仏壇話 -3ページ目

あの世授業40時限目

「六道を解脱した先を教えてください」



 今までは輪廻転生という生まれ変わる世界のみにスポットをあてて話をしてきました。人は死ぬと地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の6つの世界のどこかに生まれ変わって、次の人生が再びスタートしていくというのがあの世の基本ルールです。しかし、超マレにこのルールから卒業できる人が現れます。その人たちが行く先が仏の世界です。輪廻転生のループから外れることを「解脱」と呼びます。解脱することが最高の悟りだとも言われています。あの有名なお釈迦さんでも解脱するまでに牛に生まれ変わったり、ネズミに生まれ変わったりして、何度もいろいろな人生を経験してからでないと仏の世界にたどり着けないので、簡単に行ける場所ではありません。


まずは「如来(にょらい)」の世界です。一般的にお寺の中央に鎮座している仏像が如来です。有名な所は阿弥陀如来大日如来薬師如来などです。悟りを開いた方々です。常に人々の苦しみを癒してあげたいと思っているありがたい仏様です。この仏様方の周りで静かに手を合わせて過ごす場所を浄土と呼びます。極楽浄土が一番有名かもしれません。ここにある仏様が住んでいるキンキラの宮殿が仏壇のモデルになっています。豪華な所でゆっくりとあの世ライフを楽しめます。 簡単に行けないと思うと、行きたくなるのが人間です。数十年前は憧れだったハワイだって、今では学生がバイトで稼いで行ける時代になっています。憧れは案外と現実になるものです。今回はそんな最高の世界をご紹介いたします。あまりに最高すぎてつまらない世界だという評価もありますが……。



 次に「菩薩(ぼさつ)」の世界です。こちらはまだ修行中の仏様です。地蔵菩薩観音菩薩文殊菩薩などがこの世界におられます。基本的には如来の脇に2人1組で寄り添い、サポートする役目をしています。如来の元で菩薩と一緒に勉強や修行ができるなんてとても光栄です。知識を向上させてあの世知的ライフを楽しめます。



 最後に「明王(みょうおう)」の世界です。力や怒りで人々を救う仏様です。不動明王孔雀明王愛染明王などがこの世界におられます。他の仏と違って怖い顔をしています。優しさだけでは道を間違える人がいますので、心を鬼にして怒りで人々を指導している体育会系の仏様です。体を動かして人々を救済するあの世ライフを楽しめます。


この世界はNHKの教育番組だけが流れるTVのような世界です。バラエティ色など全くないので、逆に耐えられない人もいるかもしれませんね。
 






〆の言葉 

「憧れの世界は仏壇の中にあったりします」

あの世授業38時限目

「六道以外の世界ってあるんですか?」


 あの世授業も六道をすべて説明し終えていよいよ最終回ってことにはならないんですね。まだまだ別の世界があるので、そちらもご紹介します。



 悟りを開いて六道の輪から抜け出した仏と呼ばれるチーム。そして仏の対極にいる超悪の魔と呼ばれるチームがあります。この2つの説明は今後詳しくやります。今回はちょっと俗っぽいが日本らしい世界の紹介をします。六道から外れているので外道と呼ばれている世界です。外道は魔に含むことがありますが、仏の対極というほどのスケールがないので僕個人の判断で別の物と解釈して説明していきます。



 まずは天狗道。昔話によく出てくる山伏のような恰好をした妖怪です。天狗さんも人間が変化して生まれる世界です。一般的にお坊さんや山伏が堕落すると天狗道に落ちると言われています。人を救うべきために存在する宗教を悪しきことに使うと天狗になってしまいます。



 次に鬼道。あまりに憎しみや恨みが強いと死後、鬼になってしまいます。平安時代などは沢山の鬼がでて大変だったようですね。陰陽道の方々も大忙しです。とは言っても鬼とはどこか滑稽なところがありますね。こぶとり爺さんに出てくる鬼なんか踊りが好きだったりと憎めない一面があります。鬼瓦なんて鬼の怖さを逆に利用して魔除けにしてしまうくらいですので、日本人には愛されている世界でもあります。ちなみに鬼は牛の角と虎の皮のパンツをつけています。あれは鬼門を表す方向の丑寅(うしとら)からビジュアル化されています。昔の人は洒落ていますね。



 それ以外にも妖怪と呼ばれている存在の多くは調べていくと神様とあまり変わらなくなってきます。仏教という新しい宗教が日本に入ってきて、それまであった摩訶不思議な神々の信仰が薄くなり、最終的には気持ち悪い存在となってしまいました。妖怪たちの世界も人間の生まれ変わりが担当していたんです。ビジュアル的には邪悪な感じがしますが、心は優しかったりします。あの世の話をすると妖怪たちはスルーされてしまいがちです。もしかしたら日本を陰で守ってきてくれている存在かもしれないですよ。



〆の言葉

「外道とは日本独自のガラパゴス化のあの世です」



あの世授業37時限目

「天道に所属しているメンバーを教えてください」


 天道に所属するメンバーには名前の後ろに天がつく名前が多いので区別がしやすいです。今回は代表的な天道の神を紹介していきます。



 まずは天道界のリーダーの帝釈天から説明していきます。葛飾柴又の帝釈天が有名ですね。インドではインドラと呼ばれる雷を神格化した神様です。インドラの矢と呼ばれる超兵器を使い、修羅道の敵たちを倒す最強の神です。若干エロいという噂もチラホラ聞くので、さしずめ消防団の団長さん的なリーダーのようです。



 七福神の中にも天道のメンバーが3人います。まず1人が大黒さん。正式は大黒天です。ルーツを知ると全然福をもたらす神様ではありません。別名「大暗黒天」という名前があるくらい、ちょっとブラックな神様です。大黒という言葉が日本の神様の大国さんと合体して何となく福の神になったラッキーな神様です。次に弁天さんも天道の神様です。正式には弁才天と言って知識と技芸を司る女神ですが、日本では才の字を財に変えて「弁財天」と呼んで商売繁盛の神様に進化しました。弁天さんもルーツを知ると結構怖い性格を持っていまして、蛇と融合していたりします。最後の一人が毘沙門天さん。武将の姿をしている勇ましい神様です。もともと、毘沙門天は天道の四天王の一人で、北側を守るめっぽう腕っぷしの強いボディーガードでした。そして彼が守っているのが天道の財宝。財宝を守る神というイメージから七福神の中に選ばれています。



 四天王の話がでたので、他の3人も紹介しておきます。東を守っているのが持国天、南を守っているのが増長天、西を守っているのが広目天です。それぞれ毘沙門天のように武将姿で怖い顔をしている姿が一般的です。武闘系の天道の神様たちです。



 それ以外にも足が速い韋駄天さん、インドではガネーシャという名前で頭が象さんの聖天さん、地獄の王様閻魔天さんなどいろいろな天道の神々がいます。仏様よりも人間的な性格をしていて、時には人間にも打ち負かされてしまうような出来事もあったりする身近な神々が天道の人たちです。なので、民間信仰として単独で祀られていたりします。しかし、多くの天道の神々は悪い一面を持っているので、ちゃんとお祀りしないと怒りだす恐れがありますので、ちょっと注意しましょう。



〆の言葉

「良い人を怒らせると、悪い人の倍くらい怖かったりします。身近な分だけ注意しましょう!」