仏壇話
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あの世授業最終回

「今回はあの世授業のまとめです」

 あの世の解説は前回で1通り終了です。人が肉体を脱ぎ捨てて49日かけてあの世を歩いて旅し終わると、新たな人生が待っています。この旅の最終目的地は解脱と言って、もう生まれ変わらなくなることです。どこに行くかって?一般には極楽とか天国とか言う高みで人間の行動を見ながら一生を過ごせる場所に行くのです。人間観察なんて一番面白いですよね。現世にある物なら高みからなら何でも見られるので、気になるテレビだって、新作映画だって、もちろん、残してきた大切な家族の生活だって見ることができます。まさにパラダイスです。一度行ったら帰ってこないのは想像できますね。



 もう一つあの世を学んで気づくことは「悪い環境」の方が良い環境だということです。何となく気が付いていると思いますが、この世は修行の場という設定になっております。キン肉マンが猛特訓してキン肉ドライバーをマスターしたように、何かを成すには辛い経験が必要になってきます。あの世の定義では悪い環境を克服してこそ、憧れの場所へ行くことができるのです。一番の悪は自分を卑下することです。



そこに行くために人間は生まれてきて、そこに行く努力をするために人生はあるのです。この定義に気づくことがあの世を学ぶ意義でもあります。「何のために生きているのか」疑問を持つ人はわがままな人です。必ず自分の周りには大なり小なりの問題があります。それに気がついて行動を始めれば「何のために生きているのか」と疑問を持つ暇なんかありません。そして自分の行動が悪い結果を引き起こすのか、それとも良い結果を引き起こすのかは後にならなければなりません。人生は万事、塞翁が馬だったりするから面白いんです。



 あの世授業を続けてきて4年弱、ちょうど45(死後)回目で一区切りです。また新しいスタイルであの世授業がスタートするかもしれません。またどこかでお会いしましょう。



最後の〆のことば 


「死は唯一、確実な未来の可能性である(マルティン・ハイデッガー)」


あの世授業44時限目

仏敵「魔」について教えてください

 

 解脱した仏達にもライバルがいます。それが魔です。お釈迦さまの悟りを必死に邪魔したのも魔(マーラ)です。悟りを開こうと座禅を組むお釈迦さまの前にセクシーな美女を送り込んで誘惑したり、猛獣を送り込んでビビらせようしたり、岩を落として命を奪おうとしたのですが、全部失敗してしまいました。魔が与えた恐怖や誘惑に打ち勝つことによってお釈迦様は悟りを開き、仏となれたのです。仏となるための最後のステップを担うのが魔の役目でもあります。



 魔については諸説ありますが、日本で一番有名なのは織田信長も信仰したという「第六天魔王」という魔でしょう。この第六天というのは天道の中で一番仏に近い最上級の天です。帝釈天や毘沙門天よりもかなり格上の天です。その天はこの世のすべての欲を司っていると言われ、この世の望みを叶えてくれるとされています。覇王を目指した信長にはぴったりの信仰ですよね。仏教では真理に到達して六道の輪から解脱することを目指しているので、人間を堕落させたり、道を踏み外させる「」を敵だとみなしています。人間の成長の為には欲は必要ですが、その欲に取り込まれると不幸になっていきます。なかなか適度に暮らせないのが人間なのですね。



 魔の中には四魔と言われる人間を不幸にする物がいます。せっかくなのでその魔を簡単に紹介します。まずは煩悩魔さん。彼は人間の欲望を膨らませる能力があります。彼に耳元でささやかれて浮気に走ってしまう被害者が多数いますので気をつけてください。次に天子魔さん。彼の誘惑の仕方は超一級品です。上司や親などの権力を持っている人に取り入りって、強引に悪い仲間に引き込み、そのまま魔道に落とされてしまいます。はっきりノーと言える人間になっておきましょうね。三人目は死魔さん。彼のささやきは死という名がつくだけあって危険です。「もう楽になるよ」という彼の言葉でどれだけの人が自らの命を絶ってしまったか。心を強くもっておきましょうね。最後に陰魔さん。彼が一番きつい魔かもしれないですね。心や体の調子を崩し、まともな精神状態にさせない陰険な誘惑の仕方をしますので。とにかく、魔がさすという言葉があるように、小さな隙間を狙って魔は忍び込んできます。


欲が楽しいうちはいいですけども、同じことをしていても楽しくなくなったなぁって思ったら止める勇気を持ちましょう。



〆のことば

「楽しい毎日、気が付いたら魔道に落ちる寸前……だったりして」



あの世授業43時限目

「明王の方々を紹介してください」




 明王像というと鬼のように怖い顔をした仏様たちです。一番メジャーなのはやはり「お不動」さんとして親しまれている不動明王です。歌舞伎役者の睨みのような眼力とニタっと微笑んだ時に見える鋭い牙、そして何よりも燃え上がる炎を背負っている姿は迫力満点です。どう見ても正義の味方には見えないのですが、正真正銘の仏様です。前回の授業でもお話したと思いますが、仏教には時間軸があります。悟りを開いた姿が如来像、修行中が菩薩像、そして如来が怒っている姿が明王像なのです。普段あまり怒らない人が怒ると超怖いのと一緒です。如来さまを怒らせたら誰も止められないので、絶対に怒らせないでくださいね。ちなみに不動明王は大日如来の怒った姿です。ぜひ見比べてみてください。



 不動明王は人気なので持っている剣まで大人気です。倶利伽羅剣(くりからけん)という名前で龍と炎が巻き付いているカッコいい剣です。この剣だけを単体でお祀りするくらいの信仰を集めています。



 不動明王は他の明王とセットで五大明王として表現されることが多いです。不動を除く四明王は以下のとおりです。現在、過去、未来の3つの世界を治めている降三世(ごうさんぜ)明王、体に蛇がまきついており、不老不死の薬を守る軍荼利(ぐんだり)明王、水牛の背にのり閻魔大王を指導する大威徳(だいいとく)明王、修羅道にいる夜叉が明王に進化した金剛夜叉(こんこうやしゃ)明王です。それぞれが東西南北を守る如来の怒りの姿になっています。



 それ以外には漫画で有名になった孔雀明王。孔雀の背にのる美しい姿の仏です。他の明王とは違い菩薩のような顔をしています。興福寺の阿修羅像を彷彿とさせる美しい顔は実に魅力的です。



 真っ赤な姿の愛染明王は名前に愛がつくので、恋愛成就の明王とされています。持ち物が弓矢なので西洋の天使キューピットのイメージと合体したのでしょうけども、牙をむき出して恐ろしい顔をしています。



 仏像好きの人は明王像が好きな人が多いです。怖さの中にある慈悲深さが明王にはあります。ぜひ住まいのお近くのお不動さんを探してみてはいかがでしょうか。岡崎にも結構お祀りしているお寺がありますので、お不動巡りをしてみてはいかがでしょうか。



〆のことば

「仏の顔も三度まで、四度目は大魔神化してしまいますので要注意」



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