『猫にかまけて』 町田 康 | 「不定点観測」 - 不動産売買仲介営業のブログ

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千葉県柏市在住、埼玉県越谷市勤務。56歳の営業マンが、日常や業務について綴ります。

【株式会社北辰商事】
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猫にかまけて猫にかまけて
1,728円
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ねこぞうとにゃーこを我が家に迎えたときに、

まとめ買いした猫本の一冊だ。

実用本が多い中で、町田さんの文章は

まだ読んだことがなかったなと、買った

覚えがある。

 

結局、気にはしながら12年、紐解かない

まま書棚を温めてもらったことになる。

2か月前にねこぞうが死んで、

背表紙に呼び寄せられた感がある。

 

特徴的な文体で、猫との日常を綴っている。

ココア、ゲンゾー、ヘッケ、奈々。

原稿用紙をぐしゃぐしゃにして著者の

執筆を妨げ、高価な順に服を引き裂く。

病弱なヘッケは言葉少なだが、可憐で

笑顔がかわいい。

あとの3匹はとても饒舌だ。

 

著者が猫を代弁する。

家では著者が敬語を使い、猫が買主を

諭す。

この感覚は私もよくわかる。

 

ヘッケとココアが死んでしまう。

無理に給餌するときの猫の嫌がり方の

描写が私にはまだ生々しすぎて、

目を閉じてしまう。

目を閉じるとねこぞうが出てきて

もっと哀しくなってしまった。

 

「ペット」とか「飼う」という言葉が

一つも使われていない。

猫の人格を尊重し、彼/彼女らと

「暮らし」ているのだ。

 

だから死んでしまったあとに感じる

(著者は「亡くなった」と表現する)

「不在の存在」は、人間の時のそれと

変わらない。

 

あ、もちろんそんな哀しい場面ばかり

ではなくて、著者の暖かな眼差しに

満ちた楽しい本です。

 

シリーズがあると知って(今さら笑)、

楽しみが増えた。