包丁研ぎ師月山の包丁研ぎ磨ぎブログ

人として包丁研ぎ師としての日常や発見、気づきなどを書いています。

目指すは包丁研ぎ世界一。みなさんに少しでも刃物に興味を持っていただければ幸いです。

高級鍛造刃物販売、修理研ぎをする三代目です!

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昨年ブログでお世話になっております狛犬氏より利秀氏の庖丁を二丁お預かりしておりました。


先丸柳刃と言われる刃先が刀の反りに似た柳刃(身幅は蛸引き)を青一鋼で打ったものと鎌型薄刃を青二鋼で打ったものです。



今回とても勉強になったのが鍛冶屋の裁量での刃物の変化と地金について見直すことができたことです。



 

青紙一号の庖丁はあまり一般的ではないため、研がれたことがある方も少ないかもしれません。


通常青紙一号で打った庖丁は炭素量の関係で全体的に硬く感じ、またクロムやタングステンとの複炭化物が硬く形成されるため砥石の上を滑る感触が強く出るのが印象にあります。


しかし今回お預かりした利秀氏の庖丁の青紙一号は驚くほど研ぎやすく、それでいて鋭い刃が付きます。


初めは人造の砥石でかなり研磨が進むため、硬さが柔らかいのかと思いました。


堺の青紙一号が
HRC62前後と聞きますが、この庖丁は印象としてはHRC5859あたりに感じたのです。


しかし最近いろんな
SNSなどを介して有識者の方々と話をする機会をいただいておりますが、その中でこの柔らかく感じる要因に硬さや砥石はもちろんですが、それ以外に和庖丁特有のものがあるのではないかと感じるようになりました。



 

先日ブログでもお世話になっていますあきらパパ様のSNSである本の紹介がありました。


それが「刃物あれこれ」金属学からみた切れ味の秘密 著加藤俊男 朝倉健太郎です。



加藤俊男氏は私が以前勤めていました会社の社長をしており、修行ということで辞めることがわかっているにもかかわらず若造の私を育てていただきました。


当時刃物博士として有名であると知り、直接頼み込み刃物の個人授業をしていただいたことが今なお仕事に役立っております。


今この本を手に取り、またあの時のように教えられているのだと感じ、感謝でいっぱいです。


アグネ技術センターという非常にマニアックな本を出版される会社から出た本だとのお話も知り合いから聞かされ、なるほどと思う濃い内容でした。


そしてこの本の中に地金の効用が書かれているのです。


偶然にもこの本を読む前に
SNSの有識者の方々と数日前に話していたのも地金の効用の話でした。

地金の影響で研磨が早くなり、砥石の反応もそれによって変わる可能性があるため仕上がりに影響するというものです。


天然砥石を使いますとわかりやいかもしれませんが、黒い砥泥の出方が砥石によって変わるのです。


それは鋼も関係はしますが、大体が地金の反応の違いでしょう。


その地金が黒く反応するということは削れた鉄粉と砥石の粉が素早く出たということですから、それが鋼を研ぐ速さを変えていても不思議ではないと感じます。



 

この庖丁は使用者の事を考え作られていることがよくわかります。


柳刃と鎌薄刃では硬さが異なり、使う用途に応じて仕上げを変えているからです。


ちなみに鎌薄刃は青紙二号ですが、鎌薄刃の方が硬く作られています。

また地金も大阪の堺の和包丁とは違うものではないかと感じています。


お世話になっている日野浦司氏も「刃物や使用用途によって焼き入れを変えなければならない。」とおっしゃっておりましたが、鍛冶屋さんの腕の見せ所の一つになるのかもしれません。


ここまで差を出して作られている庖丁は貴重なのかもしれません。

ただ使用者の考えに沿わない硬さである場合もあるかもしれませんが、それはその旨を利秀氏にお伝えいただき打っていただくのがよろしいかと思います。

通常在庫しているものはもちろんですが、オーダーも受け付けているとの情報を狛犬氏より伺っておりますので、ご興味がある方は直接「佐藤晋一郎利秀包丁」様にアプローチしていただければと思います。

またよくお会いされている
狛犬氏にご相談されてもいいかもしれませんね( ´艸`)


とても勉強になった庖丁でした。


親子で仕事をなさっていると聞いていますので、長く良い仕事をしていただきたいものです。



 

そして今回この庖丁のおかげで地金の効用に気が付くことができました。


今思えば実際はすでに感覚的にこれがあって砥石の良し悪しを判断していたのかもしれないなと感じますが、あらためてこのことを考えるようになってから天然砥石での地金の反応の違いを真っ先に見るようになりました。


庖丁は特にステンレス割り込みやステンレス三枚合わせなどのステンレスの地金があるため多くの地金と触れることになりますが、効率よく鋼がきれいに早く研ぎあがる相性が地金によって左右されることがあるのであれば、鋼の仕上がりだけを見るのではなく地金の反応の良し悪しを見ることも大切だと思います。


ただ鋼は勉強してきましたが、地金の方は勉強不足だと感じました。


今後地金の勉強も早急にして、良い研ぎのヒントを見つけることができればいいなと思います。



 

最後になりましたが狛犬氏のご厚意に感謝いたします。


また今後ともよろしくお願いいたします。

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