猫にかまけて 1,728円 Amazon |
ねこぞうとにゃーこを我が家に迎えたときに、
まとめ買いした猫本の一冊だ。
実用本が多い中で、町田さんの文章は
まだ読んだことがなかったなと、買った
覚えがある。
結局、気にはしながら12年、紐解かない
まま書棚を温めてもらったことになる。
2か月前にねこぞうが死んで、
背表紙に呼び寄せられた感がある。
特徴的な文体で、猫との日常を綴っている。
ココア、ゲンゾー、ヘッケ、奈々。
原稿用紙をぐしゃぐしゃにして著者の
執筆を妨げ、高価な順に服を引き裂く。
病弱なヘッケは言葉少なだが、可憐で
笑顔がかわいい。
あとの3匹はとても饒舌だ。
著者が猫を代弁する。
家では著者が敬語を使い、猫が買主を
諭す。
この感覚は私もよくわかる。
ヘッケとココアが死んでしまう。
無理に給餌するときの猫の嫌がり方の
描写が私にはまだ生々しすぎて、
目を閉じてしまう。
目を閉じるとねこぞうが出てきて
もっと哀しくなってしまった。
「ペット」とか「飼う」という言葉が
一つも使われていない。
猫の人格を尊重し、彼/彼女らと
「暮らし」ているのだ。
だから死んでしまったあとに感じる
(著者は「亡くなった」と表現する)
「不在の存在」は、人間の時のそれと
変わらない。
あ、もちろんそんな哀しい場面ばかり
ではなくて、著者の暖かな眼差しに
満ちた楽しい本です。
シリーズがあると知って(今さら笑)、
楽しみが増えた。