺死体のスキャンダル・・・奔放で浮気な妻の醜聞が明らかにされていく。死者に鞭打つ周囲の反応。残された夫への同情もそこそこに、彼はイギリスに戻される。
原作では、そこからが本筋の始動開始。イギリスに戻ったはいいが、相変わらず周囲の視線は冷たい。追い討ちをかけるが如く、仕事は休暇状態。パスポートもしばし預かりの身・・・。
ジャスティンは亡き妻の面影を手繰り寄せる。赴任したアフリカの地で妻は現地の人々から慕われていた・・・と。自分が見ていた妻の姿は何だったのか。そして、妻は何故、殺されねばならなかったのか・・・と。
妻の姿を追うことで、ジャスティンは、徐々に彼女が問題視し、追っていたある事実を解き明かしていく。そこにあるのは、巨大な製薬会社と政府の強力な癒着と腐敗社会の構造。粗雑に扱われる第三世界の実態だった。








さて、ここには映画「サハラ 死の砂漠を脱出せよ!」の軽快さや爽快感はない。それがどうだって言うんだ!あれはあれで楽しめればいいのさ。諸悪の根源は植民地主義的発想に基づいた白人社会の闇の構造にあるのか。で、こちらはぐっと重く圧しかかってくるさ。
映画化にはもってこいのシンプルな筋立てが得意の原作者。その原作を脚色したのは、「007トゥモロー・ネバー・ダイ」等でも仕事をしているジェフリー・ケイン。前作「Inside I'm Dancing」が今までとはちょっと変わった物語を手掛けた事で気にはなっていたが、ここに来てどう脚色したは大いに気になる。無論、鍵を握ったのは監督なのだが。
そして、この物語もいかに人間像を絡ませていくか重要。今回のレイフ・ファインズの起用は、登場人物の一挙手一投足から真意を読み取るといった、その手の趣向に惹かれるファンにとれば話題としても事欠かないものだと思うが、と期待は膨らむのだ。
脇には、また出たぞ、という「アビエイター」「バース」「シルバー・シティ」(未公開)「21g」等で脇を抑えたダニー・ヒューストン。「ダーク・ウォーター」「ブルート」「アミスタッド」「ロミオ&ジュリエット」「ユージュアル・サスペクツ」「父の祈りを」「ラスト・オブ・モヒカン」・・・出る映画全てで印象を刻み付けるピート・ポスルスウェイト。未公開作だが気になる「Inside I'm Dancing」のジェラルド・マクソーリー。「Nirgendwo in Afrika」(名もなきアフリカの地で)のシデーデ・オンユーロ。「ベッカムに恋して」「ぼくの国、パパの国」のアーチー・パンジャビ等。

ちなみに「インタープリター」のニコール・キッドマンは、この殺される妻の役に興味を示していたそうだが、監督が年齢が合わないと却下。もっと若くなければ、という事だったそうだ。他にケイト・ウィスレット、ナオミ・ワッツ等も候補だったと。どちらも新作の撮影で実現できないまま・・・レイチェル・ワイズに流れていった模様。悪くはない、です。本来原作の持っている妻のイメージだとケイト・ウィンスレットが一等近かった気がするが。キッドマン、意地でもアフリカ背景の映画で主役を張りたかったのか・・・知らんデスよ、当方は。

さて、原作者。本名ディヴィッド・ジョン・ムーア・コーンウェル。なんだかパトリシア・コーンウェルを思い出してしまうが、関係ないデス(苦笑)。1931年イギリス、ドーセット州プール生まれ。セント・アンドリューズ・パブリック・スクールからスイスのベルン大学へ留学。帰国後、オックスフォードのリンカン・カレッジで近代ヨーロッパ語学の学位取得。1956年、名門イートン校で語学を教えていたという。1959年、外務書記官として西ドイツ駐在。「寒い国から帰って来たスパイ」「リトル・ドラマー・ガール」等がある。
彼の一等ベストセラーとされる小説「ナイロビの蜂」(邦題)の映画化は、再度ここで声を高めて言おう!!!。
「シティ・オブ・ゴッド」の監督フェルナンド・メイレレスの英語劇なる映画。つまりこれ、彼のハリウッド・デビュー作となるわけデスぞ。
そこを踏まえて、レイフ・ファインズやね。出だしの穏やかな笑みは、どーだい。も、君しかいないよな、律儀で善良で穏やかなガーデニング好きな外交官なんて、なッ。
で、知ろうとしなかった妻の思いに対して、償うように一人で三つの大陸に向かって命がけの旅に出るジャスティンなのか(未見だもんな、この先はわからんデス)。外交官の特権を駆使しながら真実を求め、巧妙な策略を暴露するためには何でもやってのける覚悟の、残された男。謀略の果てには何があるのか・・・闘う男の行く手に安息の時はもたらされるのか・・・そんなウマイ話はない、と思って見たくなるのが今作なのかもしれんデス。ジャスティンの想像を超えて、世界は腐敗している、と。救いようのない現実しかないか・・・見る側も共に砕け散るか。(2005年/製作国ケニア・ドイツ
・イギリス/アメリカ公開8月26日/日本公開2006年5月)






