仏壇話 -2ページ目

あの世授業42時限目

「菩薩の方々を紹介してください」

 今回の授業では菩薩さまにスポットをあててお話します。仏教の面白いところは時間軸を切り取っている事です。仏教の開祖お釈迦さまの人生では王様だった時代、お坊さんになったばかりで修行をしている時代、悟りを開いた時代があります。お釈迦さまが悟りを開いた姿を「如来」像として、修行をしている時代を「菩薩」像として表現しています。菩薩さまは如来さまの下で修行中の仏さまなのです。そんな修行中の仏さまを紹介させていただきます。



 菩薩さまの中で一番人気はやはり観音菩薩さまです。観音さまは「ひみつのアッコちゃん」のようにいろいろな姿に変身できますので、観音さまの表現は沢山あります。代表的な観音さまは少し紹介します。千手観音さまは困っている人を沢山救いたいと願ったら、手が千本にもなった観音さまです。十一面観音さまは一人でも多くの人を救いたいのでと願ったら四方八方を一度に見られるように顔が11個にもなった観音さまです。それ以外にも願い事を叶えてくれる如意輪観音さまなどが有名です。観音さまは六道の世界に一人ずつ担当者がいます。人間界を見守ってくれているのは千手観音さまに姿が似ている不空羂索(ふくうけんじゃく)観音さまです。どこかのお寺で見かけたら手を合わせるといいですよ。



 六道つながりで地蔵菩薩さまも人気があります。お地蔵さまは自分の足で歩いて、困っていれば救う行動派の菩薩さまです。今日も六道のどこかの世界を歩いて困っている人を救っています。特に地獄にある親よりも早くに死んでしまった子供たちが石を積んでいる「賽の河原」にはよく顔をだして、子供たちのメンタルケアをしてくれています。子供の守り神という一面も持っています。日本昔話の傘地蔵さんに登場するお地蔵さまは6体います。六は六道を表していて、すべての世界を救いますよという意味が込められているのです。



 最後に芸術的な菩薩さまを紹介します。仏教界の「考える人」弥勒菩薩さまです。日本の国宝第1号となった広隆寺の弥勒菩薩が世界的にも有名です。弥勒菩薩は未来に現れる仏さまで、お釈迦さまが亡くなって56億7千万年後に地球に登場する救世主です。きっと現代社会や未来の世界をどのように救ったらいいのかと半跏思惟しているのだと思います。人間の願いを叶えるという使命を背負うってのはかなり重たいですね。



〆の言葉

「いつか如来になるために、菩薩さまたちは今日も誰かを見守っています」


あの世授業41時限目

「如来の方々を紹介してください」





 前回の授業で解脱した先に、如来・菩薩・明王というのがあると話しました。今回は如来にスポットをあてた話をしていきます。

 如来とは仏の中で真理を得ている最高の地位の方々です。お寺に安置してある巨大な仏像の殆どが○○如来と名がついていると思います。当然ですが、最高位の仏なので日本仏教のご本尊さまは全て如来の名がついています。寺院の中央に安置されている仏像は殆どが如来像となります。皆さんがイメージする仏像の多くは如来像だと思います。そんな中で有名な如来さまをご紹介させていただきます。



 まずは超メジャーな阿弥陀如来さまからいきましょう。阿弥陀さまは西の方角にある極楽浄土に住んでいます。その極楽浄土って所が言葉に言いあらわせないほど、素敵な場所で「あの世」の憧れスポットです。あの世に行ってからでは阿弥陀さまに呼んでもらえないので、生きている間に沢山「南無阿弥陀仏」と口にしてください。優しい阿弥陀さまが迎えにきてくれるはずです。ちなみに鎌倉の大仏様は阿弥陀さまです。


 じゃあ、奈良の大仏様はってことになりますね。それは大日如来さまです。正式には廬遮那(るしゃな)如来と言います。大日さまは太陽のような輝く仏で、密教では中心に座る仏界のリーダーです。


 忘れてはいけないのは、釈迦如来。そうですお釈迦さまです。仏教の祖であるお釈迦さまも如来の位にいます。お釈迦さまも色々なスタイルで登場します。天上天下唯我独尊の子供スタイルやテレビを横になって見ているかのような涅槃スタイル、極めつけはガリガリに痩せている苦行スタイルなどなど、人間だった時代のエピソードとともにお釈迦さまの表現も変わってきます。


 最後になりますが、大人気の薬師如来さまを紹介します。なぜ人気があるかというと病気を治してくれるからです。西洋医学がなかった時代、日本人はお祓いなどで病気を直るようにお願いしていました。そのお願いはこの薬師さまが叶えてくれていました。ちょっとだけプチ情報、薬師さまは東の位置に、阿弥陀さま西の位置に安置されます。東は太陽が昇り、西に沈みます。病気回復を願う(生きる)人は太陽が昇る東側に薬師さまを安置して、極楽往生を願う(供養)人は太陽が沈む西側に阿弥陀さまを安置したからです。






〆の言葉

「♪空にそびえる黄金の城、マジンガーだって金色だったら大仏だっただろう」










あの世授業39時限目

「なぜ、あの世の事を学ぶといいのですか?」



 六道の世界の説明を終えて、今回は少しまとめてみたいと思います。いろいろと講演の依頼を受けると、あの世について言っている事があります。人は死ぬとになるって考える人がいますよね。生まれ変わらないという考え方をする人です。僕はこの考えを否定はしません。誰もあの世に行って帰ってきた人がいないからです。しかし、この考え方をする人は損をします。それを説明しますね。


 次の人生がないと過程をして生きるという事は、現世が全てであるという考え方をしてしまいます。今生きている人生さえ楽しければいいと思うと、どうしても精神的な成長よりも物質的な欲求が勝ってしまいます。中には人を傷つけてでも、自分だけ幸せならばいいと思う人もいるでしょう。そういう人生を送る人は幸せを最後まで定義できない人が多い。逆に現世の行い次第で来世が決まるというあの世思想を持っている人は、現世において自分を律する事をします。自分なりの正義や幸せの定義を持ち、その定義を守り、自分なりの幸せを見つけることができる可能性があります。


 さらにもし次の人生(生まれ変わり)があった場合、無いと思って生きてきた人は最悪ですね。たぶん「そんなはずでは……」と後悔するでしょうね。自分勝手に生きてきたので来世はゴキブリです。なんて言われたら、きっと後悔するでしょう。


 要するに次の人生があると思って生きた方が断然メリットがあるんです。


 僕がいつも言うのは、あの世があるとか無いとかが大切ではないんです。自分が生きている時間を大切に生きられるためにあの世思想を使うべきです。良い事をやると天国に行けて、悪い事をやると地獄へ行くっていう単純な思想だけで、多くの子供は良い行いをしようと努力をするはずです。それこそが大切なのです。


 いつの時代から日本で宗教を語ることがタブーになってきました。地獄や極楽がナンセンスな話になってきました。合理的な思想は人間の豊かな発想と感覚をぼやかしてしまっているのかもしれません。あの世とは非科学的だからこそ、人間の豊かな発想をふんだんに駆使して表現をするべきだと僕は考えます。ぜひあの世を学んで豊かな感性を取り戻してほしいと願っています。




〆の言葉

「あの世を学べば、この世が良くなる」