性加害訴えへの“他人ごと”ぶりに「反省してない」猛批判

 

世代論をアバウトな幾何として言わせてもらうと、十代後半から50代のいわゆる「現役世代」による、何か自分たちが人権やジェンダー平等の旗手のようには他者を批判することのほうがこの国の病理だと思う。もちろん、東山氏は悪いに決まっている、最悪だ。だが、その最悪を支えているのはジャニーズを応援する、未成年の子どもたちに対して鬼畜の所業を繰り返してきた人間を庇い、その事実を隠蔽し続けるジャニーズのアイドルタレントを批判も否定もできないアイドル依存症のような人間たちである。この「現役世代」の人間は自分のことは棚に上げて、とにかく「他者」を批判する。とりわけその対象になるのは「高齢層」である。自民党森元首相などに対して、他愛のないルッキズム発言にも容赦なく噛みつく。キムタクや櫻井翔の隠蔽には噛みつかないのに。たしかに森元首相の世代は男尊女卑で、女性差別が当たり前の時代に育ってきた。しかし、その時代の女性差別には、民法上の「無能力者」である女性の身体や財産を守るため目的も差別には内包している。つまり、差別をすることで女性を守ってきたとも言える。事実、森元首相はジャニーズや松本人志など応援しない。つまり、「現役世代」と差別や人権侵害の種類や位相が異なるなるだけであり、少年少女から見れば、「現役世代」も森元首相もその違いなど理解できないどころか、子どもや女性の人権のために全くヒューマンライツが起動せず、ジャニーズや松本人志を擁護する「現役世代」の方がよっぽど酷いと思いっているはずだ。

東山氏の発言は、驚くほどに時代錯誤で人権意識にも劣る最悪の発言だが、言い方を変えればとても正直である。そもそも、東山氏は、ジャニー喜多川氏の行ったことは、本心では「鬼畜の所業」でも何でもなく、単なる「性的ないたずら」であり「偏った愛情表現」というような、旧世代の人権認識に基づいている。いや、この国の多くの人間の本音はそこにある。文春による報道から数十年、BBC報道から約一年、テレビやマスコミメディアは何も変わらない。4月からはキムタク主演のドラマが放映予定とされている。Smile-Up社が開き直れば被害者補償はもうどうにもならない。この国の人間がSmile-Up社に対しては沈黙し、性被害者に対しては相変わらずの誹謗中傷が続いている。これをアバウトな世代論の幾何で言えば、行っているのは主に「現役世代」の人間である。森元首相らの世代ではない。現役世代のアドバンテージは、情報が溢れ、高齢世代よりわずかにジェンダー平等や男女平等などの豆知識に触れただけである。何の経験値も持たず、元アイドルやお笑い芸人、法廷経験のない仕事にあぶれた弁護士ら「若手」コメンテーターたちが真顔で様々な事件や批評をする映像ほど醜く滑稽なものはない。