▲Trailer


▲Trailer B


▲Behind The Scenes 11'33"


▲Official site


▲Official site:japan
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。

●Directer:Fernando Meirelles フェルナンド・メイレレス
●Screenwriter:Jeffrey Caine ジェフリー・ケイン
●Cast:Ralph Fiennes レイフ・ファインズ Rachel Weisz レイチェル・ワイズ Daniele Harford ダニエル・ハーフォード Danny Huston ダニー・ヒューストン Hubert Koundéユベール・クンデ Richard McCabe リチャード・マッケイブ Gerard McSorley ジェラルド・マクソーリー Sidede Onyulo シデーデ・オンユーロ Archie Panjabi アーチー・パンジャビ Eva Plackner エヴァ・プラックナー Pete Postlethwaite ピート・ポスルスウェイト Donald Sumpter ドナルド・サンプター

●追記:(3月22日)



待ちに待った「ナイロビの蜂」。やはりね~良い作品に仕上がっています。始まって即、あ、これやはりフェルナンド監督の妙技だ、と納得してしまうリズムにひきこまれる。無論、監督や俳優の仕事振り、舐めたらいかんぜよーという気構えがひたひたと感じられる作品。
ここ最近、邦画は観客を舐めてかかっているのが多い中、「ナイロビの蜂」を見ると気持ちが高ぶります。巧い、本当に巧い、映画。男女の仲に生じる物語を重ねながらも、それだけに終わらない、が、愛情とやるせない社会悪とのハザマに置かれた男の様子が、もー巧い巧いレイフ・ファインズ。レイチェル・ワイズとは「太陽の雫」以来、2度目の共演だと思うのだが、前作では見られなかった柔らか関係がここにある。
アカデミー助演女優賞を受賞したレイチェルも確かに巧い(はい、実際に映画を見て、我はケイトよりレイチェルが適役だったと思いましたデス:反省ッ)のだが、レイフ・ファインズが、巧い。ノミネートされなかったのが惜しい程だが、彼の行方は「上海の伯爵夫人」(仮題)がどう仕上がっているのか、そこにあるのか、な。しかし、レイフ・ファインズは最初から最後まで与えられた役柄を一貫して演じ続ける。演じている姿が全くブレないというのは、本人の力量とそれを映像に押さえる監督の巧さ。参りました。

プレスによれば、そもそもこの役は妹のマーサが原作を読み、兄が演じるにもってこいの役柄だと指摘、同時にエージェントにこの映画化に関するオファーがプロデューサーからあったことから、進んだ模様。彼自身が今回も原作を読み進め、役を獲得していったというわけだ。

レイフ曰く「彼は趣味のガーデニングに熱心なイギリス人の外交官。ガーデナーとは“庭弄りを好む人”のことで、“継続して世話をすこと”の比喩です。私はガーデナーという言葉に、優しさと忍耐という性質を感じています。そしてそれこそがジャスティンの性質なのです。」

そう、まさしくレイフ・ファインズは彼の考えた役柄からはみ出さない。代々、外交官という家系に生まれ育った男のまなざしの穏やかさ、育ちの良さの中に根付いた善が、この映画の救いもなっている。そして、善き人を巻き込み葬り去ろうとする。。。絶ちがたい悪の巣食う社会。

見知らぬアフリカの地。。。ケニアを舞台にし、その裏表の土地が垣間見える。こことは違う風や水の匂いがしてくる。
フェルナンド・メイレレス監督の緻密で巧妙な構成は終始抑制をきかせた中にありながら、胸騒ぎを抑えられない映像の切りかえし、音の変化で、見る側は動悸が激しくなる。監督は、恐怖というものを無造作に観客に向かって放りなげるのではなく、お持ち帰り用に用意した。そんな仕掛けを下敷きに描かれた秀作。唸る、デスよ。

実は、やはりここにきて、宣伝に加えてつけられた邦題が今作の内容を勘違いさせていると思う。それが残念でならない。やはり、これはね、一人の男のドラマ。家族・親戚も含め、常に官僚クラスに就いている…そんな育ち方した坊ちゃんがどーなっていくのか。あくまでもこれは彼を柱にした物語。そこにどう周囲を置くか、が監督の成せる技。納得するんだがな~、やっぱりいい作品だと思った。

これ「ホテル・ルワンダ」をご覧になった方には、さらにこの映画も必見だと思う。我は、「シェルタリング・スカイ」を思い出していた…。ちなみに映画の筋とは離れるが、多肉植物、サボテン科。最近妙に人気の模様。