あの世授業44時限目 | 仏壇話

あの世授業44時限目

仏敵「魔」について教えてください

 

 解脱した仏達にもライバルがいます。それが魔です。お釈迦さまの悟りを必死に邪魔したのも魔(マーラ)です。悟りを開こうと座禅を組むお釈迦さまの前にセクシーな美女を送り込んで誘惑したり、猛獣を送り込んでビビらせようしたり、岩を落として命を奪おうとしたのですが、全部失敗してしまいました。魔が与えた恐怖や誘惑に打ち勝つことによってお釈迦様は悟りを開き、仏となれたのです。仏となるための最後のステップを担うのが魔の役目でもあります。



 魔については諸説ありますが、日本で一番有名なのは織田信長も信仰したという「第六天魔王」という魔でしょう。この第六天というのは天道の中で一番仏に近い最上級の天です。帝釈天や毘沙門天よりもかなり格上の天です。その天はこの世のすべての欲を司っていると言われ、この世の望みを叶えてくれるとされています。覇王を目指した信長にはぴったりの信仰ですよね。仏教では真理に到達して六道の輪から解脱することを目指しているので、人間を堕落させたり、道を踏み外させる「」を敵だとみなしています。人間の成長の為には欲は必要ですが、その欲に取り込まれると不幸になっていきます。なかなか適度に暮らせないのが人間なのですね。



 魔の中には四魔と言われる人間を不幸にする物がいます。せっかくなのでその魔を簡単に紹介します。まずは煩悩魔さん。彼は人間の欲望を膨らませる能力があります。彼に耳元でささやかれて浮気に走ってしまう被害者が多数いますので気をつけてください。次に天子魔さん。彼の誘惑の仕方は超一級品です。上司や親などの権力を持っている人に取り入りって、強引に悪い仲間に引き込み、そのまま魔道に落とされてしまいます。はっきりノーと言える人間になっておきましょうね。三人目は死魔さん。彼のささやきは死という名がつくだけあって危険です。「もう楽になるよ」という彼の言葉でどれだけの人が自らの命を絶ってしまったか。心を強くもっておきましょうね。最後に陰魔さん。彼が一番きつい魔かもしれないですね。心や体の調子を崩し、まともな精神状態にさせない陰険な誘惑の仕方をしますので。とにかく、魔がさすという言葉があるように、小さな隙間を狙って魔は忍び込んできます。


欲が楽しいうちはいいですけども、同じことをしていても楽しくなくなったなぁって思ったら止める勇気を持ちましょう。



〆のことば

「楽しい毎日、気が付いたら魔道に落ちる寸前……だったりして」