3日間ほどスイスの田舎でトレッキングをしていたので、報告がおそくなりました。
先週末にシエールツィナールというワールドシリーズ戦に出場してきました。結果は45位。こてんぱんにやられたというか、世界の中距離トレイルランニング界の選手層の厚さを見せつけられた感じです。
シエールという街とツィナールという山村を結ぶコースの全長は31km。標高2000m以上をつなぐ人気のトレッキングコースがそのままレースのコースになっています。一気に標高差1500mを登って、中盤はほぼフラット、最後に800m下ってゴール。スカイランナーワールドシリーズの中では、最もテクニックの要らないランナー向きの高速レースです。過去のタイムをみたらトップ選手が2時間半ほどなので、富士登山競走と同じくらいのタイムだと判断。目標を2時間50分。最悪でも3時間は切りたいと思っていました。
欧州全土、北米、南米から男子だけでも約90名のエリートランナーが招待されていました。スカイランニングの選手だけではなく、マウンテンランニングや低地のトレイルランニングを得意とするスピードランナーが目立ちました。また、ウルトラで有名な選手も何人か出ていたようです。スイスの田舎に、各国を代表する選手がかき集められたようなレースでした。
レースは予想通りスタートからとんでもないハイスピード。何十人もの選手の背中を追いかけることになりました。マイペースを心掛けますが、連戦で骨にへばりついた疲労のために、思ったように足が動いてくれませんでした。自分がいったい、どのくらいの位置にいるのかさっぱりわからないまま、がむしゃらに登りつづけました。
中盤のフラットな区間はみんながロードレースのようなハイスピード。途中にはにぎやかな声援もありましたが、それを楽しむ余裕はなく、目標タイムを下まわっている自分をひたすら追いこみ続けました。ただ、一瞬感動したのがずらりと並んだ4000m級の白い頂、そして、ひときわ高くそびえるマッターホルンが見えたときでした。
最後の10kmは「スカイランナーの意地」で走った傾らかな下り坂でした。15人くらいはぶち抜いてやりました。2時間58分でゴール。なんとか最低限の3時間切りは達成(一応賞金100スイスフランをゲット)しましたが、悔しさとかなんだかわからないいろいろなものがごった煮になった複雑な気持ちでした。
優勝はぶっちぎりでマルコデガスペリ。自分よりも30分ほど早いタイム。いったい彼がみている世界はどんな世界なのだろうか。いつかはみてみたい!!
ドロミテやジルデモントで上位にはいっていたスカイランナーたちも自分と同じように大苦戦でした。スペインのエース、ルイスアルベルトは途中棄権。連戦の疲れがたまっているのは自分だけではないようでした。
3時間切りだけでも、50名ほど。目標どおり2時間50分でも20番台。この人達が富士山にやってきたらどういうことになるのでしょう。想像するだけでドキドキワクワクしてしまいます。
今まで全く特徴の異なるレースに出てきて、自分の世界での実力や欠点がはっきりとわかりました。これで今年の欧州遠征は終わりですが、来年にむけて「やったるで!!」という気持ちと、支えてくださったみなさんへの感謝の気持ちで胸がいっぱいです。
今、チューリヒ空港にいます。これから日本に帰ります。とりあえず、ラーメンと冷奴を食べて、朝の連ドラ「梅ちゃん先生」の続きをみたいです。