平成元年(1989年)9月26日のNHK歌謡パレードのテーマは「おしゃれな人のカラオケヒット」です。
カラオケといえば、「みんなの知っている曲を歌え」と上司に言われることがあります。最近は、この手の上司は減っていますが、みんなが知っている歌って言われても困りますよね。それこそ「ゾウさん」とか「さっちゃん」のような童謡や、「赤とんぼ」や「里の秋」のような唱歌を歌うしかない。年が10歳くらいしか違わない人が集まっているなら、そんなに問題ないのですが、20代から60代まで集まっているとなると大変です。ましてや、20代から60代まで、どの世代も知っている曲って少ないですからね。それが悪いとか言っているのではなく、現実そうですから。
昭和の頃は誰でも知っている曲がたくさん溢れていました。最近CSで「ザ・ベストテン」や「夜のヒットスタジオ」を見て驚いたのですが、昔の音楽番組は、今の「うたコン」のようにアイドルや演歌・歌謡曲、JPOPの歌手がごっちゃに出ていたのですね。だから、昭和は、おじいちゃん、おばあちゃんでも山口百恵さんや松田聖子さんを知っていたのだなって。(あくまで当時の)若者でも、都はるみさんの「北の宿から」や八代亜紀さんの「雨の慕情」などの演歌もテレビや街中でよく流れていたから知っていました。
ところが、平成以降は多様化が進み、JPOPと演歌・歌謡曲がはっきりジャンル分けされてから、みんなが知っている歌が平成以降はガクッと減ったのですね。だから「みんなが知っている歌を歌え」なんて昭和なら通用したけれど、今は通用しないと思うし、下手すりゃカラハラになってしまう。
以前にも言いましたが、カラオケは各々が好きな歌を気持ちよく歌うのが一番だと思います。
前置きが長くなったので、本題に入りますw「歌謡パレード」で、「カラオケでおしゃれな人ってどんな人」という質問に、沢田研二さんは「人とレパートリーが重ならないように」それから「隠れた名曲を用意する」と答えられました。なるほどなって。特に「隠れた名曲を用意する」は我が意を得たり。「隠れた名曲を歌え」と強制するのはよくないけれど、カラオケは自分の知らない名曲を知る良い機会だと思うんですよ。それに毎回カラオケの定番曲ばかりではつまらないし。
この日に歌われた歌は以下の通り。
「星降る街角」 ほぼ出演者 全員
「あなたのすべてを」 細川たかし
「つぐない」 大月みやこ
「どうぞこのまま」 マルシア
「ふたりの大阪」 マルシア&細川たかし
「ダーリング」 沢田研二
「ろくでなし」 小林幸子
「人生いろいろ」 島倉千代子
「霧子のタンゴ」 菅原洋一
「恋の曼珠沙華」 大月みやこ
「グッドナイト・ベイビー」 ザ・キング・トーンズ
「メランコリック・ママ」 木の実ナナ&小林幸子
「DAYS」 沢田研二
「風の盆」 菅原洋一
「いちばんきれいな星」 島倉千代子
「北国へ」 細川たかし
(以下敬称略)
聴かせてもらいましたが、スナックで流れそうな曲がずらっと並びました。今回の歌謡パレードは平成元年に放映されたのですが、いかにも昭和って感じがしてよかったです。冒頭で歌われた「星降る街角」は、一昔前カラオケで盛り上がった曲でした。この曲は合いの手が入りました。「♪星の降る夜は あなたと二人で お・お・おおお踊ろうよ(ちゅるる・ちゅるる・ちゅるっる~)流れるボサノバ 触れ合う指先 ああ 恋の夜(夜夜夜夜長い夜)」って具合。
沢田研二さんはかっこいい。二曲歌われましたが、オーラがすごい。
ザ・キング・トーンズがご出演され「グッドナイト・ベイビー」を歌ったのもよかった。結構古い歌なのですが、渋くてかっこいい歌。接待で60歳以上の人の前で、この曲を歌うと「よく知っているね。君、何者❓」って驚かれるかもしれない。ボーカルの内田正人さんの歌声がすごい。ファルセットを織り交ぜながらの素晴らしい歌唱です。ものまねでビジーフォーがよく真似をしていました。内田さんは最近お亡くなりになられました。もっと彼の歌を聴きたかったなあって。
「恋の曼珠沙華」は二葉あき子さんが歌われた曲で、戦後間もない頃のかなーり古い歌。だから現在60歳くらいの人でも知っている人はそう多くないでしょう。1989年ごろと言ったら明治・大正うまれの方も結構ご健在でしたから、こうした戦後まもない頃の曲も番組で取り上げているのですね。この日は大月みやこさんが歌われました。
番組の前半はカラオケで歌ったらかっこいい曲を取り上げ、後半は新しい曲(1989年当時)を取り上げました。印象に残ったのが、島倉千代子さんが歌われた「いちばんきれいな星」。この曲はNHKの「みんなの歌」で取り上げられた曲です。JPOP調の歌です。作詞が森浩美さん。森浩美さんといえばSMAPの曲をたくさん作詞され、JPOP界では大物です。演歌の大御所とJPOPの超大物作詞家の組み合わせってすごいなって。さわやかな曲調のいい歌だと思いました。
トリで細川たかしさんが歌われた「北国へ」は秋元康さんの作詞です。秋元さんは東京の生まれで、だからこそ故郷を懐かしむ歌を作りたかったと。この曲はこの年(1989年)の紅白でも歌われました。アイドルソングから演歌まで幅広く曲が作れる秋元康さんは、やはり天才だなって。